鉄筋の基本定着長

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9.5.5基本定着長において、
(2)・・・打込み終了面から300mmの深さより上方の位置で、かつ水平から45°以内の角度で配置されている場合は(1)により求めるldの1.3倍の基本定着長とする。
とあります。

これは、コンクリートが硬化する際のブリーディングによって、上方の鉄筋下側の付着力が小さくなる為基本定着長を割り増していると見聞きした覚えがあります。

示方書では部材の形状・種類等に関わる記述がありませんが、これに厳密に従うとした場合、300mm以下の部材厚(スラブ等)の場合でも一律に考慮する必要があるのでしょうか?この場合上下面の鉄筋両方とも1.3倍した基本定着長を用いることになります。

コメント

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コンクリート標準示方書9.5.5に記載ある「打込み終了面から300mmの深さより上方の位置で・・・」とあるのは「その水平鉄筋の下に300mm以上のコンクリートが打ち込まれる場合・・・」と解釈すべきものです。

定着長を1.3倍と長くとる理由はお察しの通りブリージングにより鉄筋の付着が悪くなるためですが、一般にコンクリートを打設する厚みが厚いほど、コンクリートが沈下する量は大きくなりますから、上端筋とコンクリートの付着(特に鉄筋下面の付着力)が悪くなります。付着に影響を及ぼす限界のコンクリート厚み(高さ)を300mm(後述するようにACIでは12インチ)としているわけです。

例えば300mmの厚さのスラブを打設する場合、上端筋、下端筋ともその下に300mm以上のコンクリートは打設されませんので、定着長を1.3倍する必要はありません。壁の縦筋の場合も1.3倍することは不要です。

もともとの考え方は米国規準ACI 318にあり、コンクリート標準示方書と同趣旨のα(reinforcement location factor)を1.3とするのは以下の場合との記載があります。

Horizontal reinforcement so placed that more than 12 in. of fresh concrete is cast in the member below the development length or splice.............................1.3