L型擁壁の地盤摩擦係数について

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L型擁壁の滑動に関して、防災マニュアルによると、地盤調査をしない場合は地盤摩擦係数を、砂質土なら0.40として計算するよう定められています。
躯体との接している部分がもちろん砂質土であるなら、その数値を使用しなければいけないのでしょうが、たいていの場合、基礎コンクリートを10〜15cm躯体の下に打つことになりますので、コンクリートとコンクリートでの摩擦係数では良いのではないでしょうか?二次製品の業者に聞いてみたところ、同じ話をしていました。
行政は、その話を絶対的に認めてくれない態度をとりますが、実際の所、どうなのでしょうか?

コメント

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参考文献
これに実験結果がのっています・・・・建築基礎構造設計指針の参考資料
擁壁の滑動抵抗に関する実験研究
『日本建築学全構造系論文報告集 第364号』(二木幹夫著 昭和61年6月)

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的確な回答、大変感謝しております。
ぜひとも根拠となる資料が欲しかったので、早速拝見させて頂きました。
回答、本当に有り難うございました。

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ご質問の件は、擁壁が滑動する際、擁壁と一緒に滑動する部分が何で、何と何が摩擦面になるのかという点に帰着すると考えられます。現在の擁壁に関する指針では、基礎コンクリートと擁壁本体との間に滑動面が発生するより先に、「擁壁本体と一体化した基礎コンクリート」と「その下の土」との間に滑動面が発生する、との考えに基づいているようです。

もう少し詳細に検証してみます。道路土工−擁壁工指針(P20-21)には、基礎底面と地盤との間の摩擦角φBに関し、次の規定があります。
「現場打ちコンクリート擁壁の場合φB=φ、プレキャストコンクリート擁壁の場合φB=2/3φ、ここでφは支持地盤の内部摩擦角」。
これは、現場打ちコンクリート擁壁の場合は「土と土」との摩擦角を採用し、プレキャストコンクリート擁壁の場合には、「土とコンクリート」との間の摩擦角を採用していることを意味します。
なぜ、このようになるかというと、地盤面に現場打ちコンクリートを打設すれば,コンクリートが土砂に付着するため,滑動時にはこの付着した土砂も一緒に滑動し、すべり面は「土と土」になる、との考えによると思われます。一方,プレキャストコンクリート擁壁であれば,コンクリートが土砂に付着しないので,すべり面を「土とコンクリート」としているのです。さらにプレキャストコンクリート擁壁に関しては、擁壁工指針(P20-21)に、次の記述があります。「ただし、プレキャストコンクリート擁壁は、基礎コンクリートおよび敷きモルタルを設置して施工することを原則とするが、基礎コンクリートおよび敷きモルタルが良質な材料で適切に施工されている場合には、φB=φとしてよい」
これは、「プレキャストの場合でも、擁壁本体・基礎コンクリート・その下の一部の土が、しっかりと一体化する様に適切に施工されていれば、場所打ちコンクリート擁壁同様、「土と土」の摩擦角を使っても良い」、と言うことだと理解されます。以上ご参考になれば幸いです。

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回答、本当に有り難うございました。
参考にさせて頂きます。