SD345をSD295の代わりとして使用する場合の定着長について

セクション

鉄筋の定着長は、降伏強度が大きくなるほど長くなります。
これは、鉄筋の応力をコンクリートに伝えるためには、鉄筋とコンクリートの間の付着力が必要あり、より強度が大きい鉄筋に作用する応力をコンクリートに伝達するためには、より長い定着長が必要となるからと理解しています。

そこでお聞きしたいのですが、例えば構造上はSD295の鉄筋を想定して鉄筋コンクリートの設計を行ったものの、現場の材料入荷の都合等で鉄筋規格をSD345に上げる場合、必要定着長はどのように考えればよいでしょうか?

仮に以下の条件で建築基準における異形棒鋼の定着長L2を計算するとします。
鉄筋径:D16
コンクリート設計基準強度:Fc=24N/mm2

SD295とSD345の定着長L2は以下となります。
SD295:30d=30×16=480mm
SD345:35d=35×16=560mm

この場合、鉄筋に発生する応力はSD295相当なので定着長を480mmとしてよいのか、それとも仕様鉄筋がSD345なので発生しうる最大の応力を想定して定着長は560mmとしなければいけないのか。

ご教示ください。

コメント

#10273

すみません、最後から2行目の文章が少しおかしいので修正します。

>>この場合、鉄筋に『実際に』発生する応力はSD295『を想定したもの』なので定着長を480mmとしてよいのか、それとも仕様鉄筋がSD345なので『耐えうる』最大の応力を想定して定着長は560mmとしなければいけないのか。

#10274

旧版なので現在のHPでは確認できませんが、PC建協の「PC橋のQ&A(H21.7)」のQ-24に
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鉄筋規格がSD295で設計された構造物に対して、施工する段階でSD345に変更する場合は、設計上はSD295の降伏点の強度を基準として設計が行われているため、SD295以上の耐力がある材料を使用すれば、構造物の安全性は確保される。したがって、SD345のようにSD295より降伏点が高い材質に変更する場合は、重ね継手長を伸ばす必要はない。
市場性によりSD295の入手が困難なため、SD345に変更した場合はこれに該当する。
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#10276

ご教示ありがとうございます。
使用鉄筋に対する定着長は各種基準に記載があるものの、規格変更(アップ)による定着長の考え方に明確な基準がなく、まさにこのような根拠を探していました。
個人的にはSD295相当の定着長でよいと考えていたので、ストンと腑に落ちたように感じました。

#10275

現場の材料仕入れの関係でSD295をSD345にするなら、SD295の定着長を取ると思います。
というのは、計算すれば色々変わる要素があります。(@125が@150になるとか、定着長も同様に)
施工まで来ている段階、しかも現場都合に対して、そのような再計算は出来ません・・・誰が修正設計費を払うと言う問題。
だから、図面もSD295です。

但し、施工承諾になるのでしょうが、現場都合で施工承諾了解など取れません。
元々、設計図書通り出来る事を以って契約しているからです。
そもそも、現場都合で鋼材種別を変える業者など、私の知る限り、いません。
民間の建築屋ならいるかも知れません。(作業停滞が損益を招くから)

聞いたこともない話なので想像です。他者の回答に興味があります。

#10277

ご教示ありがとうございます。
PENさんや #10274 さんのご意見の通り、SD295の定着長でよいだろうと私も考えていました。

>>施工まで来ている段階、しかも現場都合に対して、そのような再計算は出来ません・・・誰が修正設計費を払うと言う問題。
>>民間の建築屋ならいるかも知れません。(作業停滞が損益を招くから)
ご指摘の通りで、民間土木工事でSD295が発注者指定されていたのですが、入手性の問題からSD345にしたいと現場から問い合わせがありました。
構造上は問題ないのですが、定着長は降伏強度が大きいほど長くなることが引っ掛かり、質問させていただいた次第です。

#10279

やはり民間工事でしたか。・・・それしかないと思ってました。
日本人はまだ真面目ですよね。
中国人は設計で抜いて施工屋で抜いて、下請で抜いて・・・・引き算の構造物だから本当に危ないです。