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いつも貴重な意見を頂きましてありがとうございます。

昨今の建設業法改正に伴う標準労務費周りの問題点について、私が気づく限りまとめてみましたので、皆さんの感想やら懸念点など議論の題材にしていただければ幸いです。

・問題その1 「労務費の基準値」によって労務費を上げるどころか、却って不動産ディベロッパーに買い叩かれる原因にならないか?
関連条文 建設業法第二十条4
 「(前略)建設業者は、建設工事は注文者から請求があつたときは、請負契約が成立するまでに、当該材料費等記載見積書を交付しなければならない」

 この条文あることによって、建設会社は大小関係なく詳細を記載した見積書を注文者に提出しなければならない。『労務費に関する基準(令和7年12月2日中央建設業審議会決定)』「労務費の基準値」の示し方に記載されている歩掛(編成人工、標準作業量、標準労務費などによる構成)みたいな書き方が、当該材料費等記載見積書に書かなければならないのであれば、各企業の努力の結晶であり企業秘密である歩掛流出し、注文者側が買い叩く武器になりかねない。建設業者同士は紳士協定的に注文者が詳細な見積書を出さないように手を結んだとしても、ディベロッパーからすればゼネコン各社の歩掛のような見積書を手に入れてしまえば、労務費を上げるどころか工費を削減する強力な武器となりうる。
 昨年から施工されている下請法改正(令和7年8月1日施工)とも理念とも相容れない。通常は立場の弱い側を保護し、権限を付与することで買い叩きを防ぐが、この度の建設業法の改正では立場の強い注文者に権限を付与する形になっている。これで買い叩きが起こらないと思う方に無理がある。また、企業の努力の結晶であり企業秘密である歩掛の入手それ自体優先的な地位の濫用に当たらないかという点も気になっている。
 労務費を上げたいという国土交通省の理念は理解するが、現実的には上記のような問題が発生し、却って工事費の買い叩きを引き起こし労務費の低下につながると思われる。

問題その2 建設業界の付加価値労働生産性が下がっている現状について
 2023年以来、この土木学会の掲示板で提起している問題であるが、建設業界の付加価値労働生産性は改善していない。国土交通省の掲げる単位時間当たりの仕事量を増やす効率化(物的労働生産性の向上)の取り組みは、他業種でいう労働生産性(付加価値労働生産性)の改善につながっていない。むしろ効率化できても、コスト増によって粗利が減少し、過剰な設備投資によって建設会社の採算構造は悪化しているように感じている。このことは過去のスレッドで述べているが財務省からも2021年以来指摘されていることである。給与向上の源泉である付加価値の減少は経営をひっ迫している原因にもなっている。付加価値が向上していないにも関わらず特に国土交通省の工事入札においては賃上げ加点で利益をひっ迫し、ICT、DXの過剰な設備投資によっても利益が減少していると思われる。また、建築業界においては令和7年4月より建築確認申請において構造計算が義務化されたこともコスト増につながり経営をひっ迫させている課題である。
 一方で、国土交通省が賃上げに対して焦れてきているのも分かる。設計労務単価はインフレ率よりも高い水準で毎年更新しているにも関わらず、末端の職人等の賃上げにつながっていない。国土交通省の思惑として本来上がっているはずであった付加価値労働生産性は向上していないことに起因しているが、この点認識している者が非常に少数であるため今後も改善が難しいと思われる。標準労務費の基準設定によって、この問題がさらに致命的に建設業おける経営をひっ迫していくと思われる。

【参考】労働生産性問題における土木学会掲示板へのリンク
【お礼】建設業における生産性の定義問題について | JSCE.jp for Engineers
https://jsce.jp/pro/node/9085

自作の参考資料
230403_生産性の定義齟齬による危険性に関する論考
https://kkdoto-my.sharepoint.com/:b:/g/personal/tsuji002_kkdoto_onmicro…
240225_【参考】財務省と国土交通省の生産性に関する認識の乖離
https://kkdoto-my.sharepoint.com/:b:/g/personal/tsuji002_kkdoto_onmicro…

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