ブックレビュー『証言 東日本大震災/命と地域を守る-防災・減災・応急対策-』

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■書名:『証言 東日本大震災/命と地域を守る-防災・減災・応急対策-』
■編・著者:日刊建設工業新聞社震災特別取材班
■発行:日刊建設工業新聞社(03-3433-7152)
■定価:1400円+税
■体裁:四六版 259ページ
■発売:相模書房
■発行日:平成24年3月1日

 東日本大震災の被災地ではあの日、開通したばかりの高速道路や、耐震強化されていた堤防を使って、必死で逃げた人たちがいました。一方、被災者に救助の手を差し伸べるために、必死で戦った人たちがいました。道路啓開や緊急排水にあたった東北地方整備局や建設会社などもそうです。
 「あの道路がなかったら」「あの堤防がなかったら」「テックフォース(緊急災害対策派遣隊)がいなければ」。教師や住民、首長の証言から、命や地域を守る備えとしてのインフラ、避難、そして救援のための初動体制の必要性が浮かび上がってきます。ご一読をお勧めします。

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#57 Re: ブックレビュー『証言 東日本大震災/命と地域を守る-防災・減災・応急対策-』

ユーザー 森靖之 の写真

現地に入り情報をつかむとともに、じかに当事者との会話を通じて感じ取った緊迫感や各人の責任感が、
報告のみならず行間を通して伝わって来て、思わず引きこまれてしまいました。
例えば、三陸国道事務所の緊急時のみならず、小学校の避難階段敷設など事前の対応も含め、
柔軟かつ的確な判断はあまり知られて居ないと思いますが、関心した次第です。
テーマも的確にカバーされた良い本だと思いました。
土木関係者にはぜひご一読いただきたいものだと思います。

#62 Re: ブックレビュー『証言 東日本大震災/命と地域を守る-防災・減災・応急対策-』

ユーザー 尾下義男 の写真

前略
お世話になります。
危機管理アドバイザー(防災士・精神対話士)の尾下と申します。
現在、「減災学」の講師を務めています。
「減災対策が尊厳ある生を守る」
  大災害が起きると個々の防災意識が一時は高まるが、世の中の関心が薄れつつある現在、被災者の「心のケア活動」を行っています。
 日本は有史以来大災害を経験しているにも関わらず、東日本大震災のトリプル災害(地震・津波・原発)の「負のスパイラル」には太刀打ち出来ませんでした。それは、国民一人ひとりの正常化バイアス(自分は危険な状態ではないと思い込む心理)が被害を拡大したとしても決して過言ではありません。
災害リスクが質的に変わり、首都直下型地震や南海トラフを震源域とする巨大地震は「低頻度高被害型」で、「リスク」ではなく、必ず起こる「必然」です。内閣府の試算では、全国の死者は最大32万人超で、圧倒的な自然の力を前にして、私たち国民は何にどう備えればよいのでしょうか。
これからの防災・減災対策(Disaster Reduction、Disaster Mitigation)は、ハード面だけでなくソフト面のレジリエンス(resilience=復元力、回復力)が重要となります。従来型の「三助の法則:自助・共助・公助」は、「公助」の言訳、「共助」の自己満足、「自助」の無策。私は、必ず起きる大災害に備えるには、「三減の法則」を提言しています。つまり、「自助」と「共助」の隣保協働体制が定着することで、緊急時の危機管理において最大の効果を発揮します。そして、「公助」が地域の危機管理体制を補完(住民の安全)できてこそ、真の減災対策と言えるのではないでしょうか。
減災対策は、①災害を知る②災害に備える③速行動(避難)できる。個人・家庭・地域・学校・企業・自治体・政府・国がそれぞれのポディションを確実に確保して、継続向上(PDCAサイクル:計画・実施・見直・継続)を図ることです。つまり、「靴を測って足を削る」の愚行から、「悲観的に準備(想定外を想定できる能力=危機回避能力)」し、楽観的に実施(普段の対応能力=自らの判断力と行動力)する」こと。その重要ポイントが次の三本柱です。
〇平時から計画的・持続的に真摯に取り組むこと。
〇目標の定量化と、実現方策を具体化して実行管理(危機管理)すること。
〇減災ビジョンは、「尊厳の生を守る」を体系的・総合的に実施すること。
これは、机上の議論に終始せず、国民の目線に軸足を置き、東日本大震災の教訓と最新の知見等を踏まえて、防災リテラシー(災害から生命・財産を護る対策)を具体的に実行することで、減災社会の構築(build a society mitigation)の礎となるのです。「不意の地震に不断の用意」という関東大震災の標語は、地震から90年経つ今も色あせていないことを肝に銘じなければなりません。
私は、三現主義(現状:現地:現人)+PDCAサイクルを重視し、「尊厳ある生を守る」を理念として、地域の安全と安心を守ることに止まらず、防災教育(共育)つまり、「互教互学」の精神で、後世にしっかりと受け継いで行くことを使命として日々研鑽を重ねより一層鋭意努めて参る所存でございます。
ご指導ご鞭撻および指名賜りますようお願い申し上げます。尾下拝

#65 Re: ブックレビュー『証言 東日本大震災/命と地域を守る-防災・減災・応急対策-』

ユーザー 匿名投稿者 の写真

お世話になります。
危機管理アドバイザー(精神対話士)の尾下と申します。

「東日本大震災から3年経過後の現在心の傷は益々深まる」
東日本大震災で被災した3県(岩手・宮城・福島)の子供の3割に、PTSD(心的外傷後ストレス障害)の症状が体験のない地域の9倍もみられました。PTSD症状は、・フラッシュバック(辛い体験が突然蘇える)・体験する夢を繰り返し見る・体験を思い出せない・体験した場所や行動を避ける・ちょっとした物音に驚く・眠れないなどの症状が現れます。
地震や津波、火災、家族・友人との別離、避難所・仮設住宅での生活など、被災体験の数が増えるほど、また、親にPTSD症状があるかどうかで、子供にも症状が多く出ています。子供は自分の状態をうまく説明できないために、見逃してしまうことが多いので、身近で接している保育士や教員などが適切な対応が取れるよう、早急に専門家による支援が必要です。尾下拝