ひび割れ幅の限界値算定におけるかぶりの定義について

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土木学会コンクリート標準示方書において、曲げひび割れ幅wの算定式は以下の通りです。
w=1.1k1k2k3{4c+0.7(cs-φ)}(σse/Es+ε'csd)
ここで、鉄筋のかぶりcは純かぶりを意味し、芯かぶり100mm、鉄筋径22の時は
c=100ー22/2=89mm
となります。

一方、ひび割れ幅の限界値wcは、
wc=0.005c
であり、この場合のcも純かぶりであることは理解しています。
ただ、限界値のwcを求める際の鉄筋のかぶりは主鉄筋でいいのか、それとも最外鉄筋になるのかについては明確な記述がありません。

例えば、
主鉄筋:芯かぶり100mm、鉄筋径22
配力鉄筋:芯かぶり80mm、鉄筋径16
のように主鉄筋の外側に配力筋が配置される場合、主鉄筋に関する曲げひび割れ幅wは主鉄筋の純かぶりを元に計算されます。

この時、ひび割れ幅の限界値は
wc=0.005(100-22/2)=0.445mm
と、主鉄筋のかぶりを参照してよいのか?それとも
wc=0.005(100-16/2)=0.36mm
と、外側にある配力筋の純かぶりを考慮する必要があるのか?

ご教示いただけませんでしょうか?
よろしくお願いいたします。

コメント

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すみません、最後の配力筋の純かぶり式については、
×wc=0.005(100-16/2)=0.36mm
○wc=0.005(80-16/2)=0.36mm
の間違いでした。

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外側にある配力筋の純かぶりです。
私は当然だと思っていますが、何かに書いているかと言われれば明確には書いていなかった気がします。

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ご回答ありがとうございます。
ひび割れ幅の制限は鉄筋の腐食を抑制するためのもののため、外側配筋を考慮する必要があるということでしょうか?

例えば港湾構造物設計事例集(H30)では直杭式桟橋の梁の構造計算をする際、主筋(延長方向)の純かぶりを基準としてひび割れ幅の限界値を算定しています。
せん断に対する終局限界の照査においてはスターラップの検討を行っていますが、そのスターラップのかぶりは考慮されていないようです。
(ひび割れ幅照査結果は十分余裕があるため、スターラップを考慮してもOKにはなると思います)

外側鉄筋のかぶりを考慮するような記述やひび割れ幅限界値の算定例が見つからなかったため、質問させていただきました。

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そもそもかぶりの定義が外側の鉄筋からではないですか?

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ひび割れ幅の計算値は,対象とする鉄筋のかぶり(表面からの距離と言った方がいいかもしれません)ですべきです。配力筋があろうとなかろうと,主鉄筋に直交するひび割れのひび割れ幅は変わらないことは容易に推察できると思います。
一方,限界値の方は,ご推察の通り配力筋(最外縁の鉄筋)のかぶりを用いれば安全側になると思います。

ところで全く関係ない話ですが,ここで投稿しようとするとスパム防止のため5文字の入力が求められるのですが,「へ****」となっていて,これがひらがなかカタカナかわかりません。ひらがなで入れたらはねられたのでカタカナだったようですが,なんとかならないものでしょうか。

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そうです、ひび割れ幅の制限は最外側鉄筋で考えるのが基本です。確か、私が関係する設計の会計検査で指摘された事があったと思います。
ただ、私が知る限り、要領書もコンクリート示方書もこのことについて明確に記載していないです。
港湾はまったく経験が無いので分かりませんが、私が経験してきた官庁の道路系、農業系では無いですね。

ただこれにも色々な意見があります。
主筋純かぶりで良いとか、配力筋純かぶりで良いとか・・・個人的考えですが配力筋に錆が発生した時点で主筋にも錆が発生するだろうから、
主筋、配力筋の論議は滑稽で、全てを守れば良いという考えです(私の周りの関係者はこの考えで統一されています)

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コン示設計編P242「原則としてコンクリートの表面に最も近い位置にある引張鋼材とし」
要するに最外縁の主鉄筋ですね。

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主筋、配力筋どちらの方向の曲げひび割れにしろ、鋼材の腐食の観点で影響の大きいのは、コンクリート表面からの距離の小さい方です。そもそも、今の場合、主筋は配力筋の内側ですから、主筋のかぶりという定義はありません(主筋表面からコンクリート表面までの距離等とすべきです)。また、蛇足ですが、純かぶり、芯かぶり等といった用語も存在しません。結論ですが、主筋、配力筋等に関係なく、RC示方書に定義されているかぶりで計算すべきです。

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#8894の発言者です。
「かぶりの定義」はその通りなのですが,曲げひび割れ幅の照査時に用いる「c」は「かぶり」ではなく主鉄筋(曲げに抵抗する鉄筋)の「表面からの距離」を用いるべきと思います。理由は#8894にも書いたとおり,配力筋があろうとなかろうと主鉄筋に直交するひび割れのひび割れ幅は変わらないと考えるためです。すなわち,曲げひび割れはそれに抵抗する鉄筋(主鉄筋)で決まってきて,配力筋によらないと思います。また,「表面からの距離」を用いる方が計算値は大きくなるので安全側になります。
なお,制限値の方は「かぶり」で決めるということでいいでしょう。

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おっしゃられるとおりと思います。曲げひび割れ幅の計算で用いるcは、その鉄筋のかぶりcであり、0.005cのcは、その鉄筋にかかわらず「かぶり」でよいと思います。曲げひび割れ幅の計算式では、その直行する鉄筋については考慮外なので、かぶりcと表現しているものと思います。

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私は計算に使うcと制限値に使うcが違うのはおかしいと思いますよ。
それなら記号を分けるべきです。
土木学会に直接確認した方がよくないですか。

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forum8と綜合システムの計算ソフトでひび割れ幅の計算を確認しましたが、
デフォルトではcの入力は1つで制限値まで計算しています。
もし計算と制限値でcが違うなら大きな問題となりますよ。

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0.005cのcを、土木学会の規定する「かぶり」で計算しておけば、問題にはならないでしょう。0.005cの規定は鋼材腐食に対するものですので、対象となる鋼材は、曲げひび割れ幅の計算のひび割れがどちらを向いていようが、かぶりを規定する最も外側の鉄筋のc(かぶり)ということになるものと思います。0.005cは曲げひび割れだけでなく、温度ひび割れ、乾燥収縮ひび割れなど、これらの総量に対するものと理解しています。

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少し日本語のおかしい部分がありましたので再記します。
0.005cのcを、土木学会の規定する「かぶり」で計算しておけば、問題にはならないでしょう。0.005cの規定は鋼材腐食に対するものですので、対象となる鋼材は、曲げひび割れ幅の計算のひび割れがどちらを向いていようが、かぶりを規定する最も外側の鋼材ということになるものと思います。0.005cは曲げひび割れだけでなく、温度ひび割れ、乾燥収縮ひび割れなど、これらの総量に対するものと理解しています。念の為書き添えますが、曲げひび割れ幅を計算する時のcは、その鉄筋のかぶり(鉄筋表面からコンクリート表面までの距離)で、必ずしも0.005cのcとはならないと思います。0.005cのcは、曲げひび割れ幅を計算した部材の「かぶり」です。