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土木学会誌2003年3月号をお持ちでない方のために,中村英夫先生の論考の一部を引用します。

現在すでに供用されている高速道路の延長は約 7 000kmであり,それに加えて約 2 300kmの路線について整備計画が出され,そのうちの 2 000kmについては施工命令が出され,着工中の区間も多い。この約 2 300kmの路線のかなりの部分の建設は必要性は低く,建設中のものも進捗率の低いものは建設を凍結するべきである,との意見が何人かの委員より委員会で強く主張された。
筆者の考えは,これらの路線の建設の必要性は可能な限り分析的に求めるべきであり,主観的あるいは政治的な評価によってその継続や中止が決められるべきではないとするものであった。


また,「分析的方法」の内容として,次の3つの視点から道路計画を評価すべきであると主張されています。

 1.経済的効果
   利用者便益対費用を用いる。
   費用としては,残存建設費用を取り入れることにより,進捗率の高さが事業の
   継続か否かの評価に組み入れられるようにした。

 2.財務的効率性
   採算性を表す料金収入対費用(総建設費+維持管理費)を用いる。
   費用や効果は社会的割引率(4%)のもとで,現在価値に資本還元したもの。

 3.その他の社会的効果
   その他の計量し難い社会的効果。
   地域の広域連携への効果,生活や安全への効果,地域経済振興への効果に分け
   て表現する。
さて,「分析的方法により路線の建設の必要性を決める」ことについては,今日,一般論としてはほぼ異論はないと思います。

しかし,道路四公団民営化委員会で意見の違いが浮き彫りになったのは,他の多くの委員が民営化を前提とした「財務的効率性」に評価基準の中心を置いたのに対し,中村先生が「経済的効果,財務的効率性,社会的効果を総合的に勘案して決定すべき」とした点であったと思います。

この点について,土木屋であるか否かを問わず,日本の将来を考えて自分なりの意見をきちんと持つことが大切だと,私は思っています。

ここでは,もう少しこの「分析的方法」の中身を掘り下げてみましょう。

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