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太田論文についてもいくつか異論がありますが、藤本さんの意見にも異論があります。

1.一般に公共事業の計画は発注者が消費者の利益のためであるという大義名分の下に行われている。しかしすべてとは言わないが、実際には利害関係者(たとえば関係企業や地元)と政治家と発注者自身の仕事と予算の確保と組織維持のために行われているのではないか。とくに公共事業供用後に残る巨額の債務や税金の費用負担は関係のない国民への税金とたとえば一部を除く地元民にかかって来る。

2.公共事業とマンション工事では土木と建築の相違があるのは同感である。しかし一部不適格業者を含む手抜き工事は共通の問題である。当事者がいくら弁明しても、たとえば5%の品質不良は100%の品質不良となることは最近のジャーナリズムの動向から銘記すべきである。

3.過去公共事業で高い技術力が達成され現在も維持していることは周知である。しかし規制緩和などの行政や立法が片手落ちであると種々の要因で品質不良が増えることも否定できない。また高い技術力は必要とせず低い技術力でカバーできる仕事も多くなるので技術の向上の機会が減り、結果的に中期的に技術力が低下することになる。

4.項目2.のように公共事業にせよ民間建築工事にせよ、一部に品質不良があれば全体が品質不良であるとされることを我々土木技術者、土木研究者は理解すべきである。それには公共事業の品質を100%確保するシステムを導入すべきである。

5.たとえば、これまで公共事業では検査などの品質管理を発注者、施工者などの当事者が行っているが、さらに第三者の検査と品質管理システムを早急に導入すべきではないか。

6.また公共事業の計画が上記項目1.のような受益者で要否が決定されている現状では一般の理解は得られない。第三者の意見、たとえば独立した第三者機関の意見を含めて要否の結論を出すようにすることがこの問題に応える一つの方法ではないか。

7.他の良い方法もあるであろうが、これらによって公共事業は甲乙の閉鎖社会で行われている、品質確保対策を放置しているとの批判に応える一歩となると思われる。

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