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 記号の定義を貴殿に合わせ,α[rad]を最大圧縮応力度(σ_c)[N/mm^2]が生ずる点からの反時計回りの中心角とした.concreteの引張力を無視する場合,
concreteの全圧縮力をN'_c[N]とすれば,σ_cが生ずる点からz[mm],中心角φ[rad]での厚dz[mm]の微小要素に生ずる軸圧縮力(dN'_c)[N]は,
 dN'_c=r・sinφ・dz{r(cosφ-cosα)/[r(1-cosα)]}σ_c
 此処に,z=r(1-cosφ)
    dz=r・sinφ・dφ
だから,
 dN'_c=r^2・(sinφ)^2・[(cosφ-cosα)/(1-cosα)]σ_c・dφ. (1)
 故に,対称性を考えて,
 N'_c=[(2r^2・σ_c)/(1-cosα)]∫(sinφ)^2(cosφ-cosα)dφ(積分区間0~α)(2)
   =[(2r^2・σ_c)/(1-cosα)][(1/3)(sinφ)^3+(1/4)sin2φcosα-(φ/2)cosα](加法定理の倍角公式(sinφ)^2=(1/2)(1-cos2φ)に拠る.)(区間0~α)
   =[(2r^2・σ_c)/(1-cosα)][(1/3)(sinα)^3+(1/2)sinα(cosα)^2-(α/2)cosα]. (2)
 鉄筋総断面積(A_s)[mm^2]は,r_sの円周上に均等に配置し,鉄筋に働く全圧縮力をN'_s[N]とすれば,Bernoulli-Euler(平面保持)の仮定に拠り,中心角φ
[rad]での微小要素に生ずる軸圧縮力(dN'_s)[N]は,
 dN'_s=[A_s/(2πr_s)]r_s・dφ・n・σ_s・{[r_s(cosφ+cosβ)]/[r_s(1+cosβ)]}
   =[A_s/(2π)]dφ・n・σ_s・[(cosφ+cosβ)/(1+cosβ)] (3)
 此処に,σ_s:鉄筋の最大圧縮応力度[N/mm^2]
    σ_s=σ_c・{[r_s(1+cosβ)]/(r+r_s・cosβ)} (4)
    β:鉄筋に最大引張応力度が生ずる位置から鉄筋中立軸迄の時計回り中心角[rad].
 -r・cosα=r_s・cosβ. (5)
 式(3),(4)に拠り,
 dN'_s=[A_s/(2π)]dφ・n・σ_c・{[r_s(1+cosβ)]/(r+r_s・cosβ)}[(cosφ+cosβ)/(1+cosβ)]
    =[A_s/(2π)]n・σ_c・{[r_s(cosφ+cosβ)]/(r+r_s・cosβ)}dφ. (6)
 故に,対称性を考えて,
 N'_s=2[n・A_s/(2π)]σ_c・[r_s/(r+r_s・cosβ)]∫(cosφ+cosβ)dφ(積分区間0~π)
   =-n・A_s・σ_c・cosα/(1-cosα). (式(5)に拠る.) (7)
 平衡条件に拠り,
 N'=N'_c+N'_s=[σ_c/(1-cosα)]{r^2[(2/3)(sinα)^3+sinα(cosα)^2-αcosα]-n・A_s・cosα} (8)
が正確な括弧です.

 N'が断面の中心とを結ぶ線に直角な直径軸からe[mm]だけ偏心して,concreteに働く圧縮応力度[N/mm^2]に因る曲げmoment(M_c)[N・mm]は,対称性を考えて,
 M_c=∫dN'_c・r・cosφ=2[r^3・σ_c/(1-cosα)]∫(sinφ)^2・cosφ(cosφ-cosα)dφ(積分区間0~α)
  =[2r^3・σ_c/(1-cosα)]{φ/8-(1/32)sin4φ-(1/3)[cosα(sinφ)^3]}(倍角公式(sinφ・cosφ)^2=[(1/2)sin2φ]^2=(1/8)(1-cos4φ)に拠る.)(区間0~α)
  =[2r^3・σ_c/(1-cosα)]{α/8-(1/32)sin4α-(1/3)[cosα(sinα)^3]}. (9)
 前と同じ直径軸に関して,鉄筋に働く圧縮応力度[N/mm^2]に因る曲げmoment(M_s)[N・mm]は,対称性を考えて,
 M_s=∫dN'_s・r_s・cosφ=2[A_s/(2π)]n・σ_c・(r_s^2)/(r+r_s・cosβ)∫cosφ(cosφ+cosβ)dφ(積分区間0~π)
  ={(A_s/π)n・σ_c・(r_s^2)/[r(1-cosα)]}[cosβsinφ+φ/2+(1/4)sin2φ](倍角公式(cosφ)^2=(1/2)(1+cos2φ)に拠る.)(区間0~π)
  =A_s・n・σ_c・(r_s^2)/[2r(1-cosα)]. (10)
 平衡条件に拠り,
 M=M_c+M_s=[σ_c/(1-cosα)]〈r^3{α/4-(2/3)[cosα(sinα)^3]-(1/16)sin4φ}+n・A_s・(r_s^2)/(2r)〉 (11)
が正確と判断し,お確かめ下さい.
参考文献
吉田 徳次郎:鐵筋コンクリート設計法、養賢堂、昭和7年,pp.305,306
http://library.jsce.or.jp/Image_DB/s_book/jsce100/pdf/28355/28355_02.pdf
 著者が故人の為,私は,p305 13行目の中心角φ[rad]でのconcreteに生ずる圧縮応力度(σ)[N/mm^2]の添え字を
 σ={r(cosφ-cosα)/[r(1-cosα)]}σ_c
の様にcを補い,p306 2行目の鉄筋最大圧縮応力度(σ_s)[N/mm^2]を
 σ_s=σ_c・{[r_s(1+cosβ)]/(r+r_s・cosβ)}
の様にσ_cを補わせて頂いた。

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