『道路土工-擁壁工指針(平成24年版)』では、転倒に対する安定照査基準は「荷重の合力の作用点dがつま先から擁壁底版幅Bの1/2より後方(d/>2/B)にならなければならない」(p.162)と記されています。
もたれ擁壁は後ろに倒れるような形で安定することが多いため、前指針の「|e|≦6/B」より現実的な照査基準になったと理解しておりました。
しかし、もたれ擁壁の転倒での安定照査計算を行っていたところ、"かかと"がない方が安定性が向上する、という結果が得られてしまいました。
つまり、こういう結果です。
・"かかと"有り → 転倒NG
・"かかと"無し → 転倒OK
これは、"かかと"をつけると、「擁壁底版幅Bの1/2」の位置が後方に移動してしまい、荷重の合力の作用点d(たまたまB/2付近でした)が範囲外になってしまうためです。
私はこれまで"かかと"があった方が、①底版幅を広げられる、②わずかだが自重も増やせる、③底版背面の型枠の固定も楽、なので良いと思っていました。
標準設計でも"かかと"がある断面になっていますので、この辺を踏まえたものだと理解していました。
現基準では"かかと"がない方が安定性が向上してしまいます。
ちょっとおかしいように思いますが、皆さんはいかがお考えになりますか?