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参照されているのは日本道路協会発行の「道路標識設置基準・同解説」で、ご質問はF型標識柱基礎のアンカーボルトの埋込長の決定方法に関するものと思います。

ご指摘の計算箇所は説明不足で設計思想がわかりにくく、ご質問のような疑問を呈されるのはごもっともと思います。私も以前からこの部分に疑問を持っており、ご質問の回答とはなりませんが、以下私見を記載させて頂きます。

事例では計画埋込長85cmがあらかじめ設定されており、これがどのように決定されたのか明確に示されていません。しかしおそらくコンクリートの破壊(コーン状破壊、支圧破壊、付着破壊)ではなくアンカーボルトの破断でアンカーボルトの引抜き耐力を決めるため(すなわち「靭性」のある設計とするため)アンカーボルトの埋込長を大きくとっているものと思われます。埋込長を40cmとしてしまうと、コンクリートの脆性破壊でアンカーボルトの引抜き耐力が決定されるため好ましくありませんし、後述するように付着力に基づく算定式の信頼性そのものにも疑問が残ります。

同じ頁にアンカーボルトの断面算定がありますが、アンカーボルトの短期許容応力度は1,500kg/cm2であり、従ってアンカーボルト1本当たりの引張強度はアンカーボルト径が3cmですから10.6tとなります。これを埋込長の算定式に入れると、埋込長は66.7cmとなります。これに余裕を見て85cmとしたのかも知れません。あるいは標識基礎用アンカーボルトにはいくつかの標準タイプがあり、その中から適切なものを選択すると85cmの長さになるのかも知れません。(ただし、JHの標識標準図集を見ても該当するタイプは見当たりません)

以上はあくまで推定にすぎませんが、一方で設計思想そのものに疑問があります。まず事例では付着力のみでアンカーボルトの埋込長を算出していますが、この考えは現在では一般的ではありません。引抜き力が作用した時、付着力がアンカーボルトの全周表面積で均等に働くとは考えられないからです。コーン状破壊の考え方が一般的ですが、この場合は確実にコーン状に破壊するようアンカーボルト下部をJ型に曲げるかナットで頭をつけるなど工夫が必要です。事例では8本のアンカーボルトを鋼板で結合していますが、この鋼板はアンカーボルトを正規の位置に設置するためのテンプレートの役目しかないものと思われ、本来であればアンカーボルト下部を曲げるかねじを切りナットを固定すべきと考えられます。故意に付着でのみ決まるようにアンカーボルトを設計したのであれば、付着力から埋込長を算出する式の信頼性が問題となります。なお、事例の算定式で1.5で除しているのも根拠不明です。

蛇足ながらアンカーボルトの設計は極めて重要と思うのですが、「道路標識設置基準・同解説」(昭和62年1月)にしろ、日本建築学会の「各種合成構造設計指針・同解説」(1985年制定)にしろ発行後20年ほど経過しており、最新の知見や実験結果を踏まえた改訂版が望まれます。ちなみにアメリカコンクリート協会発行の最近のACI 318では適用範囲が限定されるものの、アンカーボルトの設計法がAppendix Dに示されており、45°ではなく、35°コーン状破壊の方が実情に合うとされています。

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