圧密計算のcc法について

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私は建築の構造屋で、下記の質問は建築構造の質問サイトに投稿したものを小改編して転載している事を、始めにお断りさせて下さい。
(私を含め)建築構造屋は、地盤関係は提示された式を使うだけで、解釈や討議はできないもので‥
cc法の式自体は、土木と共通‥というか土木からそのまま援用しているのだと解釈してます。

圧密沈下の検討でcc法を用いる場合、荷重分散は無し・土質定数は単一‥と全く同じ条件で検討しても、圧密層を単一とするか分割するかで結果が違うのですが、そういう物なのでしょうか?

載荷面深さ0m、地下水なし、圧縮指数1、間隙比1、載荷前有効応力=γ20・圧密層中間深さ、増加応力10として、建築基礎構造設計指針(2019年版)p45の式で計算すると、
A:厚さ4mの単層で計算すると19.38cm
B:厚さ2mが2層だと、上から17.61+6.69=24.30cm
C:厚さ1mが4層だと、上から15.05+6.25+3.96+2.90=28.16cm
と、分割を細かくするほど沈下量が大きくなります。
エクセルの計算結果、指針p45の式を載せておきます
http://arc-structure.sakura.ne.jp/cgi-bin3/src/up0433.pdf

式3.1.4はS=Σ【〔Cc・H/(1+eo)〕・log10〔(σ0+Δσ)/σ0〕】 、Sの値がA=Bとなるためには
・Cc・H/(1+eo)は、A=ΣB(Aは2、Bは1x2層)でOK
・(σ0+Δσ)/σ0は、A=Bの平均値とならねばならないが、A

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A

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これは
・私の解釈、計算方法が間違っている
・式は正しいが、そういう物。‥という事は、1層と見做せる層厚や分割方法に基準があるのか(例えば2m以内とか)
どちらなのでしょうか?

ユーザー suketi の写真

計算ソフトで流してみましたが同様の結果となりました。
そういうものと考えて良いのではないでしょうか。
(間隙比、増加応力は検討深度が深くなれば変わりますので、
一定の値とはなりませんけど)

そもそも1つの粘性土層に1つの圧密試験があるのであれば、
分割する必要性が無い様に思います。
例えば、粘性土層が厚く圧密試験が複数ある場合などは
分割して検討することもあると思います。

ユーザー 中筋 智之 の写真

 適用されている粘土層の圧密沈下量の式(3.1.4)は載荷方向に直交する両面排水(排水距離が各i層厚(Hi[m])の1/2)の式、即ち、当単一層では、境界条件として、
地表面で透水でき、且つ、深さ4m以深が砂層の様に透水性が高い地盤の場合の式であり、当て嵌まるのはAで私の計算結果と一致しました。但し、自然地盤では
均質な粘土層でも自重に因って下部ほど圧密され、圧縮指数(Cc[1])又は体積圧縮係数(mv[m^2/kN])は下部ほど小さくなっている事が多く、この場合、代表的圧
縮係数として貴殿の様に層中心のCc又はmvを用いて計算する事が良く行われる。しかし、一次元圧縮の場合、有効応力σ'は全層中一様に分布すると考えるので
粘土層の上半分と下半分とでは圧縮量は上半分の方が多い。従って、層中心の圧縮係数を平均値として均質単一層として計算すれば圧縮量は少な目に出る。こ
の様な場合、1963年にDavis他に拠り、代表値として上から1/3~1/4の位置の値を取るべき事が指摘されている(文献1)。

 式(3.1.4)のΣは、圧縮性の違った幾つかの各粘土層が、境界条件として、最上部粘土層上面が地表面又は砂層で、各粘土層間に排水性能が高い砂層が介在し、最
下部粘土層下面が砂層で、各粘土層での両面排水に因る圧密沈下量を足し合わせる意味で、排水できる砂層が介在しなければB,Cの様に分割するのは条件を満
たしません。実地盤では、排水性能が高い砂層を介在する場合、砂層厚を除き、各粘土層でCci又はmviを用いて圧密沈下量を足し合わせれば宜しいかと私は判断
します。
 S=ΣHi・mvi・⊿σi'=Σ[Cci・Hi/(1+eoi)]log10[(σ0i'+Δσi')/σ0i']・・(3.4.1)
 ここに、σ0i':i層での圧密前の有効応力[kN/m^2]、eoi:i層での圧密前の間隙比[1]、⊿σi':有効圧密圧力の増加量[kN/m^2]
参考文献
1)最上 武雄編 網干 寿夫執筆箇所:土質力学pp335-336、1973.6 2)山口 柏樹:土質力学、pp108、109、1980.11. 3)石原 研而:土質力学、pp125、126、1988.9.

ユーザー 匿名投稿者 の写真

返信が遅れてしまいすいません、ご教授ありがとうございます。

結論としては
・式と計算結果は合っている。圧密層を分割して検討する事が間違っている
・圧密層は、排水層を基準として層分割すべき。1層内で土質定数が異なっても問題はなく、むしろ異なる(深さにつれて圧密し難くなる値が出る)のが普通
・厚さのある圧密層の土質定数は、上部1/2~1/3程度の試験結果を全体に適用するのが一般的/概ね安全側
という事ですかね。
重ねて、ありがとうございました

ユーザー 中筋 智之 の写真

1.単一(粘土)層の場合
 前記の様に、代表的圧縮係数として貴殿の様に上から1/2の位置の値を用いて計算する事が良く行われるが圧縮量が少な目に出て設計上、危険側の為、Davis他
が指摘された上から1/3~1/4の位置の値を取ると、瑕疵責任を取らずに設計提案できる可能性が高く成ります。
 厚さH{m}の単一(粘土)層で、最下部粘土層下面が不透水層の場合、片面(一端)排水で排水距離はHと成ります。
2.圧密係数が違う多層(粘土)地盤の場合
 最上部粘土層上面が地表面又は砂層で、最下部粘土層下面が砂層の条件の場合、圧密時間t[day]→+∞(無限大)の最終圧密沈下量は式(3.1.4)に拠り求まります。
民間事業が多い建築は、公共事業が多い土木と比し一般に供用(圧密)期間が短い為、上から第i(=1,2)層の時間係数Tvi[1]に依る平均圧密度Ui,t[1]として、
 Tv<0.3の時、Laplace変換による近似解は文献1に拠り、Ui,t(Tv)=2(Tv/π)^0.5・・(1)
 Tvが大きい時、Fourier級数の第1項のみで十分で、Ui,t(Tv)=1-(8/π^2)exp(-π^2・Tv/4)
を考慮して、2層粘土の場合、中間(介在)砂層が在る場合と無い場合について以下に記します。
a)中間(介在)砂層が在る場合
 S=ΣUi,t・Hi・mvi・⊿σi'=Σ[Ui,t・Cci・Hi/(1+eoi)]log10[(σ0i'+Δσi')/σ0i']・・(3.1.4')
 Tv1=cv1・t/(H1 /2)^2→U1,t Tv2=cv2・t/(H2 /2)^2→U2,t
 ここに、cvi:第i層の圧密係数[m^2/day]cvi=ki/(mvi・γw),ki:第i層の透水係数[m/day](=86400[m/s]),γw:地下水の単位体積重量[kN/m^3]
b)中間砂層が無い場合(換算法)
 mvは第1,2層で同一の場合、
 S=ΣUt・Hi・mv・⊿σi'・・(3.1.4'')
 H2'=H2(cv1/cv2)^0.5
 Tv=cv・t/(H1+H2' /2)^2→Ut
 尚、圧密は、地下水位以下の粘土層に建物荷重を例とする圧力が作用して生じる過剰間隙水圧が、土粒子は非圧縮と仮定して時間を経て間隙水が排水されて間
隙比が小さくなって、土粒子と水から成る粘土層に弾性論が成立する現象です。依って、有効応力(σ0i')は、地下水位上の土層がj層から成り、地下水位下の第i
層の厚さ中心の代表値を採る場合、Terzaghiの有効応力原理に拠り、式(2)で求めます。
 σ0i'=(地下水位までの全応力)+(地下水位下の付加有効応力)=Σ(γtj・Hj)+(γ1'・H1)+・・+(γti-1'・Hi-1)+γti'・Hi/2・・(2)
 ここに、γtj:地下水位上第j層の湿潤単位体積重量[kN/m^3],Hj:第j層厚[m],γti':地下水位下第i層の水中単位体積重量[kN/m^3]γti'=γsati-γw,
 γsati:第i層の飽和単位体積重量[kN/m^3]
参考文献
1)Fox,E,N.:The mathematical solution for the early stage of consolidation,1948. 2)北詰 昌樹:東工大土質力学第二講義資料,2016.