砕石等により整地した地盤上に敷鉄板(鋼板)を敷設し、その上に溶融亜鉛めっきしたH鋼を設置する仮設構造物の設計を行っております。鋼構造物が風圧力及び地震力を受けた場合の地盤と敷鉄板間の滑りや、敷鉄板と溶融亜鉛めっきしたH鋼間の滑りを懸念しており、地盤と敷鉄板間の静止摩擦係数や、敷鉄板と溶融亜鉛めっきしたH鋼間の静止摩擦係数についてご教示いただけますでしょうか。以上宜しくお願い申し上げます。
接触面が水で濡れると摩擦係数はほとんどゼロになります。私も素人ですが, ストッパーのない構造はあり得ないと思います。
ご返信有難うございます。敷鉄板とH鋼の接触面が水で濡れると摩擦係数が小さくなると思われますが、それを示す文献等ご存じであればご教示いただけますでしょうか。 敷鉄板上に設置するH鋼は、アングル材を現場溶接することにより横滑りを防止するよう考えております。 以上よろしくお願いいたします。
貴殿が仮設について耐震・耐風仕様を検討されるのは進歩で,湿式摩擦係数は0でない為,私は代理で静止摩擦係数(μ)の求め方を以下に記す(文献1). 1.水平方向載荷し量りの読みをF_0[N]とする実験 静止摩擦力f[N]は静止物体に対し動き出すのを妨げる摩擦力で最大静止摩擦力F_0[N]は滑り出す直前の摩擦力で, F_0=μN(1) 此処に,μ:静止摩擦係数 接触面の種類や状態に依り接触面積に依らない定数,N:垂直抗力[N] 水平方向力運動方程式は, F_0-μmg=0∴μ=F_0/(mg)(1'). 此処に,m:鋼鈑又はH形鋼の質量[kg],g:重力加速度=9.80665m/s^2 2.鋼鈑を摩擦角θ_0[°]傾けH形鋼が滑り出す実験 質量mのH形鋼に作用する力の釣合式 斜面と平行:mgsinθ_0-F_0=0 (2.1)∴F_0=mgsinθ_0 斜面と垂直:N-mgcosθ_0=0 (2.2)∴N=mgcosθ_0 式(2.1),(2.2)及び式(1)に拠り, μ=F_0/(mg)=tanθ_0(2.3). 上記実験例で求められた摩擦材料性質を表1に,非金属の室温,大気中固体摩擦係数を表2に,参考に亜鉛(Zn)の動摩擦係数を表3に示す. 表1 摩擦材料の性質(文献2) 摩擦係数μ 湿式 乾式 焼結合金 0.05~0.10 0.10~0.40 鋳鉄 0.05~0.12 0.12~0.20 表2 非金属の室温,大気中の固体摩擦係数(文献3) 摩擦片 摩擦面 静止摩擦係数μ 石(煉瓦) 金属 0.3~0.4 石 土 0.5(乾)~0.3(湿) (参考)表3 異種金属同士の室温,大気中の動固体摩擦係数(文献3) 摩擦片 摩擦面 動摩擦係数μ'(<μ) Zn 軟鋼 0.4 水平仮設が前提で,μについて,特に地盤は個別差が大きく鋼鈑と地盤との間を実験1で,H形鋼と鋼鈑との間を簡便に実験2又は1で求める方法も有ります. 参考文献 1)物理基礎,数研出版 2)渡辺彬・武田定彦:摩擦の基礎,pp15,2004.6 3)機械工学便覧
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コメント
#9362 Re: 敷鉄板の地盤や鋼材に対する静止摩擦係数について
接触面が水で濡れると摩擦係数はほとんどゼロになります。私も素人ですが,
ストッパーのない構造はあり得ないと思います。
#9364 Re: 敷鉄板の地盤や鋼材に対する静止摩擦係数について
ご返信有難うございます。敷鉄板とH鋼の接触面が水で濡れると摩擦係数が小さくなると思われますが、それを示す文献等ご存じであればご教示いただけますでしょうか。
敷鉄板上に設置するH鋼は、アングル材を現場溶接することにより横滑りを防止するよう考えております。
以上よろしくお願いいたします。
#9366 Re: 敷鉄板の地盤や鋼材に対する静止摩擦係数について
貴殿が仮設について耐震・耐風仕様を検討されるのは進歩で,湿式摩擦係数は0でない為,私は代理で静止摩擦係数(μ)の求め方を以下に記す(文献1).
1.水平方向載荷し量りの読みをF_0[N]とする実験
静止摩擦力f[N]は静止物体に対し動き出すのを妨げる摩擦力で最大静止摩擦力F_0[N]は滑り出す直前の摩擦力で,
F_0=μN(1) 此処に,μ:静止摩擦係数 接触面の種類や状態に依り接触面積に依らない定数,N:垂直抗力[N]
水平方向力運動方程式は,
F_0-μmg=0∴μ=F_0/(mg)(1'). 此処に,m:鋼鈑又はH形鋼の質量[kg],g:重力加速度=9.80665m/s^2
2.鋼鈑を摩擦角θ_0[°]傾けH形鋼が滑り出す実験
質量mのH形鋼に作用する力の釣合式
斜面と平行:mgsinθ_0-F_0=0 (2.1)∴F_0=mgsinθ_0
斜面と垂直:N-mgcosθ_0=0 (2.2)∴N=mgcosθ_0
式(2.1),(2.2)及び式(1)に拠り,
μ=F_0/(mg)=tanθ_0(2.3).
上記実験例で求められた摩擦材料性質を表1に,非金属の室温,大気中固体摩擦係数を表2に,参考に亜鉛(Zn)の動摩擦係数を表3に示す.
表1 摩擦材料の性質(文献2)
摩擦係数μ
湿式 乾式
焼結合金 0.05~0.10 0.10~0.40
鋳鉄 0.05~0.12 0.12~0.20
表2 非金属の室温,大気中の固体摩擦係数(文献3)
摩擦片 摩擦面 静止摩擦係数μ
石(煉瓦) 金属 0.3~0.4
石 土 0.5(乾)~0.3(湿)
(参考)表3 異種金属同士の室温,大気中の動固体摩擦係数(文献3)
摩擦片 摩擦面 動摩擦係数μ'(<μ)
Zn 軟鋼 0.4
水平仮設が前提で,μについて,特に地盤は個別差が大きく鋼鈑と地盤との間を実験1で,H形鋼と鋼鈑との間を簡便に実験2又は1で求める方法も有ります.
参考文献
1)物理基礎,数研出版 2)渡辺彬・武田定彦:摩擦の基礎,pp15,2004.6 3)機械工学便覧