日本の労働生産性は本当に低いのか

日本の労働生産性がOECD加盟30カ国中19位と低く、これを高めることが今後の人口減少時代に向けて、日本の経済成長の条件であるといわれている。その中でも製造業の生産性はともかく、卸・小売り、運輸、飲食・宿泊、企業サービスなどのサービス業の生産性の伸びが低い。大田弘子経済財政担当相も、「これを打開するためには戦後レジームからの脱却が必要であり、行政・財政システムの改革が不可欠」と述べている。(経済教室、日本経済新聞、6月25日) 製造業が血のにじむような努力をして生産性向上を成し遂げてきたのは、大いに賞賛されるべきである。しかしサービス産業の生産性の伸びが諸外国に比較して低いというのは、我々の実感にあっているだろうか。人間が介在してサービスを提供するという業の特性から言って、もっとも日本人の得意な分野のように思われる。確かに金額換算での生産性は余り伸びていないかもしれないが、逆に製造業が合理化して余剰が生じた労働力を吸収する役割を担っており、日本の経済成長を支えている分野である。よく比較される米国でも、生産性は製造業で大きく伸びている。サービス業の生産性を高めるために、ITの活用や規制緩和をしようというのは、施策自体の善し悪しは別にして、目的が少し違うのではないかと感ずる。経済成長をいかに目指すかは、これからの重要な課題であるが、そのために経済効率のみを追求し、トラックやタクシー運転手の過労運転や、過疎地の切り捨てなどが発生しては、真に国民の期待に応えることにはならないように思う。経済成長のためには、真に必要なインフラの整備の方が大切に思えるのだが。