道路標識の必要埋込長について

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初めて投稿します。
道路標識の埋込長についての質問です。

道路標識設計基準・同解説(S62.1 p.243)に「埋込長の算定」の事例がありますが、
風荷重等から必要な埋込長を計算して、必要埋込長が計画の埋込長より短いから"OK"としています。
これについては、理解しているのですが、

コメント

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参考事例は・・・あくまで参考で その数値と判定まで責任を負うものではないことに注意が必要です。-----強いて言えば 表層から35cm以上50cm程度までは将来掘り返される恐れがある部分であると言う事です・・・

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参照されているのは日本道路協会発行の「道路標識設置基準・同解説」で、ご質問はF型標識柱基礎のアンカーボルトの埋込長の決定方法に関するものと思います。

ご指摘の計算箇所は説明不足で設計思想がわかりにくく、ご質問のような疑問を呈されるのはごもっともと思います。私も以前からこの部分に疑問を持っており、ご質問の回答とはなりませんが、以下私見を記載させて頂きます。

事例では計画埋込長85cmがあらかじめ設定されており、これがどのように決定されたのか明確に示されていません。しかしおそらくコンクリートの破壊(コーン状破壊、支圧破壊、付着破壊)ではなくアンカーボルトの破断でアンカーボルトの引抜き耐力を決めるため(すなわち「靭性」のある設計とするため)アンカーボルトの埋込長を大きくとっているものと思われます。埋込長を40cmとしてしまうと、コンクリートの脆性破壊でアンカーボルトの引抜き耐力が決定されるため好ましくありませんし、後述するように付着力に基づく算定式の信頼性そのものにも疑問が残ります。

同じ頁にアンカーボルトの断面算定がありますが、アンカーボルトの短期許容応力度は1,500kg/cm2であり、従ってアンカーボルト1本当たりの引張強度はアンカーボルト径が3cmですから10.6tとなります。これを埋込長の算定式に入れると、埋込長は66.7cmとなります。これに余裕を見て85cmとしたのかも知れません。あるいは標識基礎用アンカーボルトにはいくつかの標準タイプがあり、その中から適切なものを選択すると85cmの長さになるのかも知れません。(ただし、JHの標識標準図集を見ても該当するタイプは見当たりません)

以上はあくまで推定にすぎませんが、一方で設計思想そのものに疑問があります。まず事例では付着力のみでアンカーボルトの埋込長を算出していますが、この考えは現在では一般的ではありません。引抜き力が作用した時、付着力がアンカーボルトの全周表面積で均等に働くとは考えられないからです。コーン状破壊の考え方が一般的ですが、この場合は確実にコーン状に破壊するようアンカーボルト下部をJ型に曲げるかナットで頭をつけるなど工夫が必要です。事例では8本のアンカーボルトを鋼板で結合していますが、この鋼板はアンカーボルトを正規の位置に設置するためのテンプレートの役目しかないものと思われ、本来であればアンカーボルト下部を曲げるかねじを切りナットを固定すべきと考えられます。故意に付着でのみ決まるようにアンカーボルトを設計したのであれば、付着力から埋込長を算出する式の信頼性が問題となります。なお、事例の算定式で1.5で除しているのも根拠不明です。

蛇足ながらアンカーボルトの設計は極めて重要と思うのですが、「道路標識設置基準・同解説」(昭和62年1月)にしろ、日本建築学会の「各種合成構造設計指針・同解説」(1985年制定)にしろ発行後20年ほど経過しており、最新の知見や実験結果を踏まえた改訂版が望まれます。ちなみにアメリカコンクリート協会発行の最近のACI 318では適用範囲が限定されるものの、アンカーボルトの設計法がAppendix Dに示されており、45°ではなく、35°コーン状破壊の方が実情に合うとされています。

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ご教授ありがとうございました。
道路標識の計画埋込長の根拠は無い!とゆうことですね。

もう一つ質問させていただきます。

既設のパラペットにベースプレート式の防風柵を設計したのですが、
アンカーボルトの埋込長について指摘を受けました。
指摘の内容は、
「道路標識の埋込長と比べて、短いが問題ないのか」です。
今回検討した防風柵のアンカー埋込長は20?です。これは、ケミカルアンカーのサイズにより決まりました(安定計算上では、これより数?短くても問題ありません)
防風柵の必要埋込長は、道路標識の必要埋込長の算定方法で計算するものなのでしょうか。
防風柵は、既設のパラペットに施工するので後施工アンカーとなります。
(道路標識の場合は先施工アンカーですよね)

わかりにくいコメントで申し訳ありませんが、ご教授いただければ幸いです。

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#1530の回答者です。
「道路標識の計画埋込長の根拠はない!」と断言するつもりはなく、根拠は明確ではないと申し上げたかったのです。なんらかの設計思想があってアンカーボルトの埋込長を決めているはずなので、たとえ設計例であっても誰にでも理解できるようわかりやすく示して頂きたかったと思います。なお、前回書き忘れましたが、アンカーボルトの埋込長算定方法に関して「道路標識設置基準・同解説」の本文には一切記述がありません。基準の付録として設計例が添付されているのだから、あくまで参考にとどめておくべき、との考えもあるかも知れませんが、設計者は往々にして設計事例に頼ってしまい、十分理解できなくても同じように計算しとけば良い、などということになりがちです。

ケミカルアンカー(これは商品名で以下、接着系アンカーと記載)については先施工アンカーとコンクリート部の破壊形式が異なりますので、必要長さが異なるのは不思議ではありません。ただし、接着系アンカーの問題は?メーカー側の標準設計法でその寸法が決められ、公的な基準がないこと、?耐力が施工の巧拙に大きく左右されること、であり、その適用に当たっては注意が必要です。?の問題については、引抜き試験による耐力確認が有効な対処方法と思います。?の施工の問題は穿孔時に鉄筋切断、コンクリート損傷、孔の曲げ等が生じることで、経験のある専門作業員により慎重に施工すべきと考えます。

ご質問のケースでは既設パラペットに設置するため、後施工アンカーにせざるを得ないと思いますし、適切に設計、施工がなされるのであれば接着系アンカーで何ら問題がないと思います。客先から指摘のあった点についてはメーカー標準設計法に基づく計算書の提示と、必要となれば引抜き耐力試験を実施することで対応すべきではないでしょうか。

私個人としては、接着系アンカーは非常に便利と思っていますが、施工技術に問題がなくとも鉄筋との干渉のため適切に打設できないケースが往々にしてあるため、後施工にせざるを得ないケースを除いては直埋アンカー(先施工アンカー)を採用するようにしています。

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ご教授ありがとうございました。

そうでした。早とちりしてしまいました。
でも、なぜ付録にしか載ってないのでしょう。不思議です。

度々々になってしまいますが、もう一つ質問させてください。
先施工アンカーとあと施工アンカーの破壊形式が異なるとは、どういったことでしょうか。
先施工アンカーは、付着応力について検討し、あと施工は引張力について検討していると解釈しています。(←間違ってますか)
なぜ、先施工アンカーは付着力で、あと施工アンカーは引張力なのでしょうか。
ご提案のありました引き抜き耐力試験は以前実施いたしました。設計値を十分満足する結果が得られました。耐力試験を提案したのはよかったのですが、実際にやってみて、耐力が得られなかった場合どうしようかと思いました。

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前回の回答では、「接着系アンカー」と「先施工アンカー」とを比較してコンクリート部分の破壊形式が異なると申しました。

すなわち「接着系アンカー」ではコンクリートとアンカー材(鋼材)とを結合する役目の接着材がアンカー周囲に分布するため、引抜き耐力は?アンカー体と接着材との間の破断、?接着材とコンクリートとの間の破断、?コンクリートのコーン状破壊、?アンカー材の破断のいずれかで決まります。一方、「先施工アンカー」は接着材はありませんので、?コンクリートのコーン状破壊、?アンカー材の破断のいずれかで決まります。

コーン状破壊とアンカー材の破断は共通ですが、「接着系アンカー」の場合の?および?が「先施工アンカー」では存在しません。アンカー体とコンクリートの間の付着力も考慮しません。その理由は先施工アンカーではアンカー下部をJ型に曲げるか頭をつけるかして必ずコーン状破壊を生じさせるようにしているためです。ところが「道路標識設置基準・同解説」の設計例では付着力の検討のみ行なわれており、アンカーボルトの図を見ても曲げも頭も何もない真っ直ぐな丸鋼がコンクリートに埋まっているような設計となっているので、これはどういう設計思想だろうか、ということになるのです。

従って、ご質問の「先施工アンカーは、付着応力について検討し、・・・」とあるのは、誤りです。先施工アンカーでは付着応力は検討しません。

スポッと抜けるようなアンカーを設計するのはナンセンスですから、自由に設計できる先施工アンカーでは当然、より抜けにくいアンカー形状にします。一方、あと施工となる接着系アンカーでは真っ直ぐなアンカーにならざるを得ないので、付着も検討する必要があります。一般に接着材(樹脂)はコンクリートより強度が高く、コンクリートにある程度浸透するため結果として付着力(というよりせん断力という方が適切と思います)がかなり高くなります。

また、ご質問の「あと施工は引張力について検討している」という表現は良く理解できませんが、先施工アンカー、あと施工アンカーのいずれも想定しうる破壊形式について全て検討すべきで、各々の引抜き耐力の最小値がそのアンカーの設計引抜き耐力となります。

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質問者です。
色々ご丁寧にご教授いただきありがとうございます。

度々の質問で申し訳ありません。

Q1「あと施工アンカー」の検討時には、接着系アンカーを使うので、ある程度アンカーの埋込長が決まってしまうものなのでしょうか。
(埋込長は既製品のサイズによってしまうので特注品を制作する以外はあり得ないと思っています。)

Q2「あと施工アンカー」の検討において、アンカーボルトの必要埋込長を算出する方法はあるのでしょうか。(逆算する方法はあるのでしょうか)
 荷重条件から、必要な投影面積を算出し、その面積に当てはまる埋込長を計算すればいいと思いますが、アンカーボルトのピッチが10?でへりあきがあります。

Q3また、必要埋込長は算出しなければならないのでしょうか。

Q4先施工アンカーの必要埋込長の算定方法は、あと施工アンカーにも使えるのでしょうか。

よろしくお願いします。

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#1530、#1540、#1544で回答した者です。ご質問は全て接着系アンカーに関するものと解釈して述べさせて頂きます。

【Q1について】 接着系アンカーではメーカーのカタログに各アンカーの許容引抜き耐力が示されていますので、設計者(もしくは施工者。以下同じ)は荷重条件に適したアンカーを選定することになります。従って設計者はアンカーの埋込長を算出する必要はありません。ただし、設計者としてはメーカーがどのような許容引抜き耐力算定式を用いているのか、またその根拠についても確認しておくことが肝要と思います。当然のことながら、へりあき、群効果を考慮する必要がある場合は、許容引抜き耐力を低減しておくべきです。

【Q2について】 接着系アンカーの許容引抜き耐力の算定式がメーカーにより示されていますので、その式から必要埋込長を逆算することは可能です。しかし通常の接着系アンカーではアンカー埋込長を自由に設計することはできません。

メーカーによってはカプセルタイプ以外に接着剤を注入するタイプがありますので、この場合はアンカーの埋込長をある程度自由に設計できます。ただし、接着系アンカーの引抜き耐力算定式は各メーカーで実施された引抜き試験結果を裏づけとしていますので、引抜き耐力算定式にはアンカー寸法について適用範囲があることを認識しておくべきです。

また、#1544の回答と重複しますが、引抜き耐力はコンクリートのコーン状破壊だけで決まるとは限りませんので、投影面積からのみ埋込長を決めるのではなく、付着力(コンクリートと接着剤の間の付着力、アンカーと接着剤との間の付着力)およびアンカー材の破断強度についても検討し、最小値を採用すべきです。

【Q3について】 上記の通り、一般の接着系アンカーでは必要埋込長の算出は不要ですが、特殊なケースとしてメーカーカタログの標準アンカー寸法とは異なる接着系アンカーを計画する場合は、必要埋込長を算出する必要が生じます。しかし、Q2で述べたように許容引抜き耐力算定式には適用範囲がありますので、引抜き試験等の確認が必要と思われます。個々のケースについてメーカーに相談されるべきと思います。

【Q4について】 先施工アンカーの必要埋込長の算定方法をあと施工アンカーに使うことはできません。理由は#1540で述べたようにコンクリートの破壊形式が異なるためです。

接着系アンカーの詳細についてはメーカーによってアンカーの種類、施工性、適用範囲等が異なりますので、各メーカーに問い合わせて頂きたいと思います。