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ホーム › 新刊紹介 『水と闘う地域と人々 -利根川・中条堤と明治43年大水害-』新刊紹介 『水と闘う地域と人々 -利根川・中条堤と明治43年大水害-』
◆著名:『水と闘う地域と人々 -利根川中条堤と明治43年洪水-』
◆著者:松浦茂樹 松尾 宏
◆発行:武蔵文化研究会 ◆発売:さきたま出版会
◆体裁:A5版241ページ
◆定価:2,000円+税
◆発売日:2014年2月6日
利根川が流れる埼玉県熊谷市から行田市にかけて中条堤がある。ここが決壊すると、埼玉平野のみならず東京下町まで洪水は広範に氾濫する。それが、明治43年8月利根川・荒川の大出水で現実となり、大水害となって地域社会に混乱を与えた。
近世~近代に至る利水・治水上、現在の熊谷市に残るいわゆる「中条堤(ちゅうじょうづつみ)」の役割は、周辺域にとどまらず、埼玉東部低地から東京北東部低地に至る広い範囲に影響をもっていた。また、水害の利害が絡んだ論所堤としての特徴をもつ治水施設であった。
本著は利根川治水と中条堤に注目し、利根川洪水と中条堤のかかわり、現在に至るその変遷と近代以降最大の被害があった明治43年(1910年)大水害の地域的検証を行っている。利根川は日本を代表する川である。現在その流域には日本の総人口の約10%にあたる1,279人が住んでいる(2013年国土交通省調べ)。またその南西部埼玉県から東京都を流れる荒川流域には930万人が住んでいる(同国土交通省調べ)。かつて首都・東京にまで洪水が氾濫した利根川、荒川が流域に与える利害は過去も未来も実に大きいものがある。多くの人口を抱える埼玉県の東部平野から首都東京東北部低地の水害、治水を知る上で、また、これまで知られてなかった貴重な資料として学術的にも評価の高い内容を含んでいる。なお、本著の特色として、一般読者にもわかりやすく理解できるように専門的用語の説明と多くの関連地図を用いている。河川、治水・土木史、水害史、歴史地理、郷土史として興味深い図書であり、一読をお勧めいたします。