『戦国大名の土木事業―中世のインフラ整備―』共同研究会
[企画趣旨]
列島に戦国大名と呼ばれる地域政権が群雄割拠した日本の15・16世紀は、生産革命の時代と言われる。富国策を推進する各地の大名や領主によって、市町や城下町が整備され、鉱山開発や交通・通信の制度も整えられた。「信玄堤」として有名な甲斐武田氏による堤防治水事業をはじめ、肥後相良氏による「市木丸」就航や、豊後大友氏による灌漑水路「国井手」作事の事例が明示するように、戦国大名の土木事業は戦時下における防禦施設や城の築造にとどまらず、領国統治上の社会基盤整備の側面も強く有していた。
これら各地域権力による多様なスタイルの大規模土木事業を、個別大名の垣根を越えた列島規模の空間で抽出した時、戦国日本の社会構造はどう見えてくるであろうか。本研究会では、この分野を得意とする考古学的実証のみならず、文献上に表れる土木関連史料からの考察も重視しながら、「中世のインフラ整備」の実態について議論する。
[検討対象テーマ]
・館、城郭の築造 ・防禦施設 ・水利開発
・灌漑、治水 ・造船 ・作道 ・鉱山開発
・寺社造営 ・市、町、都市の整備 ・港町、港湾の整備 ・交通、通信整備
・石切 ・土木事業とそれを支える技術、思想等
[期日]2017年1月21日(土)午後~1月22日(日)
[場所] 山口ふるさと伝承総合センター たくみ館2F研修室(山口市下竪小路12番地) http://y-densho.sblo.jp/
[主催]『戦国大名の土木事業―中世のインフラ整備―』共同研究会実行委員会
[スケジュール]
1月21日(土):第1部 「中世の都市設計」
13:00 開場・開会
13:10~13:40「中世博多の都市空間と寺院」 水野哲雄(福岡市文化財保護課)
13:45~14:15「中世都市山口の設計原理と施工技術」 北島大輔(山口市教育委員会)
14:20~14:50「中世益田城下町の成立過程についての試論」 中司健一(益田市教育委員会)
(休憩)
15:05~15:35「戦国大名相良氏による統治拠点都市「中世八代城下」の整備」 青木勝士(熊本県立図書館)
15:40~16:20 ディスカッション
16:30 第1部閉会
18:30~ 情報交換会:山口市湯田温泉辺りを予定(当日案内、会費:実費)
1月22日(日):第2部 「中・近世の社会基盤整備」
9:00 開場・開会
9:10~ 9:40「豊後府内における道路と土木工事」 吉田 寛(大分県教育庁埋蔵文化財センター)
9:45~10:15「戦国大名大友氏の土木事業」 鹿毛敏夫(名古屋学院大学)
10:20~10:50「戦国末・小早川期伊予の拠点城郭の整備」 山内治朋(愛媛県歴史文化博物館)
(休憩)
11:05~11:35「朝鮮出兵期の造船」 津野倫明(高知大学)
11:40~12:20 ディスカッション
(昼休み)
13:10~14:30「中世都市山口のインフラ整備」現地視察
14:30 閉会
〇宿泊は各自で手配願います。研究会は山口市中心エリア、懇親会は湯田温泉エリアです
〇本共同研究会の成果は、戎光祥出版(東京都千代田区麹町1-7)の「戎光祥中世史論集」シリーズとして刊行する予定です
[研究会参加申し込み方法] 下記事項を記入して、電子メールにて事前申し込みしてください(2016年12月26日(月)〆切・定員25名)
①氏名 ②所属 ③メールアドレス ④共同研究会の出欠 ⑤情報交換会の出欠 ⑥現地視察の出欠
[申し込みおよび問い合わせ先] kage@ngu.ac.jp 名古屋学院大学 鹿毛敏夫