四川大地震と耐震設計に関して

 四川大地震は現時点で死者約7万人に達する大惨事となった。この中には授業中に校舎が崩壊し、その下敷きとなり亡くなった多くの生徒も含まれる。誠に痛ましき限りである。亡くなった方々のご冥福を衷心より祈るとともに、艱難辛苦を乗り越えて一日も早い地域の復興を実現することを期待したい。
 非常に脆く崩れた校舎を含む建物の崩壊に関し、「手抜工事」という非難がマスコミの報道の中で頻繁に聞かれる。崩壊した建物の一部をテレビ等で視て思い出させられる光景がある。それは約40年ほど前に住んでいた台湾での住宅の建設風景である。まさにレンガ積みで、柱や梁には今回見られたように、あまり鉄筋が入っておらず、親類縁者が寄り集まってレンガを積み上げていく光景がいたるところで見られた。
 阪神淡路大震災(1995年)の跡を直後につぶさに見る機会があったが、崩壊した建物とそれ程被害を受けなかった建物が存在した。この理由は概略ではあるが、耐震設計基準が改定になった1981年(昭和56年)以前に設計され、施工されたものと以後の改定基準に従って設計され、施工されたものによる差といわれている。現在わが国では、基準を満たさない建築物に対する耐震補強対策が叫ばれているが、報道によると、学校も含み、約40%が未だ補強されないままになっているとのことである。
 当然の事ながら、今回の四川大地震に耐えうる建物を設計し、建設しようとすれば、今回崩壊した建物のコストを遥かに超えるコストが必要とされる。即ち、コストと安全性のトレードオフの関係が当然あり、どこかで妥協せざるを得ない問題が介在している。当然のことながら、大破はするが、今回のようには潰れない設計・施工も選択の一つになり得る。
 少し極論するなら、四川省での原子力発電所の建設は、今回の四川大地震にも耐えうるように設計され施工されなければならないが、一般住宅を同基準で設計することはいかなる先進国でもあり得ない。コストと安全をどの程度のトレードオフとして定めるかの問題が確実に存在し、このため設計においては多くの要因が含まざるを得ない。40年前の台湾は今に比べれば非常に貧しかった。基準に従った建物の設計・建設といった状況にはなかった。まさに建て放題といった社会状況があった。多分今回の四川省の被害地も似たような社会状況があったのではないか、と推測される。
 また設計基準があれば、話は分かりやすい。基準に従って設計・施工がなされていなければ違法建築物であり、弁解のしようがなく、責任の所在は明らかになる。四川省に適用されるこのような基準が存在したのか否かは調査が不十分で分からない。しかしあったとしても、例えば、現在の東京に未だ見られるごとく、新しい設計基準が施行される前に設計され施工された多くの家屋・建造物があり、耐震補強がなされないままでかなりの数で放置されている状況があり、四川省の場合も類似かそれ以上の脆弱な状態だったのではないかと推測される。
言いにくい話ではあるが、まさに「命と安全のトレードオフ」に近い現実と実態を冷静に受け止めなければならない状況が日本においてさえ実在する、ということである。いわんや途上過程にあり、さらに内陸部でそれほど経済的に恵まれた状況に未だ至っていない今回のような地域では、地質構造からくる大小の差はあるが、惨事は神任せといった現実が存在する。今回のようなケースはまさに明日はわが身に降りかかる他山の石として受け止めなければならない惨事ではあった。
 マスコミは「手抜き」というが、手抜きとは、まともな設計図と仕様書があり、その通り施工されない場合をいうのであり、今回の場合は適切な言葉ではないと思われる。その理由は、四川省の被害を受けた建造物の大部分は、設計図なしで昔ながらの慣例に従って建築許可制度などなしで建てられたものが多いのではないか、と約40年前の台湾の事情より推測するからである。政治の決断とそれを可能にする関連制度の充実、技術力および経済力の充実が必須条件であることへの認識を明確にしなければならない問題であろう。
 大惨事が発生した状況の中で、誰かに不幸の原因を持っていきたくなる気持ちは理解できるが、日本に住む我々も原子力発電所に課されるような耐震基準で保護されているわけではなく、コストと安全のトレードオフを甘受して生きざるを得ない状況に置かれていることを十分認識した上で、日常がセットされていることの技術的側面も理解する必要があると考える。ただ責めるだけでなく、不完全さを受け止め、少しでも改善する社会的な意思を持って、建設的な安全確保を主張し続ける必要があると考えるものである。

                                                                                                                                              以上

落石防護柵の従来型と改良型について

急傾斜の設計を行っていますが、落石防護柵を計画することになり、ネットで製品のCADデータをダウンロードしようとしました。
そこで初めて知ったのですが、従来型と改良型と呼ばれる製品があるようです。
かつて計画を行ったときには柵の高さが1.55mのものを使用しましたが、改良型では1.55mの製品は無く、1.50mの製品があるようです。
この5?の差は、従来型から改良型になった際に出来たのでしょうか。
またそうであるなら、どのような理由で5?低くなったのか教えて下さい。
以上の件、よろしくお願いします。

「学者の良心、記者の良心」と題する記事

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今回中国成都市まで、土木学会他4学会の代表団に同行された産経新聞の福島香織記者が
「学者の良心、記者の良心」と題する記事を掲げておられます。
なぜ、学会が地震関係5学会の連絡会議を立ち上げたか、また今回被災現場の帰国報告を
行わないのかなどに触れています。

http://sankei.jp.msn.com/world/china/080605/chn0806050259003-n1.htm

性能を考慮した道路盛土の耐震強化・補強に関する研究発表会

日 時:平成20年6月19日(木)10:00〜17:00
会 場:大阪大学中之島センター(大阪市北区中之島4-3-53)
主 催:大阪大学、(社)土木学会関西支部
定 員:100名(先着順)
参加費:土木学会会員2,000円 非会員3,000円 学生1,000円
プログラム、申込み方法等の詳細は下記URLをご参照下さい。

 
 http://www.civilnet.or.jp/secretaries/seminars/2008/seino0619.htm

落石の衝撃力について

斜面を転がる落石が鋼矢板(仮設防護柵)に衝突するときの衝撃力(KN)の求め方を教えてください。また、参考になる文献はないでしょうか。(道路の新設工事で仮設落石防護柵の設計をしています。宜しくお願いします。)

セミナー「「強震動予測レシピ−新潟県中越沖地震や能登半島地震などに学ぶ−」

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平成20年4月11日(金)9:45〜17:00
開催場所: 大阪工大摂南大学大阪センター((大阪市北区梅田3-4-5)
会場地図http://www.kosetsu-u.ac.jp/corp/jigyoubu/osakacenter/img/map.jpg
主催: 日本地震工学会,関西地震観測研究協議会
後援:(社)土木学会関西支部、(社)日本地震学会、(社)地盤工学会関西支部、(社)日本建築学会近畿支部、(社)日本機械学会関西支部、(社)日本建築構造技術者協会関西支部、関西ライフライン研究会
定員: 100名(先着順)
受講料:
1)主催団体会員6,000円(学生会員3,000円)
2)後援団体会員(支部をは問わず):8,000(学生会員3,000円)
3)会員外(上記会員以外の方):10,000円(学生3,000円)

詳細:http://www.jaee.gr.jp/event.html#20080411
問い合わせ先:日本地震工学会事務局
〒108-0014 東京都港区芝5-26-20 建築会館内 
電話:03−5730−2831 FAX:03−5730-2830
E-mail:office@general.jaee.gr.jp

プログラム:
(1) 強震動予測に必要な基礎概念 香川 敬生((財)地域 地盤 環境 研究所)
(2) 反射法探査と地盤構造のモデル化 山田 浩二((株)阪神コンサルタンツ)
(3) 統計的グリーン関数法 堀家 正則(大阪工業大学)
(4) 強震動予測レシピ 入倉孝次郎(愛知工業大学)
(5) 最近の被害地震などへの適用例 釜江 克宏(京都大学原子炉実験所)
(6) 将来の大地震予測への適用例 羽田 浩二((株)ニュージェック)

【開催案内】防災研究フォーラム第6回シンポジウム

防災研究フォーラム第6回シンポジウムを下記のように開催しますので、ご案内いたします。参加をお待ちしています。

1. 日 時: 平成20年3月15日(土)
2. 会 場: 東京大学小柴ホール(本郷キャンパス 理学部1号館)
3. 主 催: 防災研究フォーラム、地震調査研究推進本部(事務局 文部科学省)
4. 共 催: 京都大学防災研究所、東京大学地震研究所、(独)防災科学技術研究所
5. テーマ: 能登半島地震と新潟県中越沖地震から学ぶ
6. プログラム、参加申し込み、ポスター等 (http://www.dprf.jp/ をご覧下さい)

サイドブロックは変位制限構造とみなせるか?

新設するAタイプの支承についてですが
下沓にボルト付けされたサイドブロックは変位制限構造とみなせるでしょうか?
構造的にOKなのでしょうか?

「道路橋示方書?耐震設計編に関する質問について(その2)」にこのことが
記載されておりますが解釈に苦しみます。
皆様のご意見をお聞かせ下さい。

「強震動予測−その基礎と応用」第7回講習会のお知らせ

強震動委員会では,地震動評価に携わる技術者・実務者の方々に強震動予測の
最新技術をご理解いただき,各方面で応用いただきたく講習会を実施しており
ます.
今年度は,能登半島地震や新潟県中越沖地震などの,近年多発している内陸地
殻内の地震について,強震動予測を行う際に収集すべき情報と実際の強震動計
算手法について紹介し,実務への適用に役立てることを目指します.これまで
受講された方々を含めて,奮ってご参加下さいますよう,お願い致します.

日本地震学会・強震動委員会主催
日時:平成19年12月4日(火) 9:30〜16:30(受付開始 9:00)
会場:東京工業大学田町キャンパス(JR田町駅すぐ)
   キャンパス・イノベーション・センター(CIC) 1階 国際会議室
   〒108-0023 東京都港区芝浦3-3-6

スケジュール,参加費,申し込み方法など,詳しくは下記にアクセス下さい.
http://www.mmjp.or.jp/kyosindo/koushuukai/koushuukai071204.html

大都市大震災軽減化特別プロジェクト総括成果報告書

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土木学会の皆様

 平成14年度から文部科学省の委託事業として5年間に渡り実施された「大都市大震災軽減化特別プロジェクト」(通称:大大特)の総括成果報告書を、下記URLに掲載しましたので、お知らせします。

 http://www.bosai.go.jp/library/gaibu/ddt-all/index.html

 なお、大大特につきましては、文部科学省のホームページをご覧下さい。
 http://www.mext.go.jp/a_menu/kaihatu/jishin/04031203.htm