レベル2地震時照査において破壊モードの判定における最小鉄筋量の規定及び考え方について

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下水道施設耐震計算例2015P.18のフローでは、主筋が最小鉄筋量かどうかの判定を行うことで、せん断破壊を許容するかどうか判断を行っています(最小配筋量であればせん断破壊先行でもOK)。
そこで計算例の後半に記載されている計算例を確認すると、例えば、P.6-130では底版の照査を行っており、800の部材厚さに対して鉄筋がD22@200であるため、最小鉄筋量の0.2%になります。
しかし、最小鉄筋量の判断でNoになっており、せん断補強を追加しています。フローの通りにいくと、最小鉄筋量のためせん断破壊を許容し、せん断補強筋は不要となると判断できますが、なにをもって最小配筋量かどうか判断されているかわかりません。そもそも、主筋が最小鉄筋量の場合、せん断破壊を許容して良い理由をご存じの方、いらっしゃいましたらご教示下さい。
宜しくお願い致します。

コメント

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最少鉄筋量の意味は分かっていますか?

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そうおっしゃらずに、質問者様の質問に対して明確にご回答できるようでしたら、して差し上げればいかがでしょうか。私も、この分野に携わっている人間として回答に興味がございます。

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下水道施設の耐震計算は、構造物全体のじん性を考慮して、疑似非線形法によって解析します。
疑似非線形解析は、構造物特性係数(Cs)を考慮した線形解析であり、終局時の部材状態を反映する非線形解析ではありません。
終局時における各主部材の応力(Vmu)は、耐力を基に疑似非線形解析で求めた応力によって推定します。

まず、構造物が終局時においてじん性を保持するためには、各主部材の両端に塑性ヒンジが形成されることが前提となります。
終局時に塑性ヒンジを形成するためには、鉄筋比が終局時釣合鉄筋量(3.7%)を下回り、鉄筋が降伏して曲げ破壊が先行する必要があります。
下水道施設土木部材の最少鉄筋量は0.4%程度であり、最小鉄筋量の部材では曲げ破壊が先行し、塑性ヒンジが形成されると判断できます。

次に、下水道施設の耐震計算では、せん断耐力を「棒部材式」によって算定します。
しかし、下水道施設の一般的な主部材では、耐力を基に算定するせん断スパン比は3程度と短いため、「ディープビーム式」の適用が妥当な範囲となります。
そのため、破壊モードの確認に使用するせん断耐力(Vyd)は過少に評価されることになり、せん断破壊先行と判定される可能性が高くなります。

一方、下水道施設耐震計算のフローフのなかで、最小鉄筋量の判定を行わない場合は、解析で求めたせん断応力Vdの2.2倍の耐力が必要になり、ほとんどの場合でせん断補強が必要になります。

以上から、構造物のじん性を保っているにもかかわらず、せん断破壊先行と判定され、過大なせん断補強設計とならないように、最小鉄筋量による判定を行っているものと考えられますが、いかがでしょうか。