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#3051 鉄筋の基本定着長算定式のαについて
鉄道指針は見ていないのですが、コンクリート標準示方書(9.5.5節、p136-137)をもとにコメントを書かせて頂きます。
係数cは割裂破壊に関するもので、割裂破壊を生じやすい位置に配置された鉄筋は定着長を長くとる必要がある、という多数の試験結果を基に導入されたものです。
鉄筋のかぶりが小さい場合は近傍のコンクリートの自由端面と鉄筋との間に割裂破壊が生じ、また、鉄筋間隔が小さい場合は、鉄筋間で割裂破壊が生じます。どちらの割裂破壊が先に生じるかはかぶりと鉄筋間隔の1/2の大小関係で決まります。そこで係数cはかぶりもしくは鉄筋間隔(あき)の半分のうち、どちらか小さい方を採用することとしています。cが小さいほど割裂が生じやすいということになり、cを使って計算される係数αが1.0に近くなって、基本定着長は長くなります。
なお、鉄筋間隔(あき)を半分とする理由は、それぞれの鉄筋に同心円を描き、それらが互いに重なるかコンクリートの自由端面に交われば、割裂が生じると考えれば理解しやすいと思います。
要は割裂を生じさせるクリティカルな影響半径をcと考えればよく、ACI 318では鉄筋中心間距離の半分または鉄筋中心から自由端面までの距離のうち小さい方をcと定義していてわかりやすいのですが、コンクリート標準示方書ではそれぞれ「鉄筋のあき」と「かぶり」という表現にしており鉄筋径を含んでいません。コンクリート標準示方書とACI 318では基本定着長の算定式は異なりますので、前者はよりなじみのある言葉で整理したということかも知れません。
ご質問では重ね継手に絡んだ内容となっていますが、重ね継手を「千鳥配置」にしようが「いも継ぎ」にしようが、基本定着長には関係ありません。ただ、「千鳥配置」か「いも継ぎ」かによって重ね継手長さは異なります。一般には、千鳥配置にすべきですが、「いも継手」にせざるを得ない場合(同一断面で重ね継手の割合が半分を超える場合)、9.6.2節に規定されるように1.3倍もしくは1.7倍の重ね継手長さにする必要があります。