武井篤著:わが国における治水の技術と制度の関連に関する研究(復刻版)の頒布

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本書はわが国の治水に関する基本文献として知られるが、所蔵する図書館等は少なく、印刷から50年以上を経過しており、劣化も進んでいる。元版はB5版・2分冊 (上巻553頁・下巻622頁)の大冊で、ごく一部を除き、本文、図表とも手書き文字となっている。復刻版はA4版396頁、本文をワード、表の大半をエクセルで復刻し、図はスキャナーで取り込み適当な位置に置いた。また、丸山みどり氏(武井篤氏長女)による「武井篤略歴」、松浦茂樹先生による「解題」、「武井論文発表後の研究の進展」を追加した。

頒布数:40冊(申し込みが40冊を超えた場合は追加印刷が出来次第発送するが、3週間以上遅れる見込み。)
頒布価:4,000円+送料(1冊の場合はレターパックライトで送付。送料360円。複数冊等は送料を別途計算。)
頒布開始時期:7月中旬
申込先等: sigk6215@yahoo.co.jpへ、表題を[武井論文復刻版]として、氏名・住所明記のメールを下さい。
折り返し送金先等の情報を返信し、送金確認後、送付致します。
2017年06月29日 編集・発行人 神吉 和夫

武井論文 目 次
 序
序 論
第1章 明治政府成立以前の治水の概要
第2章 明治政府成立当時の治水制度
第3章 明治政府確立以後の治水に関する制度について
第4章 低水工事の展開-明治6年(1872)から明治20年(1887)前後までの治水-
第5章 低水工事から高水工事への転換-明治20年(1887)前後から明治43年(1907) 前後までの治水
第6章 河川法の制定とその背景-高水工事遂行の契機-
第7章 治水の安定期-明治43年(1907)前後の大水害から昭和初頭までの治水-
第8章 治水の安定期からその荒廃へ-昭和初頭から第2次世界大戦終了(1945)までの治水-
第9章 戦後の治水
第10章 治水における諸問題
附 表

武井論文 序論抜粋
 治水という概念には、人間の自然に対する働きかけ、すなわち技術的側面と、人間と人間の間の関係の一つ、すなわち制度的側面とがある。
 本論の目的は、明治政府成立以降、今日に至るまでの、わが国の治水について、上記の意味における技術的側面と制度的側面の関係を、治水技術の発展と、制度的なものの一つとしての法令の変遷との関係において、究明しようとするものである。
 この場合、問題として意識する諸点は、次の各項である。すなわち、わが国の治水において、
(ⅰ) 技術的なるものが、法令の中に、いかなる形でとりいれられているか。
(ⅱ) 技術の発展とともに、法令はどのように変遷するか。
(ⅲ) 法令は、技術の発展を促進する機能を有するか。あるいは、これを阻害することがあるか。
(ⅳ) 技術の発展と制度の変遷の交錯は、それぞれの上に、どのような問題を生起するか。そして、
(ⅴ) この問題の解決は、いかにして行われるか。あるいは、行われねばならぬか。
等である。
 これらの問題の、展開のための立脚点として、まず、序章において治水における技術的側面として、治水と利水の関係を、制度的側面として《法令》の意義を見、つぎに《技術》と《法令》の関係の契機を《技術の働く場所》に求めてみる。
 問題は歴史的に検討されなくてはならないから、歴史的画期を設定する必要がある。この画期に従って、第1章以下10章にわたって記述するのであるが、・・・