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 雑誌を読んで居られない方のために山崎氏の論旨を要約し、コメントします。
 岡崎氏の意見の補強のようになりますが。。。
(論旨)
1.「4公団民営化推進委員会」の民営化は上場を目指すものであるが、これは本来無料であるべき道路を永久有料としようとするもので不適切。また現在でも国からの財政支援によって成り立つ公団は民間企業としては破綻しているのであって、新道路会社は国民負担なしには上場などできない。
2.現在の高速道路はプール制の採用によって事実上永久有料制になっており、かつ高速道路料金は世界一高い。このため地方では日常生活に高速道路を使い人は少なく、もっぱらトラック道路となっている。
3.この問題解決のためには、高速道路を欧米のように無料にするべきであり次の3点から対策を講じる。
?高い金利対策として、現在の高い金利の債務を低金利である現在の国債を発行して返済する。
?一般道路に使われている道路財源を高速道路にまわす。
?コスト縮減の観点から地方自治体に道路建設を任せる。
このことによって「高速道路が無料の生活道路になれば日本の社会が飛躍的に便利になる」と主張する。
(コメント)
1.民営化推進委員会の提案に矛盾があり、特に上場を目指すと有料会社の永続性が目的化され公共性と反するとの趣旨の指摘には賛成します。
 民営化がメリットを発揮するのは、例えばニュージーランドなどで行われているように料金収受や清掃などのサービスをできる限り外部委託する方法でしょう。今回のニューヨークの停電の遠因に、民営化によって送電線などの基盤に投資がされなかったことがあげられています。民営化すなわち善ではなくその使いようです。
2.次に有料道路は悪、無料道路が理想という主張は誤りでしょう。
むしろこれからは限られた道路を有効に使うため需要マネージメント(TDM)が必要です。高速道路はある程度需要がコントロールされて、可能な限り時間が読めるプレミアム道路であるべきでしょう。もちろん手法にはいろいろありETCなどを使えばまだ安いコストでインターチェンジも追加できて便利にもなります。ただし高速道路料金設定に自由度を持たせ、車種間のバランスを修正しまた全体として下げる事は必要でしょう。
3.また高速道路が無料化されたら生活道路になるというのはナンセンスです。
日本は先進国のなかで自動車台数のなかに占めるトラックの割合が飛びぬけて多い国で、大体アメリカの二倍以上、ヨーロッパの数倍程度です。戦後の産業政策の名残でトラック関係の税負担などが安かったことと、建設関連産業の割合が多いということも原因かと思います。トラック台数の多いままで無料化しても決して快適な高速道路にはならないでしょう。
また氏は現在、地方では高速道路がトラック道路になっていると主張されますが、無料化したらますますその傾向を助長するでしょうし、そもそもトラックが地域の生活と経済を支えているわけですから一方的に敵視するのもいかがかと思います。
4.肝心の政策提言部分ですが、岡崎氏のおっしゃる空論かどうかは別として全体として杜撰です。
 理由は、?有料道路を有効に活用することが国民にとって有利な面が多いのにその点の議論を捨象していること。
 ?財投の一括返済は、法律的な問題もさることながら、国家的には財投の運営を圧迫し国民につけが回らないかをチェックする必要があること。
 ?一般道路財源を高速道路にまわすことについては、現在でも国の直轄事業で構想道路建設を行うことが議論されています。どの程度までまわせるかは選択の問題であって一方的に、まわせば良いとは言えないし、そもそも道路の整備水準についての考察がなされていないのが致命的なこと等からです。
 文字数が多くなりましたので、私の主張は別の機会に譲りたいと思います。
(森 靖之)

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