杭の打ち止め管理を行ったとき、道路橋示方書の動的支持力公式(中掘最終打撃)を用いましたが、周面摩擦力を考慮する項で、設計の平均N値を用いた場合、過小に評価されてしまいます。というのは、設計で算出した周面摩擦力の項が砂質土ではfi=2N、粘性土ではfi=8Nを用いているのに対して、動的支持力では平均N値になってしまうからです。 動的支持力の算出式における周面摩擦力の項についての解説をお願い致します。
動的支持力算定式ってこれですよね?N値は関係しないように思いますが?
建設省告示式(建設省告示第111号)
Ra:動的許容支持力(tf)
S :貫入量(m)
W :ラム重量(tf)
H :ハンマの落下高さ(m)
ちなみにこの式は、支持力を正確に確認できる平板載荷試験に対し、 手間が少なく全数調査ができるため施工時の打ち止め管理によく用いられる、 波動理論に基づいた、打撃時の沈下量から支持力を推定する”簡便法”です。 実際、同一杭に対し平板試験を行って比較した結果、違う結果が出る (動的・・・の精度が良くはない)という報告もあります。
これに対し2N・・・(道路橋示方書下部構造編p362)は、静的力学理論に基づいた 推定式です。
このように、両者出所も違うし、実際結果も異なります。
現場で動的支持力算定を実施した結果、支持力が設計値を満たさないで困っておられる ということなら(私も現場で困ったことがあります)、杭に対し平板載荷試験をやってみて、 本当の支持力と、動的・・から求まる支持力を比較してみてはいかがですか? 以上、推定で話をしてしまいましたが、話がずれていればコメント下さい。
Ra=F/(5S+0.1)
F=2WH
ここに,Ra:動的許容支持力(tf)
大村様
御回答ありがとうございました。
杭の動的支持力について、説明が不足していましたので、補足しておきます。 杭の動的支持力ですが、道示4 p.508に基づいて算出しております。
Ra=1/3(AEK/e0L1+NUL2/ef)
上式において、第1項(AEK/e0L1)は、先端支持力の項であり、第2項(NUL2/ef)が周面摩擦力の項であると思われます。(考え方が間違っていたらすみません)
ここで、第2項についてef=1(PHC杭 中堀り最終打撃)とすると、第2項はNUL2となり、静的支持力の周面摩擦力の項とほぼ同じ形となり、周面摩擦力度の評価として、
静的支持力:fi=2N(砂質土)または8N(粘性土) 動的支持力:N(平均N値)
となり、周面摩擦力の評価が2倍以上異なってしまうということになります。
実際動的支持力を算出したところ、周面摩擦力が小さくなるため、動的支持力の値が静的支持力を下回る結果となりました。
5Sの式(建設省の式)では結果がOKでしたが、対象となる構造が道路橋基礎であるため、道示の動的支持力算出式の適用性および現場での実例などが聞ければと思い質問致しました。
こちらの説明不足でご迷惑をかけてしまい申し訳ございませんが、宜しくお願い致します。
補足ありがとうございます。 確かに周面摩擦を評価する項で、同じN値からの推定式であるにもかかわらず、(1)設計時の静的支持力算定式(道示4-p362等)より、(2)施工時の動的支持力算定式(道示4-p508)の方が小さい値が求められますね。 私の意見ですが、これは、(2)式のうち、先端支持による支持力の項について ・地盤条件や測定条件による求まる値のばらつきが多い →先端支持の過大評価により、実際の支持力を過大評価してしまう可能性がある ため、(2)式の周面摩擦の項で低減をして調整(安全率分として低めに見積もる?)しているのではないかと考えます。(あくまでも私見です(^^;)
どちらにせよ、 “本式から求めた動的支持力はばらつきがあり・・・・打ち止め管理手法の一つであると認識しなければならない” (道示4-p507)とあるように、この算定式で 支持力不足を懸念しても、それは結論としての資料にはなりえません。
私も下水道処理施設でφ600PHC杭を中堀最終打撃で約400本施工したことがあります。 このときは動的支持力算定式(このときは建設省告示式使用)では支持力が不足したことから、代表的な杭について(1)平板載荷試験による支持力確認、(2)バイブロによる貫入試験を実施し、実際の支持力値が動的支持力算定式による値よりも大きく、設計値を上回ることを示し、発注者の了解を得ました。
長々と書きましたが、道示動的支持力算定式、建設省告示式、共に、推定式でしかあり得ません。施工時に2式双方で設計値を満たす結果が出ればよいのですが、そうでなかった場合は、式の項の相違点の検証ではなく、平板載荷試験による値の検証を行うのがベストだと思います。
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#570 N値?
動的支持力算定式ってこれですよね?N値は関係しないように思いますが?
建設省告示式(建設省告示第111号)
Ra:動的許容支持力(tf)
S :貫入量(m)
W :ラム重量(tf)
H :ハンマの落下高さ(m)
ちなみにこの式は、支持力を正確に確認できる平板載荷試験に対し、
手間が少なく全数調査ができるため施工時の打ち止め管理によく用いられる、
波動理論に基づいた、打撃時の沈下量から支持力を推定する”簡便法”です。
実際、同一杭に対し平板試験を行って比較した結果、違う結果が出る
(動的・・・の精度が良くはない)という報告もあります。
これに対し2N・・・(道路橋示方書下部構造編p362)は、静的力学理論に基づいた
推定式です。
このように、両者出所も違うし、実際結果も異なります。
現場で動的支持力算定を実施した結果、支持力が設計値を満たさないで困っておられる
ということなら(私も現場で困ったことがあります)、杭に対し平板載荷試験をやってみて、
本当の支持力と、動的・・から求まる支持力を比較してみてはいかがですか?
以上、推定で話をしてしまいましたが、話がずれていればコメント下さい。
#571 すいません。式内容が抜けていました(^^;
建設省告示式(建設省告示第111号)
Ra=F/(5S+0.1)
F=2WH
ここに,Ra:動的許容支持力(tf)
S :貫入量(m)
W :ラム重量(tf)
H :ハンマの落下高さ(m)
#572 動的支持力についての補足
大村様
御回答ありがとうございました。
杭の動的支持力について、説明が不足していましたので、補足しておきます。
杭の動的支持力ですが、道示4 p.508に基づいて算出しております。
Ra=1/3(AEK/e0L1+NUL2/ef)
上式において、第1項(AEK/e0L1)は、先端支持力の項であり、第2項(NUL2/ef)が周面摩擦力の項であると思われます。(考え方が間違っていたらすみません)
ここで、第2項についてef=1(PHC杭 中堀り最終打撃)とすると、第2項はNUL2となり、静的支持力の周面摩擦力の項とほぼ同じ形となり、周面摩擦力度の評価として、
静的支持力:fi=2N(砂質土)または8N(粘性土)
動的支持力:N(平均N値)
となり、周面摩擦力の評価が2倍以上異なってしまうということになります。
実際動的支持力を算出したところ、周面摩擦力が小さくなるため、動的支持力の値が静的支持力を下回る結果となりました。
5Sの式(建設省の式)では結果がOKでしたが、対象となる構造が道路橋基礎であるため、道示の動的支持力算出式の適用性および現場での実例などが聞ければと思い質問致しました。
こちらの説明不足でご迷惑をかけてしまい申し訳ございませんが、宜しくお願い致します。
#573 Re:動的支持力についての補足
補足ありがとうございます。
確かに周面摩擦を評価する項で、同じN値からの推定式であるにもかかわらず、(1)設計時の静的支持力算定式(道示4-p362等)より、(2)施工時の動的支持力算定式(道示4-p508)の方が小さい値が求められますね。
私の意見ですが、これは、(2)式のうち、先端支持による支持力の項について
・地盤条件や測定条件による求まる値のばらつきが多い
→先端支持の過大評価により、実際の支持力を過大評価してしまう可能性がある
ため、(2)式の周面摩擦の項で低減をして調整(安全率分として低めに見積もる?)しているのではないかと考えます。(あくまでも私見です(^^;)
どちらにせよ、 “本式から求めた動的支持力はばらつきがあり・・・・打ち止め管理手法の一つであると認識しなければならない” (道示4-p507)とあるように、この算定式で
支持力不足を懸念しても、それは結論としての資料にはなりえません。
私も下水道処理施設でφ600PHC杭を中堀最終打撃で約400本施工したことがあります。
このときは動的支持力算定式(このときは建設省告示式使用)では支持力が不足したことから、代表的な杭について(1)平板載荷試験による支持力確認、(2)バイブロによる貫入試験を実施し、実際の支持力値が動的支持力算定式による値よりも大きく、設計値を上回ることを示し、発注者の了解を得ました。
長々と書きましたが、道示動的支持力算定式、建設省告示式、共に、推定式でしかあり得ません。施工時に2式双方で設計値を満たす結果が出ればよいのですが、そうでなかった場合は、式の項の相違点の検証ではなく、平板載荷試験による値の検証を行うのがベストだと思います。