スランプ試験器とミニスランプ試験器を用いる場合の許容粗骨材寸法

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コンクリート初心者で大変恐縮です。
スランプ試験器とミニスランプ試験器を用いる場合の許容粗骨材寸法について
みなさまの知見をお聞きしたいです。

スランプ試験器の試料投入口が100mm、
ミニスランプの場合は50mmですが、
粗骨材の最大寸法は何らかの法令規定されてのでしょうか?
もしくは学会等で推奨されている文献等を紹介いただけますとありがたいです。

現在ミニスランプで20mm程度と大きい粗骨材径で試験をしているところ、
試料が崩れてしまい、まともに試験がすすめれずに困っています。

みなさまのお知恵を拝借させていただきたく、なにとぞよろしくお願いいたします。

コメント

ユーザー 中筋 智之 の写真

 高流動concreteの場合、slumpが大きくても強度を確保できますが、普通(Portland)cementを用いたconcreteの場合、硬化concreteの(一軸圧縮)強度[N/mm^2]は、未だ固ま
らない(fresh)concreteのconsistency(抵抗性)であるslump値[cm]が小さい方が一般に高いとされています。此れは、圧縮試験に於いて破壊面が剪断強度に達する時の載荷
方向圧縮応力度が圧縮強度で、slump試験に於いて、水平断面から上のconcrete自重が変形を起こさせ、変形の進行に伴い断面積が大きく成って最大剪断応力度[N/mm^2]が
降伏値に等しく成る時に静止するからです(文献1)。
 従って、圧縮試験用供試体を参考にすると、JIS A 1107-1993(文献2)に拠り「コア供試体の直径は一般に粗骨材最大寸法(以下でG_maxと記す。)の3倍以上とする。」と規定さ
れ、上端内直径50mmのJIS A 1173-1978(文献3)に準拠したミニスランフ゜コーンはG_max<5mmのmortarに適用する物で、JIS A 1107を参考にしても、50/3≈16.7mmなので
5mm≤G_max<16.7mmのconcreteに適用検討できるが、供試体寸法が大きく成れば圧縮強度は小さい寸法効果が有る(文献4)為、JIS A 1101-1998(文献5)に拠る上端内直径
100mmのslump coneとの長さに関する相似比2(=100/50)よりもスランフ゜値[cm]の相似比が大きく成る可能性が有る設計での危険側で、小径コアを参考(文献6)に(最小2乗法等の)
統計的手法で推定し、slump試験の前提である連続体として裂けたり崩れたり(剪断破壊)しない事を確め、スランフ゜試験回数を増やす事になるはずです。
 一般的なG_max=20mmが確定している場合、slump coneは型を要す鋳造の為、圧縮試験用供試体を参考に上端内直径が3G_max=3×20=60mmのslump coneを単品で造ると割高と
成り、量産する上端内直径100mmのconeを使われるのが実際的です。
参考文献
1)東工大 岩波教授に拠るコンクリート工学,村田二郎:コンクリート技術100講、pp.98-101,450 2)コンクリートからのコア及びはりの切取り方法並びに強度試験方法(JIS A 1107-1993)
3)ホ゜リマーセメントモルタルのスランフ゜試験方法(JIS A 1173-1978(1995確認)) 4)Blanks&McNamara:Mass Concrete Tests in large Cylinders,J.ACI,31(Jan.-Feb.1935)
5)コンクリートのスランフ゜試験方法(JIS A 1101-1998) 6)寺田、谷川、中込、佐原:小径コアによる構造体コンクリート強度の推定法、コンクリート工学,Vol.39,No.4,2001.4

ユーザー 匿名投稿者 の写真

お世話になります。
返信遅くなりまして申し訳ありません。
丁寧なご回答ありがとうございます。
参考にさせていただきます。

ユーザー 匿名投稿者 の写真

なんでコンクリートとかスランプとかをアルファベットで書くのでしょう?
カッコいいからですか?

ユーザー 中筋 智之 の写真

 その理由は、原語で記すと正確且つ意味が分かるからです。貴殿は日本人と推すが、私は中国人留学生からカタカナを知らないと言われ、English(又は漢字)に拠り通じました。正式な
報・論文に原語で記されている物が有ります。かつて、concreteは、発音及び意味の観点で混凝土と表しました(文献6)。英語の慣用カタカナ表記は正確でない場合が有り、例えばcone
(円錐)の正確な発音はコウンです。
 試験器の寸法を規格化するとdataを共有できる利点が有る事を岩波 教授も話されました。貴殿が目指す合理化の観点で、一般的なG_max=20mmの場合、上端内直径として3G_max
=3×20=60mmのslump coneを規格化する検討余地は有ると私も考えますが、既設構造物への影響を最小限にする為の小径core程は、寸法を小さくする意義が少ないと判断します。
文献6)物部長穂:水理学、1954.1

ユーザー 中筋 智之 の写真

 上記の物部長穂に拠る文献は番号が7で160頁目を、私は補わせて頂きます。