現在地
ホーム › 土被りの大きい山岳トンネルの覆工厚みと圧縮荷重について土被りの大きい山岳トンネルの覆工厚みと圧縮荷重について
最近土被りの大きい山岳トンネルの施工が話題になっています。以下しろうとからの質問をさせて頂きますので、どなたかご教示頂ければ幸いです。なお簡単のためトンネルは円柱状(パイプ状:トンネル覆工圧t(m))といたします。図の付け方がわかりませんでしたので、文章のみで失礼いたします。
質問1:トンネル覆工壁面(外壁面)に作用する土圧(圧縮荷重)は静水圧と同じ考え方をして宜しいのでしょうか。例えば地中1000mの深度の山岳トンネルを施工する場合(簡単のため山の凹凸は考えず地表面は平面とします)、トンネル覆工壁面(外壁面)に作用する土圧(圧縮荷重)は下記の考え方で宜しいでしょうか。
1気圧×1000m÷10m×土の比重(2.7程度?)=270気圧=27(MPa)
質問2:円柱状のトンネル覆工の圧縮荷重を以下の式で算出しました。考え方はあっておりますか。
仮定 トンネル覆工肉厚は薄肉として均等の圧縮力が作用する、トンネル内面の気圧は無視
記号 Po:覆工外面からの土圧(Pascal, 質問1から算出)
Pi:トンネル覆工圧縮応力(Pascal, 円周方向で均一とします)
t:トンネル覆工厚み(m)
Δr:トンネル覆工円周方向微小長さ
ΔΘ:微小中心角(上記のΔrに対応)
r:トンネル半径
Po×Δr=2×Pi×sin(ΔΘ/2)×t トンネル覆工微小部分(Δr)に作用する半径方向外力のつり合い式
r×ΔΘ=Δr ΔΘとΔrの幾何学的関係
上の二つの式を解いて Pi=Po×r÷t
多分土木の専門の学生さんに最初に講義するレベルのお話で恐縮ですが、上式のPiの結果が意外に大きいのでご質問させて頂いた次第です。基本的な考え方にどこか誤りがございますでしょうか?
コメント
#9336 Re: 土被りの大きい山岳トンネルの覆工厚みと圧縮荷重について
岩盤力学(山岳トンネル)を学びましょう。
#9368 Re: 土被りの大きい山岳トンネルの覆工厚みと圧縮荷重について
比重2.7との事で含水比0.7%程の岩と私は推します(文献1).
貴殿の試算は,真円断面で有限要素法での全応力解析に用いる鉛直方向初期地(土)圧,覆工に生ずる軸方向圧縮力及び圧縮応力度は正確ですが,土圧は等方等圧の静水圧と違い,一般に覆工変形前の側方土圧
は鉛直土圧よりも小さく,一般に馬蹄形の為,曲げmoment,剪断力及び軸力が生じます.
意外との事ですが緩めてしまうと大変な事に成る事を分って頂けると思い,文献1に土被り例として900m迄しか載っていません.
恐らく山岳tunnelが御専門の東工大講師が計画に無理が有ると話されたlinear新幹線だと私は推し,Fossa Magnaの断層,地下水位・岩盤亀裂調査を要して明示され,貴殿が想定された全土被り分の土圧が作用し
ない様にrock bolt,鋼製支保工で補い,岩盤のarching効果を期待できる場合のTerzaghiの岩石荷重表を以下に記します.
鋼繊維補強concreteも検討され,TunnelBoringMachineを用いた密閉型でprecast segment及び裏込も検討し,実現可能かの検討を要すと私は判断致します.
Terzaghiの岩石荷重表(文献2)
岩盤の状態 土荷重の高さ[m] 摘要
徐々に押し出して来る物(大きな被り) (2.10~4.50)(B+H_t) 大側圧で,invert strutが必要で円形支保工が推奨される.
膨張性の地質 B+H_tに関わらず80以上 円形支保工を要す.膨張性が激しい場合は可縮支保工を用いる.
・此の表は土被り(B+H_t)以上の鋼arch支保工天端に作用する土荷重の高さを表す.
B:tunnel掘削断面幅[m],H_t:tunnel掘削断面高さ[m]
・tunnel天端が地下水位以下に在るとする.
参考文献
1)今田徹・岡林信行・野間正治:山岳トンネルの施工,pp30-50,2001.5,鹿島出版会
2)定塚正行・福田正夫編著:トンネル,pp24-32,2001.5,山海堂