円弧滑り解析の際の滑り位置

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今年から盛土等の解析を行っている若手です。

円弧滑り解析の際の滑り位置について質問させていただきたく投稿します。
円弧滑り解析を行う際に滑りの開始位置に関してなのですが、たいていの場合、堤体天端からの滑りを想定して行われることが多いと聞きます。
自分が解析を行う際にも天端からの滑りのみを推定して検討を行っていますが、
昨日別の場所で話を聞いたところ、計算上は天端以外の位置から発生する滑り等も結果としては出てくるため、そちらを採用している場合もあると聞きます。

物理現象としてはないとは言い切れないかなとも考えておりましてどちらの方がいいのかわからないとなっております。

もし知見やそういったことを研究している論文等ありましたらご教授願いたいと考えています。

よろしくお願いいたします。

コメント

ユーザー 匿名投稿者 の写真

一般的な話をすると、円弧すべりは切土自然斜面に発生する物です。
切り土斜面の何処が滑るかというと、脆弱な地層部分です。
言い換えると健全な部分は滑らないと判断するのが一般的です。
健全な部分とは風化が進んでない岩盤です。
円弧すべりは何度かのトライアルで適切なすべり面を判断するのですが、すべりの最深ラインは健全層界隈になります。

質問内容は擁壁天端をすべり始点として考えているとの事ですが、全てが盛り土であればそれでも良いと思います(盛り土のすべりも当然ありますから)
しかし、盛り土だけで無く切り土もあるならば、切り土の地層にも目を向け、先に説明したとおり健全な地層は何処にあるかを考える必要があります。
但し、壁体全体がすべり面に入っていることもあります。
この場合は、当該擁壁が受け持つべきものは何処までなのかを把握する必要があります。
壁体底版下もすべり面に入っている場合、根入れを深くすれば抑止できますが、そこまで必要なのかを判断することが重要です。
私の感覚として、壁体毎滑り崩壊に至るような地形であれば、その地だけ堅固にして持ちこたえても、ほかの部分は持ちこたえられないのだから意味は無いだろうと思っています。
要するに、大規模地震などの大災害、自然の威力には立ち向かえないと言うことです。

ユーザー モノラル の写真

丁寧な回答ありがとうございます。
参考にさせていただきます。

ユーザー 匿名投稿者 の写真

コメント#8448は経験者の知恵として重要ですが,もっと基礎的なことを書きます。円弧すべり解析の基本は,考え得るすべてのすべり面について安定解析をして,最少安全率を求め,それを斜面の安全率とする,ということです。実際には無限に多い数のケースで斜面安定解析をやれないので,勘に基づいて,円弧すべりの端を決めて,有限個のケースで解析しますが,もしその結果よりも小さい安全率が指摘されたら,土下座して謝る他はありません。それがいやなら,そして度胸がないなら,「ひょっとして」と思う場合の全てについて安定計算を何回も何回もやってみる他はありません。そうして経験を積めば,おのずと「勘に基づいてやる」「度胸」が身に付きます。夢々,他人がやったことを猿真似してはいけません。

ユーザー モノラル の写真

やはり経験を積んでいくのが重要だとわかりました。
今後も精進させていただきます。
ありがとうございます。

ユーザー 匿名投稿者 の写真

安全率が低いというだけの円弧を追求すると、きりがありません。
例えば、通常の管理施工が行われており、集水地形等の懸念事項が特に無いことを確認したうえで、
道路土工盛土工指針を参考に、「”標準のり面勾配の盛土”の場合は、それに該当する部分は繰り返し円弧の検討対象外とする」などの、
条件設定をするのも良いと思います。
(例えば安定勾配が1:2.0(粒度の良い砂-H=15mまで)とされる盛土材料の場合、H=30m等の高盛土であっても、H=15m程度(3段程度)の規模で発生する円弧は、検討対象から除外する。)