コンクリート構造物の縦クラック

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縦クラックはある程度の範囲内に発生するのは良いというのは本当ですか。
擁壁や漁港の胸壁などのコンクリート構造物で,一スパンが5mのとき誘発目地を入れないが,縦にクラックが発生してもある程度の範囲内であれば,クラックは発生してもいいと言うことを聞いたのですが,そのクラックとクラックの間に有効範囲があるのでしょうか,また、横にクラックが発生するのはナンセンスみたいですが,どの程度なら構造物に影響がないのか教えてください。

コメント

ユーザー munimuni の写真

 擁壁などの縦クラックが、どこまで許容されるのか、ということですが、
本来、クラックは無いに越したことはありません。クラックがあれば、雨水
や海水がコンクリート中に浸透して中性化し、これが進めば鉄筋が腐食して
構造物の強度が低下することになります。

 そうは言っても、コンクリートには打設時点から徐々に乾燥収縮や基礎の
不同沈下、荷重のばらつきなどにより、クラックが入ります。これを完全に
無くすことは非常に困難です。
 そのため、構造物の種別や目的、周辺環境によって、一定程度まではクラ
ックを許容するよう基準を作っています。(その値は道路、鉄道、港湾など
それぞれの設計標準に規定されていますので、興味のある部門の設計標準を
入手して調べてみて下さい。)

 なお、縦クラックが(一定程度)許されて、横クラックが許されない理由
ですが、横クラックが発生する、ということは、擁壁などの縦方向の主鉄筋
の量が不足し、壁がはらんでいることを示しているからです。

 蛇足ですが、「誘発目地」は、擁壁の一定間隔ごとに断面の小さいところ
を意図的に作ってそこにクラックを集中させることにより、美観を維持する
ものです。