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#2595 自然電位
コンクリート表面の電位を基準(=0)というより、照合電極を基準(=0)として計測するため、一般の電気で使用する電圧計では、マイナス端子を照合電極、プラス端子を測定対象である鉄筋に接続すると、計測される符号はそのまま鉄筋電位として表されます。
すなわち、飽和硫酸銅電極(略称CSE)をマイナス端子、鉄筋を+端子につなげば、例えば-0.150Vと電圧計に表示され、記録には鉄筋電位=-150[mVvsCSE]と基準に何の照合電極を使用したか明記します。
もし、マイナス端子を鉄筋、プラス端子をCSEに接続すれば、電圧計は+0.150Vと表示されますが、この場合、鉄筋を基準にCSE電位を計測したことになり、CSE電位=+150[mVvs鉄筋]ということになります。
なお、電気化学用計測器、電位差計では、マイナス端子に相当する端子はWE(WorkingElectrode)、プラス端子に相当する端子はRE(ReferenceElectrode)といい、WEを鉄筋、REを照合電極に接続し、計器内で符号を逆転させ、-0.150Vと表示し、-150[mVvsCSE]と記録します。
電気工学用も電気化学用計器も、プラス端子の方が入力抵抗を高くなっており、マイナス端子をアース側につなぐようになっています。
電気工学計測時には、いわばアース側、大地に接触しているアース線や、土木建築の基礎鋼材をアース、すなわち基準(=0)にして、100V、200Vの値を測定しています。
一方、自然電位は、本来アース側の鉄筋の電位を、照合電極というセンサーを基準(=0)
にして、-0.15V、-0.30Vの値を計測しています。
電圧計で測定するならば、マイナス端子を鉄筋に接続すべきですが、その場合は符号を逆転して読まねばなりません。
なお、電気工学では抵抗やコンデンサ、コイルといった電気・電子材料の電圧・電流を計測しますが、電気化学では金属と環境界面での物理化学的エネルギーを計測しています。金属はそれが接する環境により、その金属特有の電位(物理化学的エネルギー)を示します。高校化学で習うイオン化傾向がその例です。
CuやAg,Pt,Hgなどは、それが接する環境を一定のものにしてやると、極めて安定した電位を示すため、照合電極として使われます。
鉄などもある程度は電位が安定しておりますが、pHや塩分、溶存酸素濃度等々により電位が変化します。この現象をまとめたものが電位-pH図と呼ばれるものです。コンクリートのようなアルカリ環境では通常鉄筋電位は高く(貴に)計測されますが、塩分があると腐食して低く(卑に)計測されます。ただし、酸素濃度が低くなっても卑に計測されるため、自然電位が必ずしも腐食状態を反映しない原因となります。
自然電位計測に関しては、物理化学のなかでも、電気化学の分野になります。
簡単な電気化学の本を読めば、電位計測の原理は分かるかと思います。