円形断面の鉄筋コンクリート

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「鐵筋コンクリート設計法」p.305~307に円形断面の鉄筋コンクリートの計算方法が示されており、圧縮力によるモーメントはMc=(2r^3×σc)/(1+cosα)×∫(sin^2φ×cos^2φ+sin^2φ×cosφ×cosα)×dφ(0からπ-α)で算出され、積分後の答えが(2r^3×σc)/(1+cosα)×((π-α)/8+(sin^3α×cosα)/3+sin4α/32) と記載されていますが、私の計算では、(2r^3×σc)/(1+cosα)×((π-α)/8-(sin^3α×cosα)/3+sin4α/32) と第2項の符号がマイナスになります。積分の計算過程を教えて頂けないでしょうか。

コメント

ユーザー 匿名投稿者 の写真

回答ではないのですが,書名の「鐵筋コンクリート設計法」だけではどの本かわかりません。どこにでもありそうな書名ですので。出版社・著者・発行年等の情報がないと特定できないと思います。
また,ご自身で計算されて違っているかもということでしたら,ここで質問されるよりもその旨を出版社に問い合わせられた方がいいと思います。誤植の可能性もあります。

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失礼しました。
図書について、補足します。土木学会のサイト 附属土木図書館 戦前土木名著100書にあります、吉田 徳次郎著 『鐵筋コンクリート設計法』 養賢堂 昭和7年発行になります。http://library.jsce.or.jp/Image_DB/s_book/jsce100/htm/041.htm
古い本なので出版社への問い合わせができないのと、計算結果をソフトの結果と照合すると、図書の記載の方が正しいと考えられるので、質問させて頂きました。

ユーザー 中筋 智之 の写真

 当誘導について私は下記URLで貴殿と推す方の定義で誘導し,改めて吉田 徳次郎 博士の記号に合わせて以下に補います.
https://jsce.jp/pro/node/7648
 concreteの引張力を無視する場合,concreteの全圧縮力をC_c[N]とすれば,σ_cが生ずる点からz[mm],中心角φ[rad]での厚dz[mm]の微小要素に生ずる軸圧縮力(dC_c)[N]は,
 dC_c=r・sinφ・dz{r(cosφ+cosα)/[r(1+cosα)]}σ_c
 此処に,z=r(1-cosφ)
    dz=r・sinφ・dφ
だから,
 dC_c=r^2・(sinφ)^2・[(cosφ+cosα)/(1+cosα)]σ_c・dφ. (1)
 故に,対称性を考えて,
 C_c=[(2r^2・σ_c)/(1+cosα)]∫(sinφ)^2(cosφ+cosα)dφ(積分区間0~π-α)(2)
   =[(2r^2・σ_c)/(1+cosα)][(1/3)(sinφ)^3-(1/4)sin2φcosα+(φ/2)cosα](加法定理の倍角公式(sinφ)^2=(1/2)(1-cos2φ)に拠る.)(区間0~π-α)
   =[(2r^2・σ_c)/(1+cosα)]{(1/3)(sinα)^3+(1/2)sinα(cosα)^2+[(π-α)/2]cosα}. (2)
 鉄筋総断面積(A_s)[mm^2]は,r_sの円周上に均等に配置し,鉄筋に働く全圧縮力をC_s[N]とすれば,Bernoulli-Euler(平面保持)の仮定に拠り,中心角φ
[rad]での微小要素に生ずる軸圧縮力(dC_s)[N]は,
 dC_s=[A_s/(2πr_s)]r_s・dφ・n・σ_s・{[r_s(cosφ+cosβ)]/[r_s(1+cosβ)]}
   =[A_s/(2π)]dφ・n・σ_s・[(cosφ+cosβ)/(1+cosβ)] (3)
 此処に,σ_s:鉄筋の最大圧縮応力度[N/mm^2]
    σ_s=σ_c・{[r_s(1+cosβ)]/(r+r_s・cosβ)} (4)
    β:鉄筋に最大引張応力度が生ずる位置から鉄筋中立軸迄の時計回り中心角[rad].
 r・cosα=r_s・cosβ. (5)
 式(3),(4)に拠り,
 dC_s=[A_s/(2π)]dφ・n・σ_c・{[r_s(1+cosβ)]/(r+r_s・cosβ)}[(cosφ+cosβ)/(1+cosβ)]
    =[A_s/(2π)]n・σ_c・{[r_s(cosφ+cosβ)]/(r+r_s・cosβ)}dφ. (6)
 故に,対称性を考えて,
 C_s=2[n・A_s/(2π)]σ_c・[r_s/(r+r_s・cosβ)]∫(cosφ+cosβ)dφ(積分区間0~π)
   =n・A_s・σ_c・cosα/(1+cosα). (式(5)に拠る.) (7)
 平衡条件に拠り,
 N=C_c+C_s=[σ_c/(1+cosα)]{r^2[(2/3)(sinα)^3+sinα(cosα)^2+(π-α)cosα]+n・A_s・cosα}.(8)
 Nが断面の中心とを結ぶ線に直角な直径軸からe[mm]だけ偏心して,concreteに働く圧縮応力度[N/mm^2]に因る曲げmoment(M_c)[N・mm]は,対称性を考えて,
 M_c=∫dC_c・r・cosφ=2[r^3・σ_c/(1+cosα)]∫(sinφ)^2・cosφ(cosφ+cosα)dφ(積分区間0~π-α)
  =[2r^3・σ_c/(1+cosα)]{φ/8-(1/32)sin4φ+(1/3)[cosα(sinφ)^3]}(加法定理の倍角公式(sinφ・cosφ)^2=[(1/2)sin2φ]^2=(1/8)(1-cos4φ)に拠る.)(区間0~π-α)
  =[2r^3・σ_c/(1+cosα)]{(π-α)/8+(1/3)[cosα(sinα)^3+(1/32)sin4α]}. (9)
 前と同じ直径軸に関して,鉄筋に働く圧縮応力度[N/mm^2]に因る曲げmoment(M_s)[N・mm]は,対称性を考えて,
 M_s=∫dC_s・r_s・cosφ=2[A_s/(2π)]n・σ_c・(r_s^2)/(r+r_s・cosβ)∫cosφ(cosφ+cosβ)dφ(積分区間0~π)
  ={(A_s/π)n・σ_c・(r_s^2)/[r(1+cosα)]}[cosβsinφ+φ/2+(1/4)sin2φ](加法定理の倍角公式(cosφ)^2=(1/2)(1+cos2φ)及び式(5)に拠る.)(区間0~π)
  =A_s・n・σ_c・(r_s^2)/[2r(1+cosα)]. (10)
 平衡条件に拠り,
 M=M_c+M_s=[σ_c/(1+cosα)]〈r^3{(π-α)/4+(2/3)[cosα(sinα)^3]+(1/16)sin4α}+n・A_s・(r_s^2)/(2r)〉.(11)

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返信ありがとうございます。
私の計算を全部書くと、以下のようになりますが、最後の-(sin^3 α×cosα)/3の符号がプラスでなくマイナスになります。
どこかで間違えているとは思うのですが。

M_c=∫dC_c・r・cosφ=2[r^3・σ_c/(1+cosα)]∫(sinφ)^2・cosφ(cosφ+cosα)dφ
ここで、
sin^2φ×cos^2φ=(sinφ×cosφ)^2={(sin2φ)/2}^2={(sin2φ)^2}/4={(1-cos4φ)/2}/4=(1-cos4φ)/8
sin^2φ×cosφ=cosφ-cos^3φ= cosφ-1/4cos3φ-3/4cosφ
cos^3φ=1/4cos3φ+3/4cosφ
sin4φ’=cos4φ×4、cos4φ=1/4sin4φ’
sin3φ’=cos3φ×3、cos3φ=1/3sin3φ’
sin(a-b)=sina×cosb-cosa×sinb
1/12×sin3α×cosα-1/4×sinα×cosα=1/12×(-4sin^3α+3sinα)×cosα-1/4×sinα×cosα
=-1/3sin^3α×cosα
sin3φ=-4sin^3φ+3sinφ
よって、
 =(2r^3×σc)/(1+cosα)×∫{(1-cos4φ)/8+cosφ×cosα-(cos3φ+3cosφ)/4×cosα}×dφ (積分区間
~π-α)
 =(2r^3×σc)/(1+cosα)×[φ/8-sin4φ/32+sinφ×cosα-(sin3φ/12+3sinφ/4)×cosα]
 =(2r^3×σc)/(1+cosα)×{(π-α)/8-sin4(π-α)/32+sin(π-α)×cosα-sin3(π-α)/12×cosα-3sin(π-α)/4×cosα}
 =(2r^3×σc)/(1+cosα)×{(π-α)/8-(sin4π×cos4α-cos4π×sin4α)/32+(sinπ×cosα-cosπ×sinα)×cosα-(sin3π×cos3α-cos3π×sin3α)/12×cosα-3 (sinπ×cosα-cosπ×sinα)/4×cosα}
 =(2r^3×σc/(1+cosα)×{(π-α)/8+sin4α/32-sinα×cosα+sin3α/12×cosα+3/4 sinα×cosα}
 =(2r^3×σc)/(1+cosα)×{(π-α)/8+(sin3α×cosα)/12-(sinα×cosα)/4+sin4α/32}
 =(2r^3×σc)/(1+cosα)×{(π-α)/8-(sin^3 α×cosα)/3+sin4α/32}

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 貴殿の下から3行目以降の変形について,cosπ=cos(3π)=-1なので,
 =(2r^3×σc/(1+cosα)×{(π-α)/8+sin4α/32+sinα×cosα-sin3α/12×cosα-3/4 sinα×cosα}
 =(2r^3×σc/(1+cosα)×{(π-α)/8-(sin3α×cosα)/12+(sinα×cosα)/4+sin4α/32}
 =(2r^3×σc)/(1+cosα)×{(π-α)/8+(sin^3 α×cosα)/3+sin4α/32}.
 理解されている合成函数g(f(φ))の微分dg(f(φ))/dφ=[dg(f(φ))/df(φ)][df(φ)/dφ]を用いた積分公式
∫f(φ)^a・f'(φ)dφ=f(φ)^(a+1)/(a+1)(積分区間0~π-α,aはa≠-1を満たす定数)
を用い,合成函数の微分[(sinφ)^3]'=3(sinφ)^2・cosφに着目すると,私が誘導した
∫(sinφ)^2・cosφdφ=(1/3)[(sinφ)^3](積分区間0~π-α)
の様に計算を縮約できます.

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うっかりcosπ=1としていたとこほが間違いでした。
ありがとうございました。助かりました。