首都移転

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ユーザー 酒井 俊朗 の写真

このデフレ不況、財政悪化の時代になんだ、という感じかと思いますが、首都移転問題についてです。「正義の経済学ふたたび」(寺島実郎)には下記が書かれていました。
・付加価値創出を目指して新首都建設を進めると、少なくとも300兆円の波及効果がある。
・これら近視眼的な景気対策ではなく、未来への投資として展開される。
・中央官庁移転費用は14兆円で可能、PFIなどの導入など検討の余地あり。
・実体経済を空洞化させないための日本再生戦略として重要。
首都移転について、新鮮味のない「ニューディール型の公共投資誘発構想」との批判が予想されるとした上で、経済活性化上の重要性が記述されています。
大変興味深い話であり、私個人としては14兆円+αの投資であるなら、首都を移転するべきと考えます。
この「意見交換広場」では中々新ネタが出ないので、提起させてもらいました。首都移転についてのお考えお待ちします。

コメント

ユーザー 匿名投稿者 の写真

現実の経済効果がそのとおりであるのであれば、問題ないとは思いますが、300兆の信頼性の問題でしょうか。土木も「純粋技術」では社会と乖離してしまいますし、かと言って比重が金にかかると、「やっぱ土建体質・・」と批判されます。このようなテーマについて整然と一般に説明する手法などがあればよいと思いますが、いかがでしょうか。

ユーザー takedatomoyoshi の写真

不勉強な私に教えてください。

 そもそも,経済効果,経済波及効果の金額の種類,算定法,妥当性は,個々人の問題 (自分に対するメリット,デメリット)としては,どのように捉えればよいものでしょう。

 金額が大きければ,良いことの様に見えますが,悪い言い方をすれば「プロジェクトを実現したい側の都合の良い理屈」の様に感じられることもあります。

ユーザー 酒井 俊朗 の写真

最初にこの広場に提起した酒井です。思いのほかこのテーマがもりあがったので、よかったなという感じです。経済効果については、やはりフロー効果、ストック効果の差はあれ、多ければ経済波及効果が大きい、日本の経済発展のためにはプラスである、ということが客観的事実でしょう。個々人の問題までブレイクダウンしてしまうと、例えば、「原子力発電所には反対である、私はろうそくで生活する」ということを考えればわかるとおり、日本全体での議論と、個人レベルの関係は価値観の差によることになるでしょう。
例が極端でしたが、そこまでの話ではなくても、最終的には民主主義の理解の問題であり、「十分な議論をつくした上で、多数決で決定する」ということが民主主義だと認識しています。民主主義の社会では、必ずしも自分の好む方向に社会が動かないことは当然あることになりますが、それが民主主義でしょう。時々、「小数意見を無視しないのが民主主義である」と誤解されているコメントなどみかけますが、そうではないと思います。

ユーザー 匿名投稿者 の写真

絶対に反対です。東京都の主張は正しいと思います。

首都移転にNO!(東京都)
http://www.chijihonbu.metro.tokyo.jp/chosa/syuto/

ユーザー 酒井 俊朗 の写真

東京都の主張はざっとみました。(ざっとです)
その他の要因も多くありますが、とりあえず経済効果に絞った場合、東京都の主張どおりであれば、(当然)私も反対です。提起した文書にあるとおり私は「14兆で300兆の効果が得られるのであれば賛成」という考えです。東京都の言うとおり「20兆かけてマイナスである」のであればやらないでしょうね。要するに、どなたかの投稿にあったとおり、試算の根拠、精度の問題に帰結するかと思います。残念ながら、私にはどちらかがあっていてどちらかが間違っているということを判断する素養を持ち合わせないので。考えてみると、公共工事における色々発生する問題はこの種のテーマに帰結するわけですよね。推進したい方は効果を強調し、反対する側は効果のないことを強調する。その割に両者の算定根拠、精度などはよくわからない。ということでしょうか。

ユーザー 匿名投稿者 の写真

 私も(ざっと)見ました。私的には首都がどこになろうと今のままでも全然かまいませんが、コスト的にマイナスであればとりあえず反対です。しかし、災害時のことを考慮すると首都はより安全な地域にあるべきだと思いますが。今の災害対策がそのまま震災時に通用するかどうかは分かりませんし、災害対策本部や中央官庁施設だけ残って他は壊滅状態という可能性も考えられると思います。(もし震災が起こったらの話です)
 試験的に一部移転とか・・・できないでしょうね。

ユーザー 中川 義也 の写真

「首都移転」は政治的な議論であり、
地方分権などの流れもあるのでそれに対応すればいいと思う。

だけど、新しい都市が作れるのなら土木学会の全英知?を注ぎ込んで作ったらいいと思う。
現状はすべてあとづけあとづけでやらざるを得ず、
古いシステムと新しいシステムの調和をいちいち考えなくてはいけない。

例えば
http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha02/06/060424_2_.html
ITSの究極の目標は自動走行だと思うが、既存のシステムと調和しなくてはいけないので
上記のような既存制度との調和を図る仕事をやる必要がある。

既存システムと分離された、完全に新しい街が出来るのなら、
面白いことがめちゃくちゃいっぱいできるようになると思う。
土木は、首都移転にかこつけて新しい都市を作らせようとしてはだめであり、
どのように面白いことが起こるのか示さないといけないと思う。

ユーザー 宮田 卓 の写真

私は寺島実郎著「正義の経済学ふたたび」を読んだことがないので,本書の論旨はよくわかりませんが,国土交通省のサイトに講演録が掲載されていましたので,寺島氏の主張のポイントを抜き書きしてみました。議論の参考になれば幸いです。
○基本姿勢

  内需拡大を狙った大型公共投資としての首都機能移転には反対。
  付加価値の高い創造的首都機能移転を目指す。
○創造的首都機能移転を推進する5つのポイント

  1. 環境保全型の実験都市
  2. 国際中核都市
  3. 住環境整備の実験都市
  4. 情報インフラ整備の実験都市
  5. 文化性重視の実験都市

ユーザー 宮田 卓 の写真

個人的には,「14兆円の投資で300億円の波及効果」は,かなり眉唾物だと思っています。ところで,300兆円のうち,フロー効果は何兆円くらいと見積もられているのでしょうか。

近年,「公共投資の乗数効果が低下している」との指摘がありますが,国土交通省は「公共事業の10の論点」の中で,「近年において」「低下しているとは断定できない」と反論しています。ただ,現在はまだよいとしても,今後乗数効果がさらに低下する要因は十分にあります。

一つは,建設コストの縮減と海外からの資材調達の増加です。以前のように,公共事業を行っても,必ずしもGDPの増加につながらない可能性があります。

もう一つは,消費性向の低下(=貯蓄性向の増大)です。内閣府のサイトにグラフが出ていますが,消費性向は年々低下しており,特にここ数年は不況と将来の経済不安を背景に一段と低下しています。消費性向が低下すれば,当然乗数効果が低下します(理論上は,貯蓄性向の逆数が乗数効果だが,実際にはそうならない)。

首都移転をするなら当然国債を追加発行しますから,未曾有の財政赤字がさらに増大することに対する不安は,国民なら誰でも抱くでしょう。将来への不安から,ますますお金を貯蓄に回し,予想ほどのフロー効果が発生しない可能性は十分にあります。今日,何故こんなに日本が不況に陥っているかというと,必要なものは皆揃ってしまって,1,400兆円の貯蓄はあるけれどお金を使いたくなる魅力的な対象がない,ということでしょう。首都移転やそれによって新たに創造されるモノやサービスに,大多数の国民が魅力を感じるかどうか,世論調査をするまでもないことだと思います。

私は,首都移転にかけるお金があるなら,同じお金で「首都再生」をすべきだと思いますし,現実にそうなりつつあります。依然として東京は魅力的な都市ですし,都心回帰の流れも加速しています。前述のような建設コストの縮減によって,都市基盤の充実と環境の再生,特に都市景観の美化が進めば,寺島氏が言うような海外の魅力的な大都市に劣らない,新首都「東京」ができるでしょう。そのときに,例えば貯蓄をやめて東京に家を買おう,東京でお金を使おうという国民は,首都を移転する場合に比べてずっと多いと思うのですが,いかがでしょうか。

ユーザー 匿名投稿者 の写真

上・文中の「300億円」っていうのは、300兆円の間違いですね。
フローはそれなりの乗数効果の範囲を出ないとしても、
よく言われることですが地震に対するバックアップとかあるじゃないですか。
東京という機能に14兆円の保険をかけて、保険金が300兆円という話なんじゃないですかねぇ?
(私も本を読んでいないので推測ですけど、、、いかんなぁ)

参考程度ですが、道路のフローの効果については、下記を参考にしてください。
http://www.mlit.go.jp/road/kanren/jroad01/5-1.pdf
http://www.mlit.go.jp/road/kanren/jroad01/5-2.pdf
> そのときに,例えば貯蓄をやめて東京に家を買おう,東京でお金を使おうという国民は,
> 首都を移転する場合に比べてずっと多いと思うのですが,いかがでしょうか。

個人的ですが、私なんかその典型だと思います。
(あんまり東京ローカルな話になってもなんですけどね。)

あんまりレスになっていないですね。

ユーザー 宮田 卓 の写真

すみません。300兆円の間違いです。

「地震に対するバックアップ」はストック効果の一つですね。ただ,どこの地域に首都を移転しても天変地異の可能性はゼロではありませんから,それなら首都圏全体,もしくは大阪などと連携して,バックアップ態勢を整えたほうがずっとコストが安いのではないでしょうか。

ご提示の国土交通省のページは親コメントの参考にしていますが,道路についてもフロー効果ではなく,ストック効果を重視して整備を行うべき時代になったと思います。その意味で,外環や中央環状線などストック効果が極めて大きい路線は,国費を投入してでも整備したらよいでしょう。

さて,ご提示の資料のように,仮に乗数効果を2.72倍と最大限に見積もった場合でも,14兆円×2.72=38兆円です。300兆円という金額の大きさが目立ちます。

ユーザー 中川 義也 の写真

そうです。ストック効果のほうですね。

話がずれますけど、今月の学会誌の特集は都市再生です。
都市再生が20世紀の負の遺産を解消し、良質な国富としての都市づくりをテーマとしている、という扱いです。
家田先生(37ページ)は、わが国が長年掲げてきた、「国土の均衡ある発展」という国家的ポリシーが大都市のリノベーションを看過する重篤な副作用をもたらした、たとえば環状道路の不足しかり、密集市街地・ペンシルビルしかり。
また、村橋先生(12ページ)もフロー中心からストック重視の都市整備を目指す、と述べています。
宮田さんの指摘はまさにこういうところと整合していると思います。
他の記事も面白いですよ。ご参考まで。

さて、この特集の中で首都機能移転・首都移転の話は扱われていません。
都市再生、という国家的プロジェクトがはじまる中で、
もう一つの対極である首都移転というプロジェクトにどう対処するのか、
というけじめの発言があっても良かったのではないか、と思います。

ユーザー 匿名投稿者 の写真

首都移転の話は、建設業界ではある種のタブーになっているので、
学会誌には「けじめの発言」は出しにくいんじゃないですか。
このサイトにはタブーは作りたくないですね。

ユーザー 中川 義也 の写真

タブーになっているとは私は知らなかったのですが、
どっちつかず、では困りますよね。

> このサイトにはタブーは作りたくないですね。
同感です、心強い限りです。

ユーザー 宮田 卓 の写真

寺島実郎著「『正義の経済学』ふたたび」を購入して読みました。

しかし,300兆円の具体的根拠については,結局見つけることができませんでした。300兆円に触れているのは,124ページの次の記述です。

以上述べてきた五つの視点からの付加価値創出を目指して新首都建設を進めるならば,少なくとも推定300兆円の波及効果のあるプロジェクトが設定でき,これは日本の実質GDPを年2%,10年間にわたって押し上げる効果を持つと試算できる。しかもこれらは近視眼的な「景気対策」ではなく,「未来への投資」として展開されるわけで,拠出したコアプロジェクトの資金がさらなる付加価値を生み出す夢のある戦略なのである。

300兆円の内訳は別途計算しているのでしょうが,少なくとも本書を読む限り,効果は定性的な表現にとどまっています。

また,金額はともかく,寺島氏の主張する「環境保全型の都市」「国際中核都市」「住環境整備の都市」「情報インフラ整備の都市」「文化性重視の都市」が,なぜ新首都建設によってのみ可能なのか,若干の論理の飛躍があるように思われます。同じことは,首都「東京」の再生でも可能です。

付け加えるならば,14兆円の財源として「国家財政にできるだけ負担のかからないプロジェクト・ファイナンスの方策,例えば郵便貯金財資の有効活用やPFI(公的資本の民間所有)方式の導入など柔軟な研究の余地があると思われる」と書かれていますが,PFIは別としても,郵便貯金・簡易保険を原資とした財政投融資は広く行われており,前者は従来の特殊法人方式と本質的に違いはないと考えられます。

個人的には,それほど魅力的な提案とは思えませんでした。

ユーザー seki の写真

 一つの視点として、現在問題化している東京のヒートアイランド対策の一つとして首都機能の一部移転や分散化は考えられないでしょうか。

ユーザー 匿名投稿者 の写真

ご意見一見ごもっともですが、問題があると思います。
首都移転は巨大な自然破壊です。
移転先の山林を伐採し、豊かな生態系をかたちづくっている水田を潰した上での新都市です。
今後人口減少が予想される中で、日本の人口は既存の都市をコンパクトに再生して行く必要があるでしょう。
東京に自然を再生し、防災上もより安全に再生して、サステイナブル都市を目指すことは、世界に、そして我々の子孫に胸を張れる兆戦です。
実は今でも「日本列島改造論」の再来を夢見ている人は五万といます。
善良な人々よ?志の低い政治家にだまされないように気をつけましょう!
森 靖之