HTBの締め方

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1か所の継手で本来はS10T使用であるが2本だけどんな締付機器もしようできません、F10Tを使用しての手締めの管理になります。   正しい管理方法は

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 tor shear形高力bolt(S10T)を締められない六角高力bolt(HighTensileBolt)(F10T)継手について、摩擦・支圧・引張接合の内、鋼・コンクリートと記されている事から、私は
引張接合と判断し、「道路橋示方書鋼橋編(文献1)」を主に日本建築学会基準(文献2)を参考に、F10Tの締付けを以下に纏める。
1)F10Tに異常が無い事を確め、bolt頭下及びnut下に平座金を1個ずつ敷き、nutを回転させる。
2)setを構成する座金及びnutに裏表が在るので、boltを接合部に組み込む時、逆に使わない。
3)高力boltの締付け順は、部材が密着する様に接合部の中心から外側へ向けて締付ける。一般に最初に締め付けたboltが緩むので2回に分けて締め付けるのを原則
とする。締付けは、nut回転法またはtorque control法に拠り行う。引張接合用bolt(等級;F10T)の設計bolt軸(引張)力を表-17.5.2に示す。

 表-17.5.2 設計bolt軸力(F10T、力の単位[kN])
 螺旋の呼び 設計bolt軸力
 M20     165
 M22     205
 M24     238

 表-17.5.2の設計bolt軸力が得られる様に締め付けるがtorque係数値のばらつき、creepやrelaxation、滑り係数のばらつき等を考慮すると、施工時のbolt軸力は設
計bolt軸力の10%増しを標準とする。
4)高力boltの締付けに用いる機器の内、torque wrenchは±4%の誤差内の精度が得られる様に整備された物を用いる。
 torque control法に拠る場合、上記手順に先立って標準bolt軸力を導入する適切な締付けtorque(T)を式(1)で定める。
 T=10^(-3)・k・d・N (1)
 此処に、T:torque(nutを締付けるmoment)[N・m]{[kgf・m]},k:torque係数値[1]
      S10Tを除く摩擦接合に用いるbolt、ナット及び座金はJISB1186に規定する第2種(F10T)の呼びM20,M22及びM24を標準とし、此のsetのtorque係数値は
      表-6.3.1に拠る。引張接合に用いるboltは摩擦接合に用いるF10T又は此れ等と同等材質の鋼rodを用いるのを標準とし、nut及び座金はF10T用を用いるの
      を標準とする。
      表-6.3.1 setのtorque係数値
      1製造lotの出荷時のtorque係数値の平均値 0.110~0.160

      六角bolt、nut及び平座金のsetのtorque係数値は該当呼び径の検査成績結果から与えられる。
     d:boltの螺旋外径の基準寸法(呼び径)[mm],N:標準bolt軸力[N]{[kgf]}

 torque法に拠る場合、各bolt群の10%のbolt本数を標準としてtorque wrenchで検査し、締め付けtorque値がcalibration時に設定した値の±10%の範囲内に有る時に
合格とし、所定締付けtorqueを10%超えたboltについては、新bolt setに取り替えて締め直す。

 尚、鉄筋concrete部材継手の場合、「帝都高速度交通営団:土木工事標準示方書(文献3)」では「boltの締付け軸力は、boltの許容応力度を目途に締付けること。」
と規定し継手boltに許容応力度の100%の引張応力度が生じる際、boltに生じる軸力N[kN]を式(2)に示す。
 N=10^(-3)・σ_Ba・A_Be
 此処に、σ_Ba :boltの許容引張応力度[N/mm^2],A_Be :boltの有効断面積[mm^2]
参考文献
1)(社)日本道路協会:道路橋示方書共通編、鋼橋編、平成14年3月,pp.141-147,471-480
2)JASS JASSを基にした高力ボルト協会のHP(施工編Q7. 高力boltの締付け施工法の確認方法)URLを以下に記す。
http://www.kouriki-bolt.jp/qa/faq
3)帝都高速度交通営団:土木工事標準示方書(泥水式シールド),平成10年10月