鉄筋の結束線について

セクション: 
|
ユーザー 匿名投稿者 の写真

コンクリート標準示方書では、鉄筋の交点を直径0.8mm以上の焼きなまし鉄線で結束するのが普通である、と記載されておりますが、実際現場では、亜鉛メッキした焼きなまし鉄線で結束を行っています。亜鉛メッキでも問題ないと思うのですが、問題ないという根拠が出せずにいます。亜鉛メッキでも問題ないという、根拠がありましたら、御知恵を拝借させて頂くと幸いです。

コメント

ユーザー munimuni の写真

 鉄筋の結束線の専門家ではありませんが、思うところを述べさせて
いただきます。

 鉄筋の結束線については、一般に、コンクリート硬化までの間、鉄
筋の相対的な位置を仮固定しておく、というのが主要な役割としてあ
ります。

 そのため、結束線に求められる機能としては、
  (1)鉄筋の相対的な位置を作業性よく固定できる
  (2)コンクリート硬化までの間、特にバイブレータ使用時など、鉄
   筋の位置をずらすような力が働いた場合にも、鉄筋相互の位置
   を保持できる
  (3)結束線により、コンクリートの強度や耐久性の低下が発生しない
 また、コンクリートの耐久性の観点から
  (4)(可能であれば)鉄筋相互の結束点からコンクリート表面に向
   けて結束線がはみ出すような場合(かぶりが薄い状態にある場合)
   でも、結束線自体がサビず、また、鉄筋に向けて水および有害な
   化学物質を誘導するような構造でない
ことが必要だと思います。
 さらに、原子炉やリニアモーターカーのような変動磁場の直近に配置
され、誘導電流の発生が問題になるような場合には
  (5)抵抗値が高い
 などが必要になることもあります。

 さて、ご質問の亜鉛メッキ鉄線については、(少なくとも一般に流通
しているものについては)上記の(1)および(2)が満たされています。
(少なくとも容易に試験施工により確認できます)

 問題となるのは、(3)でしょうが、これは多数の施工事例を通して、コ
ンクリートの強度低下や耐久性低下が観測されていないことから、(少
なくとも現段階では)満たされていると考えるのが妥当だと思います。
 (短期的な)強度低下が発生しないことについては、複数の種類の結
束線を使って(あるいは使わずに)比較の施工試験を行えば証明できま
す。
 耐久性低下の有無については、現在一般に認識されている耐久性が低
下する現象(中性化、凍害、塩害、アルカリ骨材反応など)で、結束線
が原因となっている現象がないことから問題ないと考えられますが、当
然のことながら、現在発見されていない未知の現象について亜鉛めっき
鉄線が原因にならないという証明は誰にもできません。
 その意味で、「多数の施工事例で問題になっていないので、問題ない
と推定するのが妥当」だと思います。

 なお、(4)および(5)については、亜鉛メッキ鉄線であろうが「なまし
鉄線」であろうが満たしていません。個人的には(4)を満たす結束方法
が一般的になるのが理想だと思っています。

 雑駁ですが、以上です。