重ね継ぎ手長について教えてください。 9.6.2重ね継手によれば重ね合わせ長さは基本定着長ld以上とするとあります。 また、9.6.2(?)(?)の規定では鉄筋量や継ぎ手の割合などの条件が満足できなければ基本定着長ldを1.3倍以上もしくは1.7倍以上とするとあります。 一方9.5.5基本定着長の(2)では ・・・打込み終了面から300mmの深さより上方の位置で、かつ水平から45°以内の角度で配置されている場合は(1)により求めるldの1.3倍の基本定着長とする。 とあります。
・1.3x1.3とするような式の使い方はしません。 ・他基準に比べて長すぎる気がします。・・・他の基準とは何を示しているのか 長すぎる気がする・・と判断した根拠、さらにその構造物が何を基準に設計された かを示せば・・欲しい回答があるのでは?
結論からいうと、質問者が受けた指摘は正しいと思います。
鉄筋の重ね継手長さは、基本定着長のX倍という形で表されますが、引張鉄筋の場合、基本定着長には次の2種類があります。
(1)Top barの場合
Top barとはその水平鉄筋の下側に30cm以上の厚さのコンクリートが打設される場合をいいます。鉄筋とコンクリートの付着が悪くなる可能性があるので、これ以外の鉄筋の場合に比べ、基本定着長が1.3倍となります。
(2)その他の鉄筋の場合
Top bar以外の場合で、コンクリート標準示方書(構造性能照査編)の式(9.5.2)で算出されます。
以上の2種類の基本定着長に対し、2種類の条件の組み合わせにより重ね継手長さが決まります。マトリックスで示すと次の通りです。
【鉄筋量の割合】【重ね継手集中率が1/2以下】【重ね継手集中率が1/2より大】 ----------------------------------------------------------------- 【必要量の2倍以上】 X=1 X=1.3 ----------------------------------------------------------------- 【必要量の2倍未満】 X=1.3 X=1.7 ----------------------------------------------------------------- 従って、Top barで上記の条件マトリックスのうち、X=1.3の場合の重ね継手長さは、コンクリート標準示方書(構造性能照査編)の式(9.5.2)で算出される基本定着長の(1.3 X 1.3)倍となります。
土木学会以外の規準でも基本的に同じですが、一般に重ね継手は鉄筋応力の小さい箇所に設けるべきであり、同一断面の同じ場所にとらず相互にずらして設けることになっていますので、そのような条件下での重ね継手長さと比較すると、当然長いと感じてしまうのではないかと思います。
重ね継手の配置や重ね継手長さを決めるのは設計者ですが、上記の係数(X)を配慮して、1.3倍や1.7倍とする必要のないよう重ね継手位置や配置を工夫すべきと言えます。
コメント有り難うございます。 しかし、2件のコメントで結論が全く異なっているようで以前悩みは解決できません。 コ示方書の記述がどちらとも読みとれるようになっている気がします。
#2244で回答した者です。
コンクリート示方書の記述がどちらともとれるようになっている、とのことですが、9.5.5および9.6.2の記載内容のどこが曖昧なのでしょうか。
もう少し疑問点を具体的に記載頂くと、ピンポイントの説明ができると思うのですが。
ご回答有り難うございます。 曖昧と感じた点は「9.6.2重ね継手」で指しているldが「9.5.5基本定着長(1)」のldを指しているのか「9.5.5(2)」で係数をかけたものをld=1.3×ldとしているのか判断がつきづらいところです。
しかし、自分の解決策としては前のコメントで述べたような配筋にやむを得ずなる場合は重ね継ぎ手長=ld×1.3×1.3として長くしておけば短いよりは良いと考えることにしました。
鉄筋の基本定着長ldはコンクリート標準示方書(構造性能照査編)の9.5.5(1)もしくは(2)に示される通りです。従って、(1)も(2)も基本定着長ldとなります。
(1)は数式で与えられていますが、(2)は言葉で説明されているため、混乱の原因となっているのではないでしょうか。(2)ではld=1.3Xldとなります。
解決策として長い方のld X 1.3 X 1.3を採用するとのことですが、結果は正しいので異論はありませんが、基準に従えばこれが正しいということをぜひご認識して頂きたいと思います。鉄筋径ごとに重ね継手長さを示す表を作成する場合、必ずTop barとその他の場合に分けます。そして、Top barの場合は3割増しになる、ということです。
コンクリート標準示方書のベースとなっている米国基準ACI 318ではより明解です。基本定着長ldの算定式の中にα(reinforcement location factor)なるものが含まれており、Top barの場合はα=1.3、その他の場合はα=1.0となっています。
そして、コンクリート標準示方書と全く同様に?重ね継手の集中度(同一断面の50%以下か50%を超えるか)と?配筋量(必要鉄筋量の2倍以上か2倍未満か)に応じてldをX倍することにより重ね継手長さが求められます。
ACI 318では、
(1.0 X ld)をClass A splice (1.3 X ld)をClass B splice (1.7 X ld)をClass C splice
と呼んでおり、それぞれ対応する条件の組み合わせはコンクリート標準示方書と同じですが、最新のACI 318ではClass Cの場合(すなわち、同一断面の重ね継手の集中度が50%を超え、必要鉄筋量の2倍より少ない鉄筋しか入っていない場合)も係数Xは1.7からClass Bと同じ1.3に変更となりました。定着長の算定式がコンクリート標準示方書とは異なりますので単純に比較できませんが、ご参考まで。
蛇足ですが、鉄筋の重ね継手と位置は施工者ではなく設計者が決めます。米国ではこれが徹底していますが、我が国では必ずしもそうではないため、現場で混乱を来すことがあります。質問者の方は設計者の立場なのか施工者の立場なのかわかりませんが、もし後者であれば必ず設計者にフィードバックして問い質して頂きたいと思います。
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#2241 鉄筋の重ね継ぎ手について
・1.3x1.3とするような式の使い方はしません。
・他基準に比べて長すぎる気がします。・・・他の基準とは何を示しているのか
長すぎる気がする・・と判断した根拠、さらにその構造物が何を基準に設計された
かを示せば・・欲しい回答があるのでは?
#2244 鉄筋の重ね継手長さについて
結論からいうと、質問者が受けた指摘は正しいと思います。
鉄筋の重ね継手長さは、基本定着長のX倍という形で表されますが、引張鉄筋の場合、基本定着長には次の2種類があります。
(1)Top barの場合
Top barとはその水平鉄筋の下側に30cm以上の厚さのコンクリートが打設される場合をいいます。鉄筋とコンクリートの付着が悪くなる可能性があるので、これ以外の鉄筋の場合に比べ、基本定着長が1.3倍となります。
(2)その他の鉄筋の場合
Top bar以外の場合で、コンクリート標準示方書(構造性能照査編)の式(9.5.2)で算出されます。
以上の2種類の基本定着長に対し、2種類の条件の組み合わせにより重ね継手長さが決まります。マトリックスで示すと次の通りです。
【鉄筋量の割合】【重ね継手集中率が1/2以下】【重ね継手集中率が1/2より大】
-----------------------------------------------------------------
【必要量の2倍以上】 X=1 X=1.3
-----------------------------------------------------------------
【必要量の2倍未満】 X=1.3 X=1.7
-----------------------------------------------------------------
従って、Top barで上記の条件マトリックスのうち、X=1.3の場合の重ね継手長さは、コンクリート標準示方書(構造性能照査編)の式(9.5.2)で算出される基本定着長の(1.3 X 1.3)倍となります。
土木学会以外の規準でも基本的に同じですが、一般に重ね継手は鉄筋応力の小さい箇所に設けるべきであり、同一断面の同じ場所にとらず相互にずらして設けることになっていますので、そのような条件下での重ね継手長さと比較すると、当然長いと感じてしまうのではないかと思います。
重ね継手の配置や重ね継手長さを決めるのは設計者ですが、上記の係数(X)を配慮して、1.3倍や1.7倍とする必要のないよう重ね継手位置や配置を工夫すべきと言えます。
#2245 鉄筋の重ね継ぎ手について
コメント有り難うございます。
しかし、2件のコメントで結論が全く異なっているようで以前悩みは解決できません。
コ示方書の記述がどちらとも読みとれるようになっている気がします。
#2246 Re:鉄筋の重ね継ぎ手について
#2244で回答した者です。
コンクリート示方書の記述がどちらともとれるようになっている、とのことですが、9.5.5および9.6.2の記載内容のどこが曖昧なのでしょうか。
もう少し疑問点を具体的に記載頂くと、ピンポイントの説明ができると思うのですが。
#2247 Re:鉄筋の重ね継ぎ手について
ご回答有り難うございます。
曖昧と感じた点は「9.6.2重ね継手」で指しているldが「9.5.5基本定着長(1)」のldを指しているのか「9.5.5(2)」で係数をかけたものをld=1.3×ldとしているのか判断がつきづらいところです。
しかし、自分の解決策としては前のコメントで述べたような配筋にやむを得ずなる場合は重ね継ぎ手長=ld×1.3×1.3として長くしておけば短いよりは良いと考えることにしました。
#2248 Re:鉄筋の重ね継ぎ手について
鉄筋の基本定着長ldはコンクリート標準示方書(構造性能照査編)の9.5.5(1)もしくは(2)に示される通りです。従って、(1)も(2)も基本定着長ldとなります。
(1)は数式で与えられていますが、(2)は言葉で説明されているため、混乱の原因となっているのではないでしょうか。(2)ではld=1.3Xldとなります。
解決策として長い方のld X 1.3 X 1.3を採用するとのことですが、結果は正しいので異論はありませんが、基準に従えばこれが正しいということをぜひご認識して頂きたいと思います。鉄筋径ごとに重ね継手長さを示す表を作成する場合、必ずTop barとその他の場合に分けます。そして、Top barの場合は3割増しになる、ということです。
コンクリート標準示方書のベースとなっている米国基準ACI 318ではより明解です。基本定着長ldの算定式の中にα(reinforcement location factor)なるものが含まれており、Top barの場合はα=1.3、その他の場合はα=1.0となっています。
そして、コンクリート標準示方書と全く同様に?重ね継手の集中度(同一断面の50%以下か50%を超えるか)と?配筋量(必要鉄筋量の2倍以上か2倍未満か)に応じてldをX倍することにより重ね継手長さが求められます。
ACI 318では、
(1.0 X ld)をClass A splice
(1.3 X ld)をClass B splice
(1.7 X ld)をClass C splice
と呼んでおり、それぞれ対応する条件の組み合わせはコンクリート標準示方書と同じですが、最新のACI 318ではClass Cの場合(すなわち、同一断面の重ね継手の集中度が50%を超え、必要鉄筋量の2倍より少ない鉄筋しか入っていない場合)も係数Xは1.7からClass Bと同じ1.3に変更となりました。定着長の算定式がコンクリート標準示方書とは異なりますので単純に比較できませんが、ご参考まで。
蛇足ですが、鉄筋の重ね継手と位置は施工者ではなく設計者が決めます。米国ではこれが徹底していますが、我が国では必ずしもそうではないため、現場で混乱を来すことがあります。質問者の方は設計者の立場なのか施工者の立場なのかわかりませんが、もし後者であれば必ず設計者にフィードバックして問い質して頂きたいと思います。