道路の縦断勾配の最小値,道路土工要綱の排水について

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ユーザー 匿名投稿者 の写真

建設コンサルタントで道路設計を行っているものです。
以下の三点を教えていただきたいです。

①道路の縦断勾配の最小値の根拠
道路構造令の解説と運用H27.6,P415に、
「道路の縦断勾配の最小値は、路面排水のためにごく小さな値の縦断勾配を付しておくのが望ましい。この値としては、0.3~0.5%程度あれば十分である。」
との記載があるのですが、「0.3~0.5%」で十分な根拠は何なのでしょうか。経験則なのか実験結果から来る値なのでしょうか。

これについて、側溝の流速と関連しているのではと考え、300×300のPU8割水深、i=0.3%として流速を試算するとV=0.859m/secとなり、
道路土工要綱H21,P141に記載の「側溝の許容される平均流速の範囲 0.6~3.0m/sec」の範囲内となります。
試しにi=0.2%で流速を計算してもV=0.701m/secとなるので、この考え方ですと縦断勾配の最小値はi=0.2%でもいいとなってしまいます。

②許容される平均流速の範囲の根拠
道路土工要綱H21,P141に記載の許容される平均流速について、これの根拠も不明です。
下水道の基準に準じているとあり、下水道基準を見ても、
「土砂等の堆積を防ぐ+水路表面の摩擦や洗堀が起こることを防ぐ」範囲になっていることしかわからず、
経験則なのか、何らかの実験結果によるものなのか知りたいです。
 P136:都市部における平均流速の範囲←なぜ都市部の流速は遅くてもよいのでしょうか。
 P141:許容される平均流速の範囲←コンクリート側溝の値は下水道(雨水管きょ)で採用されている値を準用とありますが、汚水管きょの値だと思います。
 P159:排水管の流速の範囲←下水道(雨水管及び合流管)と同じ

③排水管および取付け管の最小径の根拠
道路土工要綱H21,P161に排水管と取付け管の最小径が記載されていますが、この根拠は何でしょうか。
 排水管:φ250㎜
 取付け管:φ150㎜

申し訳ないですが、教えていただけますと幸いです。
以上、よろしくお願いいたします。

コメント

ユーザー 中筋 智之 の写真

 私が保有している資料、限られた経験に拠り、恐縮ですが、以下に参考に記させて頂きます。
①「道路構造令の解説 と運用(H27.6) 、p415」での道路の縦断勾配の最小値は、横断勾配を付して路面排水を処理するよう考えてあるが、降雨強度、縦断勾配の値、
縁石の有無、排水設備(縦断勾配を路面と施工上変えられる側溝を含む)の規模等により、路面排水が十分に行われなかったりするために、縦断方向にも(表面水
としての)路面排水のために、ごく小さな値の縦断勾配を付しておくのが望ましい意ではないでしょうか。縦断勾配が小さ過ぎるとtireと路面との間に水膜が
できてtireが浮いてbreakが効かなくなるハイト゛ロフ゜レーニンク゛現象が起こり易くなります。御存じと思いますが、平坦部では早稲田通りで適用された排水性舗装も選
択肢に成ると私は考えます。
②水路内面が洗堀されないための許容平均流速[m/s]の範囲について、物部 長穂 氏が「水理学、p249、1954.1」に纏めた、
Fortier & Scobey(米、1925)の実測値 種々の自然地盤に於ける多数の開水路に於いて実測された結果
Etcheverry(米) 種々の実地上の資料より各土質に対して定めたもの
を、私が、「道路土工要綱(H21.6)、p141」での側溝の材質に近い土質に関する値と並べて現代仮名遣いに近付けて下表に示します。

道路土工要綱           Fortier & Scobey                       Etcheverry
側溝の材質                 土質                        土質
                              清水 游泥を含む水 流砂を含む水
concrete             0.6~3.0 水成岩      1.80 1.80     1.50    混凝土(良質)      4.0
asphalt             0.6~1.5 粗粒砂利     1.20 1.80     2.00     礫岩、粘板岩      2.0
石張り又はblock         0.6~1.8 Cobbles&Shingles 1.50 1.70     2.00     硬岩          4.0
極めて堅硬な砂利又は粘土     0.6~1.0 硬き山砂利(c)   1.20 1.70     1.50     砂利交り硬粘土盤    1.5~2.0
粗砂又は砂利質土         0.3~0.6 Fine gravel    0.75 1.50     1.10     粗砂          0.50~0.6
砂又は砂質土で相当量の粘土を含む 0.2~0.3 Fine loam     0.60 0.90     0.60     輕き砂交り土(粘土分15%)0.35
微細な砂質土又はsilt       0.1~0.2 Fine sand     0.45 0.75     0.45     微細砂及び游泥     0.15
 表中(c)はcolloid分を含有する場合である。Etcheverryによる値は耐久上相当の余裕を含めた値で、Fortier & Scobeyによる値は洗堀を起こさない最大値の
ため耐久上は一層低い流速を用いる事を可とする。
 日本の都市部では従来のasphaltやconcreteによる舗装面積比が大きく台風時の雨水が地盤へ浸透し難く、東京都では神田川、善福寺川が洪水を起こし、神田
川調節池、善福寺川取水施設が整備された事と前記の耐久上の観点は、「道路土工要綱(H21.6)」で、都市部に於いて側溝での平均流速は0.5~1.0m/sを目安に遅く
している事と整合はします。
 関連して、「土木学会・下水道協会共編:シールト゛工事用標準セク゛メント、p359、2001.7」では、水路tunnelにおいて流水中の砂、cavitationにより、tunnel表面が摩耗を受
ける場合、二次覆工に磨耗代を考慮することがあります。

 数値の厳密性について、もし他者からご提示が無ければ、日本道路協会を通じて尋ねる方法が有ります。ただ、私は当技術siteで議論された数値の合理性を解
決すべく、日本道路協会に他件について問い合せを送りましたが未だ回答が有りません。
参考文献 警視庁監修:交通法令教本、p215、1990.4.