高炉セメントB種を早強ポルトランドセメントに変更して使用したとき

港湾構造物(防波堤)本体のプレキャストブロック(直消ブロック)のコンクリートに発注者の仕様書には高炉セメントB種となっていましたが。工期が無く
工期短縮のため早強ポルトランドセメントを使用してコンクリートを打設製作しました。
後になって、発注者より「高炉セメントB種より早強ポルトランドセメントの方が耐候性(塩害等)が劣るのではないか?」と言われました。
早強ポルトランドセメントは海洋構造物には使用できないのか教えて下さい。

コメント

#5066

 結論から言うと、早強セメントの使用は可能です。確かに高炉セメントB種は耐候性に優れていますが、早強セメントが劣っているというわけではありません。
海水によるコンクリートの劣化は、水中に含まれる硫酸マグネシウムや塩化マグネシウムがコンクリート中の石灰と化合して水溶性となることで発生します。
したがって海水に対する化学的抵抗性から、海洋構造物にはC3Aの少ない中庸熱セメントや、Ca(OH)2の生成量が少ない高炉セメントB種を使用することが多いです。
 ここで問題なのが、海水の影響での化学的浸食による劣化が、高炉セメントと早強でどれくらい時間差があるのかということです。
それよりも、工期短縮のため早強セメントを使用したことで、以下のような懸念事項があります。
 1.早強セメントはセメント量が多く、水和熱による温度ひび割れが発生しやすい。(直消ブロックはマスコンなのでなおさら)
 2.セメント量が多いことは、自己収縮ひびわれが発生しやすい。
 3.工期がないため、養生が十分に取れていない可能性がある。
 4.養生が行われていないと、乾燥収縮ひび割れが発生しやすい。
以上のように、セメント材料に起因する劣化より、施工(コンクリートの温度管理や養生不足)に起因する劣化が発生しやすいと考えられます。
これは、高炉セメントを使用した場合でも同じです。
 ひびわれが発生するとそこから海水が浸入し、鉄筋の腐食膨張によりさらにひびわれが拡大していきます。(いわゆる塩害)
それはコンクリートの化学的浸食よりもはるかに早く発生します。材料の差異による化学的浸食より、ひびわれによる塩害を心配すべきです。
竣工後の構造物は確認しましたか。ひびわれは発生していませんか。今、発生していなくても半年後、1年後にひびわれが進展している可能性があります。
 以上、長くなりましたが何かの参考になれば幸いです。

#5067

的確なコメントありがとうございました。
早強セメントの使用について施工、養生について十分な配慮をもって施工を行わなければならないことを改めて痛感しました。
今後は、セメント各種の特性及び施工方法まで考慮した上で判断したいと思います。ありがとうございました。