ダムには砂が溜まってゆくゆくは埋まってしまう、という話は本当ですか? 埋まった時にはまた新しいダムを造るのですか?
うちの大学の講義で、松尾稔先生(84代?土木学会長)は 「ダムの滞砂問題を解決する画期的な方法を開発すれば、 こりゃノーベル賞ものだ」といってらっしゃいました。 なので、皆さん、ノーベル賞狙いで行きましょう。
滞砂している砂は、いわゆる川砂で、良質な骨材なんですよね? (良質な骨材;コンクリートを使うときに混ぜる小石や砂利。塩分がないので良質、 塩分のある海砂は山陽新幹線の高架橋に使われたことが問題になった)
現在、川砂が希少であることを聞いているので、 「ダム湖から汲み取るコスト」+「山奥から運搬するコスト」<「現在の川砂の市場価格」 になればいいと思います。 ダムが持続して新しいダムを作る必要がなくなるメリットや、 現状の川砂採取時の環境インパクトの評価もこの計算に入れるんだと思います。
但し、コンクリートを使う市場が引き続き存在するか、という前提があります。 「縮小」時代に、川砂の希少性が維持できるかどうか、という話です。
金とか、ダイヤモンドが埋まっていればいいんですけど(余談)。
ちょっと書き直し。
> 但し、コンクリートを使う市場が引き続き存在するか、という前提があります。 存在するという前提で、ということです。
> 「縮小」時代に、川砂の希少性が維持できるかどうか、という話です。
再生材、リサイクル骨材などの話もあります。
ご質問にあるとおりダムは上流から流れ込む土砂によって埋まっていきます。
2002年11月18日の朝日新聞の2面に主題は異なりますが、堆砂率の高い50のダムが載っていますのでご参考までに見ていただければ良いかと思います。 この中で特徴的なのは、天竜川、大井川、黒部川、九頭竜川、富士川水系に作られたダムの堆砂率が高いことがわかります。この付近は中央構造線の近くであり山が崩れやすい地質であり、河川勾配も急で少ない雨でも河川に堆積した土砂が水と一緒にダム湖に流れ込みます。
ダム湖に堆積した土砂を排出する方法としては、浚渫して湖外へ搬出する方法とダムに排砂門(ダム湖の水と一緒に貯まった土砂を下流に放出するためにダムに取り付けられた水門)を利用して排砂する方法があります。排砂門は全てのダムに設けられているわけでは有りません。 排砂門を使った排砂は、1991年、黒部川の出し平ダム(関西電力)で行われましたが、湖底に堆積した枯れ葉などが腐敗したヘドロが一緒に富山湾に流れ大きな問題となりました。 このような事を考え合わせるとダムの貯水量を確保し、その機能を維持していくことの難しさをうかがい知ることができると思います。
参考までに堆砂率の高い10ダムを示します(先の朝日新聞より)
堆砂率(%) 1 千頭ダム (静岡県・大井川水系) 97.7 2 小屋平ダム(富山県・黒部川水系) 95.0 3 梵字川ダム(山形県・赤川水系) 94.5 4 黒又ダム (新潟県・信濃川水系) 89.3 5 春別ダム (北海道・静内川水系) 89.2 6 大間ダム (静岡県・大井川水系) 88.8 7 雲川ダム (福井県・九頭竜川水系) 88.7 8 西山ダム (山梨県・富士川水系) 88.6 9 平岡ダム (長野県・天竜川水系) 84.5 10 黒部ダム (栃木県・利根川水系) 81.7
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#55 ノーベル賞もの
うちの大学の講義で、松尾稔先生(84代?土木学会長)は
「ダムの滞砂問題を解決する画期的な方法を開発すれば、
こりゃノーベル賞ものだ」といってらっしゃいました。
なので、皆さん、ノーベル賞狙いで行きましょう。
滞砂している砂は、いわゆる川砂で、良質な骨材なんですよね?
(良質な骨材;コンクリートを使うときに混ぜる小石や砂利。塩分がないので良質、
塩分のある海砂は山陽新幹線の高架橋に使われたことが問題になった)
現在、川砂が希少であることを聞いているので、
「ダム湖から汲み取るコスト」+「山奥から運搬するコスト」<「現在の川砂の市場価格」
になればいいと思います。
ダムが持続して新しいダムを作る必要がなくなるメリットや、
現状の川砂採取時の環境インパクトの評価もこの計算に入れるんだと思います。
但し、コンクリートを使う市場が引き続き存在するか、という前提があります。
「縮小」時代に、川砂の希少性が維持できるかどうか、という話です。
金とか、ダイヤモンドが埋まっていればいいんですけど(余談)。
#56 Re:ノーベル賞もの
ちょっと書き直し。
> 但し、コンクリートを使う市場が引き続き存在するか、という前提があります。
存在するという前提で、ということです。
> 「縮小」時代に、川砂の希少性が維持できるかどうか、という話です。
再生材、リサイクル骨材などの話もあります。
#59 98%埋まったダムも
ご質問にあるとおりダムは上流から流れ込む土砂によって埋まっていきます。
2002年11月18日の朝日新聞の2面に主題は異なりますが、堆砂率の高い50のダムが載っていますのでご参考までに見ていただければ良いかと思います。
この中で特徴的なのは、天竜川、大井川、黒部川、九頭竜川、富士川水系に作られたダムの堆砂率が高いことがわかります。この付近は中央構造線の近くであり山が崩れやすい地質であり、河川勾配も急で少ない雨でも河川に堆積した土砂が水と一緒にダム湖に流れ込みます。
ダム湖に堆積した土砂を排出する方法としては、浚渫して湖外へ搬出する方法とダムに排砂門(ダム湖の水と一緒に貯まった土砂を下流に放出するためにダムに取り付けられた水門)を利用して排砂する方法があります。排砂門は全てのダムに設けられているわけでは有りません。
排砂門を使った排砂は、1991年、黒部川の出し平ダム(関西電力)で行われましたが、湖底に堆積した枯れ葉などが腐敗したヘドロが一緒に富山湾に流れ大きな問題となりました。
このような事を考え合わせるとダムの貯水量を確保し、その機能を維持していくことの難しさをうかがい知ることができると思います。
参考までに堆砂率の高い10ダムを示します(先の朝日新聞より)
堆砂率(%)
1 千頭ダム (静岡県・大井川水系) 97.7
2 小屋平ダム(富山県・黒部川水系) 95.0
3 梵字川ダム(山形県・赤川水系) 94.5
4 黒又ダム (新潟県・信濃川水系) 89.3
5 春別ダム (北海道・静内川水系) 89.2
6 大間ダム (静岡県・大井川水系) 88.8
7 雲川ダム (福井県・九頭竜川水系) 88.7
8 西山ダム (山梨県・富士川水系) 88.6
9 平岡ダム (長野県・天竜川水系) 84.5
10 黒部ダム (栃木県・利根川水系) 81.7