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 貴殿の想定の内、実用条件として、擁壁の奥行き(b[m])が単位長(1m)に限らず、擁壁底面から角度α(0<α≦90°=π/2 rad)だけ平らな背面が傾斜し、擁壁頂部に地下水位
が位置する擁壁に作用する土圧、水圧を私は以下に導く。透水性が高い砂質土のみならず粘性土にもTerzaghiに依る有効応力原理を適用すると、土の全応力(σ[kN/m^2])は、
 σ=σ'+u (1)
 ここに、σ':有効応力[kN/m^2]、u:間隙水圧[kN/m^2]
と表される。擁壁背面と地下水面との交線をy軸、水面上にy軸と直交するx軸、鉛直下向きにz軸、擁壁背面に沿ってy軸に直交してs軸を取る。z=s・sinαであるので、深さz{m}
の位置でのsに関する函数である面積b(s)dsに作用する間隙水圧は、γw・z=γw・s・sinα(ここに、γw:地下(間隙)水の単位体積重量(=ρw・g)[kN/m^3]ρw:水の密度[Mg/m^3]
[t/m^3]、g:重力加速度(≒9.80665m/s^2)と成り、Pascalの原理に拠り擁壁背面に直交して作用する全水圧P[kN]は、擁壁背面積A[m^2]に関する積分として、
 P=∫γw・s・sinα・b(s)ds (2)
と成る。図心の位置をsG[m]とすると、図心の定義より、
  ∫s・b(s)ds=A・sG (3)
であるので、式(2)は、
 P=γw・A・sG・sinα=γw・A・hG(hG≣sG・sinαに拠る。) (4)
と成る。全水圧の作用位置sC[m]は、Pのy軸回りのmoment[kN・m]が角面(要)素に作用する水圧のy軸回りのmomentの和に等しく成る条件から、
 P・sC=∫γw・s・sinα・b(s)ds・s=γw・sinα∫b(s)s^2 ds=γw・sinα・I (5)
 ここに、I≣∫b(s)s^2 dsは擁壁背面のy軸回りの断面2次moment[m^4]
 I=I0+sG^2・A (6)
で、I0は擁壁背面の図心回りの断面2次moment[m^4]である。式(4),(6)を式(5)に代入し、
 sC=sG+I0/(sG・A) (7)
で、全水圧作用点の地下水面からの深さhC[m]=sCsinαと成る。
 擁壁背面に作用するPの水平成分Px[kN]及び鉛直成分Pz[kN]は、
 Px=Psinα=γw・hG・Asinα=γw・hG・Ax (8)
  Pz=-Pcosα=-γw・hG・Acosα=-γw・hG・Az(上向き) (9)
 ここに、Ax、Az:擁壁背面をそれぞれx軸、z軸に直交する面に投影した面積[m^2]である。
と成る。奥行き方向のある区間で、擁壁高さh[m]、b(s)がsに依らず一定でb[m]の場合、
 sC=h/(2sinα)+[b(h/sinα)^3/12]/[h/(2sinα)・b(h/sinα)]=h/(2sinα)+h/(6sinα)=2h/(3sinα) (7')
 hC[m]=2h/3
 Px=γw・(h/2)・bh=bh^2・γw/2 (8')
 Pz=-γw・(h/2)・b(h/tanα)=-bh^2・γw/(2tanα) (9')
と成る。貴殿が示す全水圧は、式(8')に於ける単位奥行き当り、実規模でb=1m当りの力で、単位は[kN/m]です。
 Coulomb(クーロン)土圧は、現状、「トンネル標準示方書」での透水性が低い粘性土の例の様に、有効応力原理を適用せず土水一体として、湿潤単位体積重量γt[kN/m^3]を用いて算定
される事に留意を要し、恐縮ですが試行楔(くさび)法が正しい表記です。
参考文献
1)山口 柏樹:土質力学、pp229-231、1980.11 2)鮏川登:水理学,pp23,24、1990,8. 3)河井 正 准教授に拠る東北大の地盤工学B資料,2017.11

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