コンクリートの老朽化と衝撃性能の低下

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 コンクリートは各種の原因で老朽化しますが、老朽化が原因で衝撃性能が低下してしまうことはないのでしょうか。アル骨反応によるひび割れ、中性化・塩分進入などの原因による鉄筋腐食やひびわれ等は衝撃性能の低下になると考えられますが、中性化が進行しただけでも衝撃性能が低下するのでしょうか。コンクリートの衝撃性能を測定する方法はあるのでしょうか。金属はシャルピー試験があると思いますが.この件に関する文献などありましたら教えてください.

コメント

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・衝撃的な破壊実験:道路構造物では落石防止構造(ロックシェッド)で、直接載荷試験が行われていて構造計算基準もできています。(日本道路協会)
この実験報告書の中にいろんな構造物の衝撃破壊実験の文献が書かれています。
・質問の衝撃的なとは多少違う意味合いがかもしれませんが、道路橋の床板、滑走路のコンクリート版については実荷重に近い状態で繰り返し載荷実験が行われています。
・コンクリート構造物の疲労に関しては、コンクリート標準示方書 構造性能照査(土木学会)、JRコンクリート構造物設計標準(JR総合研究所)
・その他、アメリカ陸軍関係の性能基準がありますが、一般に手に入れれられるかは知りません。

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 コンクリートの中性化について
 コンクリートの中性化そのものがコンクリートの強度低下に影響するかどうかということは、良くわかっていないものと思われます。中性化はセメントの水和反応物が化学変化して別の物質にかわることで、細孔構造の変化も伴うが、それらの変化のために強度も低下するという説と、炭酸カルシウムの生成と細孔構造がより密になり強度が増すあるいは変わらない、という説もあるようです。しかし、中性化すると鉄筋が錆び(中性化が進行した部分でしか錆びないのではなく、重要なのは、pH11まで低下すると、まだアルカリ性であるにもかかわらず、pHが低下しただけで鉄の表面の不働態皮膜が破壊され錆び始める)その膨張によってひびわれが発生して劣化してしまうので、中性化そのものが強度にどのように影響しようと関係なく、劣化してしまうのです。中性化そのものだけの影響と言うのは云々しても意味が無いと思います。
 コンクリートの対衝撃性について
 コンクリートはそもそも衝撃には弱いものです。たがねとハンマーで衝撃を与えたとき、鉄よりもコンクリートの方が砕け易い。コンクリートという材料の特徴は圧縮強度が大きいということで、特に静的荷重をその塊全体で受けたときは、その特徴を存分に発揮するのです。また鉄筋と複合して圧縮はコンクリート、コンクリートにとってにがてな引っ張りを鉄筋が受け持つという鉄筋コンクリート構造物として機能を発揮します。他には圧縮強度が大きい特徴を生かしたプレストレストコンクリート構造物としてその機能を発揮します。ひびわれなどの劣化はその特徴を損ない構造物として機能しなくなる、という観点から設計、施工、維持管理を行うのです。衝撃がかかる恐れがある構造物には、守るための緩衝対策を行うのが普通です。たとえば、道路に隣接している重要構造物の場合はその構造物の車道側にガードレールを配置するとか。もちろんある程度の対衝撃性はあり、劣化によってますます対衝撃性が無くなるのは当然です。
 

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 もとの質問は中性化だけで衝撃性が低下するかどうかです。
コンクリートはミクロにみれば、中性化によりさまざまな特性が変わると考えられます。しかし、RC部材やPC部材としてみたとき、工学的なレベルでは、多少中性化しても耐衝撃性が低下することはないと考えられます。もちろん鉄筋が錆びて断面欠損するような状況では話は別ですが。
 なお、コンクリート部材の耐衝撃性というのは、とても難しい問題で、鋼のシャルピー試験のようにひとつの試験法でチェックできるようなものではありません。土木分野の衝撃で一般的なのは、ロックシェッドの問題です。軍事では、耐爆性などの研究が多数あるようです。両者は荷重の速度が全く違います。たしか、耐爆性などは日本の防衛大学でも過去に研究があったように記憶しております。
 それと、911以降、海外では例えば原子力施設の航空機の衝突に対する研究のようなものもなされているようです。参考までに。

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大倉です。
中性化と耐衝撃性について、把握されている現状の状況が認識できました.有難うございました.