埋設構造物の設計における地盤バネの算定について

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ユーザー CDE の写真

いつもお世話になっております。
人孔や立坑のような応答変位法による埋設構造物の設計に関連して、地盤バネをせん断弾性係数の定数倍として算定する手法(以後、手法①とします)について伺いたいです。
次のURLの論文において、手法①の引用元として1989年出版の「動的解析と耐震設計(土木学会編)」という書籍を見つけました。( 参考文献 7) )
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jscej1984/1997/570/1997_570_249/_pd...
可能であれば2010年以降で手法①を記述している書籍を設計図書として構造物を設計したいです。
上記以外の書籍で手法①について記述されている書籍をご存じの方いらっしゃればご教示いただけますと幸いです。
「動的解析と耐震設計(土木学会編)」の後継に位置する書籍が土木学会から発行されているかご存じの方いらっしゃれば併せてご教示いただけますと幸いです。
よろしくお願いいたします。

コメント

ユーザー 中筋 智之 の写真

星谷 勝 氏に拠る理論は優れるが論文段階の為,「土木学会:地下構造物の耐震性能照査と地震対策guide line,2011.9(文献1)」に於いて応答変位法に用いるばね定数を剪断弾性係数の定数倍としている出典として「鉄道総研編:
鉄道構造物等設計標準・同解説 耐震設計(文献2)」に拠る経験的な簡便式の誘導を私が補い以下に記す.
地盤のmodel化
応答変位法に於ける構造物周辺の地盤は,構造物を支持する地盤ばねとしてmodel化し,其の非線形性は,地震時地盤の歪levelに応じた剛性低下に拠り考慮する.
1)上・下床板の鉛直地盤反力係数k_v[kN/m^3]
k_v=1.7E_0・B_v^(-3/4) (1)
此処に,E_0:地盤の変形係数=2G_d(1+ν_d)[kN/m^2](2)
    G_d:設計剪断弾性係数[kN/m^2]
地震の影響を動的解析に拠り算定する場合
G_d=τ_d/γ_d
此処に,τ_d:地震応答解析に於ける設計剪断応力[kN/m^2],γ_d:地震応答解析に於ける設計剪断歪[1]
地震の影響を簡易に算定する場合
G_d={γ_t(α_g・V_s0d)^2}/g
此処に,γ_t:周辺地盤の湿潤単位体積重量[kN/m^3],V_s0d:設計初期剪断弾性波速度[m/s],α_g:地震時歪levelに拠る地盤の剛性低減係数[1](下表)

 各spectrum毎の低減係数(α_g)
地震動種類 spectrum種      α_g
L1       -        0.70
L2    Ⅰ(海洋型),Ⅱ(内陸型) 0.50

    g:重力加速度(=9.80665m/s^2),ν_d:周辺地盤の動的Poison比[1]沖積及び洪積地盤での地下水位以深では0.50,B_v:上・下床板の幅[m]
2)上・下床板の剪断地盤反力係数k_sv[kN/m^3]
k_sv=k_v/{2(1+ν_d)}=k_v/{2(1+0.5)}=k_v/3 (3)(ν_d=0.5の場合)
3)側壁の水平方向地盤反力係数k_h[kN/m^3]
k_h=1.7E_0・B_h^(-3/4) (4)
此処に,B_v:側壁高さ[m]
4)側壁の剪断地盤反力係数k_sh[kN/m^3]
k_sh=k_h/{2(1+ν_d)}=k_h/{2(1+0.5)}=k_h/3 (5)
 式(1),(3)~(5)に式(2)を代入して算出する剪断弾性係数の定数倍である地盤反力係数に,有限要素法の隣接節点中点間横・縦断方向長さを乗ずれば[kN/m]のばね定数と成る.但し,式(1),(3)~(5)は両辺の次元が一致しない経験式
で,物理理論に基く改良を要すと私は考える.
参考文献
1)土木学会:地下構造物の耐震性能照査と地震対策guide line,p44,2011.9 2)鉄道総合技術研究所編:鉄道構造物等設計標準・同解説 耐震設計,pp31,84,334-336,1999.10