直接基礎検討における三軸圧縮試験結果の取り扱いについて

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開発道路の築造工事で、L型擁壁(プレキャスト)の支持地盤につき三軸試験を行ったところ、φ=23.3,C=51.7(粘性土)の結果を得ました。そこで、「擁壁工指針」にある滑動照査計算の分子項(V0・μ+CB・B’ μ=tanφB)において、CB=C, V0・μ=0 (cに依存する地盤材料と判断)として計算したところ、市の担当者から次の「要旨」に示す指導(メール)を頂きました。 
擁壁の安定照査計算では、「三軸試験の結果を適用できない」、また「CとCBに関係性がなく、いかなる条件でも(CB=)0として扱う」と指導されています。 これでは土質試験を行う意味もなく、いささか納得がいきません。 皆様の知見をお尋ねしたく投稿させていただきました。
次に、市担当者の指導を要約しました。
----------------------------------------------以下要旨
・文献をあたってみたところ、次の参考となる文献があった。
 国土交通省所管の独立行政法人 土木研究所の資料で「性能規定体系における直接基礎の安定照査法に関する研究」である。
 https://www.pwri.go.jp/jpn/results/db/doken_kankoubutu/doken_shiryou/fil...
 これは道路橋示方書からみの文献であるが、道路土工指針と変わらないため、参考にしてもよいと考える。
 この資料の第4章 直接基礎の滑動および転倒照査に関する検討、というのがあり、「記号の説明」の3ページに、c:支持地盤の粘着力、cB:基礎底面と地盤の付着力、と明確に定義が分けられている。
 資料P.78の表4-2.2.2「基礎底面と地盤の間の摩擦角と付着力」にも記載があり、付着力cBはいかなる条件であっても0として取り扱うようになっている。
 この資料では実際に繰り返し載荷試験を行い、従来通りの構造計算と性能規定に繋がる新たな計算方式を比較検討していて、P.86、87、98では最終的に従来のやり方で計算することが望ましいとされている。
 このような理由から、「cとcBはそもそも定義がことなること」、また「cとcBの値が同一ではないこと」と判断される。
---------------------------------------------終わり

コメント

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基本的に市の担当者の言っていることが正しいと思います。

・三軸圧縮試験とありますがUU、CU、CD試験の内、どの試験でしょうか?示された強度定数からCUかCD試験のようですが、Ccu、Cdを用いて滑動照査を行って良いかどうかは疑問があります。Cu、φdであれば用いても良さそうに思いますが。
・市の担当者のおっしゃる通り、CとCBはイコールとできないと思います。Cを考慮できる条件としては、底版に突起等を設けた場合と認識しています。つまり、仮想すべり面(土と土でのすべり面)を考慮できる場合はCを考慮できると認識しています。
・通常、CB=0としていると思います。CBの算出方法については知りませんが、ご存じの方がいらっしゃれば後学のため教えて頂きたいです。
・基本的に擁壁の滑動照査は摩擦係数にて照査するものと思います。強度定数から擁壁の支持地盤は粘性土と思われますが、その場合は基準等から摩擦係数の一般値(例えば0.5)を持ってきて照査しています。(私の場合はそうしています)

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ありがとうございます、参考にさせていただきます。試験はCU試験です。

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多くの行政庁では判断基準のベースとして『宅地防災マニュアルの解説(宅地防災研究会)』を用いており、ここでは
・長期スパンでの適切・確実な判断や評価は至難
・ゆえに非考慮が原則
・算入する場合は、リスクと安全性に十分留意せよ
といった考えが記載されています
また行政庁では条例・規則などで扱いを明文化している所もあります(下は少し古いのですが、ユニオンシステム社が作成した比較表です)。仙台市などCB=0以外は絶対に認めない所もあります
https://arc-structure.sakura.ne.jp/cgi-bin4/src/up0019.pdf

学術的な妥当性はともかく、行政庁の実務としては効率性や安全性の面からも慣例・前例を踏襲するのはやむを得ない・覆せない所かと思います