「平成16年新潟県中越地震」に対する第1次調査団の派遣について

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 土木学会(会長 森地 茂)は、2004年10月23日夕刻に新潟県中越地方で発生した強い地震の被害に関して、(社)地盤工学会と協力して調査を行なうこととし、団長以下が現地調査を開始した。 今後はこの調査団を拡充し、土木施設等の被災状況、その原因および関連事象の調査・分析を実施して、今後の地震防災・減災と科学技術上の知見に資することとしている。
 調査速報は、ホームページおよび学会誌にて報告の予定。

1.団員構成
    (氏 名)   (所 属)         (専門分野)
団 長:小長井一男 東京大学生産技術研究所 教授   耐震構造学
副団長:大塚  悟 長岡技術科学大学 助教授     防災工学・地震工学
団 員:後藤 洋三 (独)防災科学技術研究所 
           川崎ラボラトリー所長      地震防災工学
    国生 剛治 中央大学 教授           地震地盤工学
    海野 隆哉 長岡技術科学大学 教授      防災設計工学(鉄道)
    澤田 純男 京都大学防災研究所 助教授    地震工学
    本田 利器 京都大学防災研究所 助手     地震工学
    高橋 良和 京都大学 助手          地震工学
   (団員名は、順不同。10月24日時点での構成であり順次拡充の予定)

2.取材窓口
  小長井 (大学電話) 03−5452−6142
      (携帯電話)090−1040−1271

3.速報会等
 調査速報は、順次土木学会ホームぺージ(http://www.jsce.or.jp)および学会誌に発表する予定。
 速報会の日時、二次調査団等については未定。

4.土木学会の窓口は、下記へお願いします。
   総務課長 竹田 office@jsce.or.jp
  企画広報室長補佐 石郷岡 inf@jsce.or.jp

(2004年10月24日発表)

土木学会・平成16年10月台風23号災害緊急調査団派遣について

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土木学会では、このたびの台風23号による災害について、以下のとおり災害緊急調査団を派遣する運びとなりました.

1.目的
平成16年10月20日から21日未明にかけて、日本列島を縦断した大型の台風23号は、九州、中国、四国、近畿、東海地方を中心に土砂崩れや河川の氾濫などの被害をもたらした。
特に兵庫県豊岡市では市内を流れる円山川の堤防が決壊し、泥を含んだ水が大量に流れ出して1,000世帯以上が水に浸かった。また京都府舞鶴市でも国道175号線一帯が水に浸かるなど、甚大な被害を発生させた。
土木学会では、井上和也京都大学教授を団長とする、土木学会台風23号災害緊急調査団を組織して総合的な災害調査に当たる。
本調査では、今回の洪水発生のメカニズム、防災施設の状況、避難体制の実態なども踏まえ、学術的視野に立ってこれらを明らかにし、今後の防災対策等に資する事を目的とする。

2.調査地域、報告会など
 兵庫県豊岡市、京都府舞鶴市での災害を中心として調査を行う。現時点では、中間報告ならびに速報会の日時は未定。

3.調査団長等
団 長 井上和也 京都大学防災研究所教授(河川工学)
副団長 戸田圭一 京都大学防災研究所教授(都市耐水・水工設計学)
副団長 中川 一 京都大学防災研究所教授(土砂水理学)

当面、取材等は副団長の戸田教授へお願いします。
電話番号 大学:0774−38−4136
       携帯:090−7760−0526

4.土木学会の窓口は、下記へお願いします。
   総務課長 竹田 office@jsce.or.jp
   企画広報室長補佐 石郷岡 inf@jsce.or.jp

特許審査官(任期付き審査官)の採用について

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 この度特許庁より、特許審査官(任期付き審査官)の採用について、以下の連絡がありましたのでお知らせいたします。

 知的財産立国に向けた国家戦略の中核を担う特許庁では、世界最高水準の迅速・的確な特許審査の実現のため、優れた専門知識を有する方々を来年度も、任期を限って特許審査官(任期付き審査官)として採用することとなりました。

 詳細は、以下の特許庁のホームページを参照ください。
 http://www.jpo.go.jp/shoukai/saiyou/tokkyo_ninkituki.htm

技術論文などフリーでダウンロードできます。

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[事務局注: 個別サイトの紹介は原則おことわりするのですが、紹介
頂いたサイトにはWebセミナーというコーナーもあり参考となると考
えます。なお、一括印刷用ダウンロードには名前、住所、電話番号、
E-Mailの入力が必要です。]

建設系のおすすめWEBセミナーを紹介します!
資料もダウンロードできるので、是非ご覧下さい!
建設技術者の方にはかなり有用かと思いますよ。

■■建築・土木のための構造最適化入門■■
http://www.civil-eye.com/report/kouza/osaki/overview.htm

■■目でみる基礎「弾塑性論」と「土木振動学」■■
http://www.civil-eye.com/report/kouza/wakai/overview.htm

■■性能照査型設計法に基づく橋梁設計の基礎知識と応用■■
http://www.civil-eye.com/report/kouza/sugiyama/overview.htm

交通基盤情報ビジネス小委員会 ウェブサイト開設

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土木学会 情報利用技術委員会 交通基盤情報ビジネス小委員会(委員長:浦野 隆)では,2004年9月1日(水)より,小委員会のウェブサイトを開設しました。

  交通基盤情報ビジネス小委員会 ウェブサイト

小委員会の研究成果や報告書,活動状況等を,タイムリーに公開していきます。また,ITS(高度道路交通システム)に関する情報の“道しるべ”として,関連ウェブサイトへのリンク等も充実させる予定です。ご愛読のほどお願い申し上げます。

なお,当ウェブサイトは新着情報のRSS(RDF Site Summary)を提供しています。JSCE.jpでユーザ設定を行えば,当ウェブサイトのRSSを読み取って,JSCE.jp のページの左右にある「スラッシュボックス」に,更新情報を表示することができます。お試しください。

新潟・福島豪雨および福井豪雨災害に関する調査団派遣

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 土木学会では、平成16年7月23日に水工学委員会(http://hywr.kuciv.kyoto-u.ac.jp/jsce-suiri.html)との連携のもとに、新潟・福島豪雨および福井豪雨災害に関する調査団派遣を決定。
 調査団の詳細は、土木学会ホームページの災害速報のページ http://www.jsce.or.jp/report/ を参照下さい。
 調査速報は、学会誌および上記ホームページにて報告の予定。

映画「ほたるの星」を見て

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森 靖之です。
 先日「ほたるの星」(菅原浩志監督作品)という映画を見ました。
 懐かしい木造校舎の小学校(萩の明倫小学校?)を舞台に、子供達と小澤征悦ふんする新任教師の展開する人間ドラマです。山口県内の棚田、山村あるいは柳井市などが舞台になっていて、地元では昨年上映されたのでご覧になった方もあるかもしれません。
 子供達と新任教師でほたるを飛ばそうという大プロジェクトを始めます。そこには父兄や同僚教師の反対、悪がきのいたずら、母を無くした子の献身などが情緒豊かに描かれています。
 ところが、ほたるの幼虫を放そうとする川を拡幅しコンクリートで固めるという事業が始まります。子供達の署名などで結局延期になり、翌年の梅雨時期、何千何万の蛍が舞うというところで物語は終わります。このときの河川課の対応ぶりがステレオタイプの役人として描かれているので、物語とは知りつつも笑ってしまいましたが、あとで少し深刻になりました。「もう決まったことだから反対してもだめ」といったものでした。

 物語に議論は不要かもしれませんが、現実はどうなのでしょう?河川の現場でもしそのようなことが起きたらどうするのか興味あるところでした。
 道路でも、いわゆるローカルルールの導入により現地に即した設計を行なうことが奨励されていますが、地方の自治体には伝わっていない印象を持っています。新河川法の考えは全国に伝わっているのでしょうか?

 なおこの映画は、新宿武蔵野館で7月2日まで終日、以降は朝9時のみ。また東上線板橋のワーナーマイカルシネマ板橋で7月中旬まで上映しているとのこと。

プロジェクトx挑戦者たち「羽田空港沖合展開事業」放送決定

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国土交通省関東地方整備局(旧運輸省第二港湾建設局)では昭和58年以来、みなさまのご協力のもと羽田空港沖合展開事業を進めて参りましたが、このたび日本放送協会(NHK)「プロジェクトX挑戦者たち」において、羽田空港沖合展開事業?期〜?期について取り上げられ放送される運びとなりました。下記の日程において放送されますのでお知らせ致します。

放送日 :2004年6月29日(火曜日)
時 刻 :21時15分から 正味約45分
タイトル:プロジェクトX挑戦者たち 「羽田新空港 魔のヘドロ地盤に挑め」
内 容 :一日800便もの飛行機が離着陸する東京・羽田空港。20年前、ヘドロの海から新空港開港にまでこぎつけた技術者たちの闘いを描く。1977年、増加する航空需要をさばくため、運輸省(当時)が決めた新空港建設予定地は、羽田沖の埋め立て地で、地盤沈下が予想される土砂処分場だった。
局・ch局:NHK総合
問い合わせ先:国土交通省関東地方整備局港湾空港部空港整備課 坂本 明
       電話045-211-7421 FAX045-211-0206

古市公威生誕150年記念企画(パネル)展開催

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古市公威生誕150年記念企画(パネル)展
「古市公威とその世界」を開催(6月1日〜6月30日)

また、以下にホームページを立ち上げましたので、
こちらも併せてご覧いただきますよう、
よろしくお願い致します。

「古市公威とその世界」HP
http://61.199.33.80/Image_DB/photo/panel150/top2.html

初代会長古市公威の生誕150年と学会90周年を記念して、
標記パネル展を土木図書館前ロビーにて開催いたします。
土木学会にお立ちよりの際には、是非ご覧下さい。

<なお、パネル内容を1冊にまとめたパンフレット(A4判14pカラー)
を用意しております。
無料で配布いたしますので、ご希望の方は土木図書館までお申し出下さい。

今後、全国大会、土木の日などでの展示も予定しています。
詳細が決まり次第、随時お知らせいたします。

2003年度土木学会認定技術者資格審査の認定者発表

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2003年度の土木学会認定技術者資格審査による認定者が発表になりました。

土木学会技術推進機構ホームページ

あわせて2004年度の資格審査の日程が発表されております。

地下鉄道の火災対策検討会検討結果概要

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 平成15年2月18日に韓国大邱市地下鉄における列車火災事故を記憶されている方も多いと思う。JSCE.jpサイトにもこれに関連した投稿が2件あったように思います。
 この事件を受けた回答が、国土交通省より「地下鉄道の火災対策検討会検討結果概要」(総務省消防庁)として、平成16年3月29日付けで同省のホームページに公開されました。

 この中で、基本的考え方として「地下鉄道の不燃化を進めるとともに、万一火災が発生した場合に、旅客が地上まで安全に避難できる対策を総合的に講じることを基本とする。なお、今回の検討に当たっては、これに加え、消防活動を支援するとの観点も考慮した。」、また、想定火災として「現行の基準では、車両床下機器からの出火やライターによる放火等を想定しているが、これに加え、列車内や売店等でのガソリンによる放火(大火源火災)を想定」を上げ、以下の3つの視点から「車両の火災対策」、「地下駅・トンネルの火災対策」、「旅客の避難誘導等に関する対策」具体的な方策を定めるとともに、駅の構造、火災対策設備の位置等消防活動上有効な情報を、駅と消防機関が共有や定期的に、両者が連携した訓練を実施することを定めている。

 具体的な内容は、国土交通省の発表資料を参照されたい。

2003年8月3日付記事 地下鉄火災対策検討会の調査結果は?
2003年2月19日付記事 日本の地下鉄は安全?

大保ダムを見学して(第3回)―プレキャストコンクリートによる堤体表面型枠工法の紹介―

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独立行政法人 土木研究所 坂本 忠彦

1.プレキャストコンクリートによる堤体表面型枠工法
 大保ダムにおける沢処理工はCSG工法で施工され、その堤体表面はプレキャストコンクリート型枠で施工されていることを前回紹介した。今回はこれについて詳細に説明したい。実は、誰にでも考えつきそうなことではあるが、プレキャストコンクリート部材を堤体表面の型枠として利用して、その背後に堤体コンクリートを打設して両者を一体化し、プレキャストコンクリート部材も堤体の一部として使用することは、「ダムにおいて」及び「大規模に」という枕言葉をかぶせれば、かなり珍しいことなのである。先例としては宮ヶ瀬ダムの副ダム(堤高34.5m)において下流面に景観向上を兼ねて特殊な形状をしたプレキャストコンクリート型枠を使用したものがある。しかしさらに「汎用化」という枕言葉をかぶせれば私の知る限りにおいて本邦初演なのである。この工法は内閣府沖縄総合事務局ほかが開発したもので現在特許申請中と聞く。

2.プレキャストコンクリート型枠の形状等
 プレキャストコンクリート型枠はL字型でダム軸方向に長さが3m、高さ1m、幅0.55m、重量は1.56tで施工中のダム堤体上からクレーン、バックホー(移動式クレーン仕様)等で容易につり込み、据付けが可能である。もっともこの形状は今回の沢処理工に関して決定されたもので、ダム毎にL字型の傾斜角度も含めて変更できる。据付けは、ダム軸方向、上下流方向、標高の三方向に正確かつ容易に行われるよう、各種の工夫が行われている。L字型型枠の背後に保護・遮水コンクリートを打設し、その背後(下流側)にCSGを打設している。
 このサイトでは、図や写真が表示できないのが残念であるが、沢処理工に関しては沖縄総合事務局北部ダム事務所のホームページを参考にされたい。

3.プレキャストコンクリート型枠を採用する利点
(1)施工の安全性向上
 従来、コンクリートダム堤体の表面部分は、木製又は鉄製の型枠を設置し、そこに堤体コンクリート(耐久性、遮水性に優れた外部コンクリート)を打設していた。このため、型枠の設置、取り外しに多大の手間がかかるとともに、堤体の外部における作業も必要となり危険な要素を含んでいた。プレキャストコンクリート型枠では、そのようなことが無く施工の安全性が大幅に向上する。
(2)施工が容易、施工時間の短縮
 あらかじめ製作しておいたプレキャスト型枠を設置するため型枠設置時間を大幅に短縮できる。これはRCD工法CSG工法など同一標高レベルに短時間に大量のコンクリートやCSGを打設する工法の場合、著しく有利になる。
(3)型枠経費の節減
 プレキャストコンクリート型枠は専門の工場で製作されダム現場に搬入される。プレキャストコンクリート型枠を製作するための鋼製型枠は、繰り返し使用(100回以上)出来るので、他ダムへの転用が可能である。実は他ダムに鋼製型枠を転用することが重要で、このことにより型枠経費が大幅に削減されると見込まれる。ケーブルクレーン、クラッシャーなどで官貸与というシステムがあるが同じ発想により経費を削減するのである。
(4)コンクリート表面の品質確保
 プレキャストコンクリート型枠は専門の工場で製作されるのでその品質の信頼性が高い。
(5)ダム建設コストの節減
 以上のことより、ダム建設コストが節減されることが期待される。

4.プレキャストコンクリート型枠導入の経緯
 このように良いことづくめの工法(多少の反論はあろうが)が何故、今まで導入されなかったのであろうか。過去に、ダムの堤体表面処理に手間がかかるため、従来の標準的な型枠工法に加え、次のような試みもなされたことがある。
(1)余裕幅工法
 RCC工法による下流側斜面においては、特に米国において、数mの余裕幅を持って型枠なしでコンクリートを打設した。
(2)スリップフォーム工法
 大型の走行車によりスランプの小さいコンクリートを高さ数10cmの壁状に自立するよう締め固め、型枠とする。
(3)特殊形状なプレキャストコンクリート型枠
 宮ヶ瀬ダムの副ダムに見られたような例である。また外国では、プレキャスト型枠同志が固く連結されるよう工夫した例もある。
(4)ダム用自動式型枠
 建設省の建設技術評価規定に基づき、昭和63年に10グループに対してダム用自動式型枠が認定されている。これは、内装された上昇装置により型枠自ら上昇できるとともに、油圧ジャッキにより型枠自ら脱型動作を行えるものであり、その操作は装置外より操作盤にて行うことができるものである。しかし、この装置は大型すぎて経費が高いことと、他ダムへの転用について明確な保証が無いので、ほとんど実用化されていない。

 今回プレキャストコンクリート型枠が実用化できたのには、次のような理由があろう。
(1)プレキャストコンクリート型枠による通廊施工の経験
 プレキャストコンクリートによる通廊の実施経験によりプレキャストコンクリート型枠への信頼感が向上した。
(2)プレキャストコンクリート型枠を長さ3m、L字型形状とすることにより小形化した。特にL字型にして、水平部を埋め殺すことで、据付けコンクリート打設時の安定感が向上した。
(3)堤体がCSGで築造されるため、特に大きな強度を必要としない。このためプレキャストコンクリート型枠とコンクリートおよびコンクリートとCSGの間の付着強度は特に問題となることは無い。付着強度については今後、ボーリング資料により検証することとしている。

 この沢処理工における施工状況を検討したうえでの判定であるが、今後の台形CSGダムの表面型枠はプレキャストコンクリート型枠によることとなろう。いわばここではプロトタイプの試験を行っているのである。台形CSGダムでの経験が深まればさらに通常の重力式コンクリートダムへの適用も可能となろう。ダム建設コスト縮減の一手段として、この工法の今後の発展を期待しているところである。
 この工法の導入にあたっては、プレキャストコンクリート型枠による通廊施工の経験が大いに役立っている。
 国土交通省北陸地方建設局が建設した宇奈月ダムで採用されプレキャストコンクリート型枠による通廊施工法(北陸地方建設局、ほかの特許工法)は、その鋼製型枠の転用を通じて、平成12年以降、16ダムで採用されることとなり、標準工法化しつつあり、建設コスト縮減と安全施工に大いに貢献してる。
 また、エレベーターシャフト、機械室等にプレキャストコンクリート部材を使用する工法も普及しつつある。これらの工法の紹介は省略するがCSG工法とプレキャストコンクリートによる堤体表面型枠工法の2つの工法の紹介によりダム建設において各種の技術開発が着実に実施されていることを紹介した次第である。

大保ダムを見学して(第2回)―CSG工法の紹介― (2004年3月30日付第2回記事)
大保ダムを見学して―沖縄の渇水と技術開発の紹介― (2004年3月22日付第1回記事)

大保ダムを見学して(第2回)―CSG工法の紹介―

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独立行政法人 土木研究所 坂本 忠彦

1.大保ダムについて
 現在、内閣府沖縄総合事務局北部ダム事務所により建設中の大保ダムは、沖縄北西部の治水と水資源開発を目的としたもので、完成すれば福地ダムに次ぐ沖縄で二番目に大きい貯水容量を持つダムになる。
 大保ダムは本ダムと脇ダムという大きな二つのダムが建設されるというちょっと珍しい計画となっている。
本ダムは、堤高77.5m・堤体積410,000m3の重力式コンクリートダムで大保川本川を締切るダムである。脇ダムは、このダムによる貯留水が分水嶺の低標高部より流域外に流出することを防止するためのもので、堤高66.0m・堤体積1,750,000m3のロックフィルダムである。
これらのダムにおいても色々な技術開発が行われているが、実は今回紹介するのは、この両ダムの構造物に関して直接実施されているものではなく、付帯する構造物に使用されている技術開発である。なお、当情報交流サイトのシステムでは図や写真が表示できないのが残念であるが、図等の詳細は沖縄総合事務局北部ダム事務所のホームページ(http://www.dc.ogb.go.jp/hokudamu/)を参考にされたい。

2.CSG工法
 CSG工法という工法を御存知であろうか。CSGとは、Cemented Sand and Gravelの略で、セメントで固めた砂礫を意味し、ダムなどの構造物を造る材料として最近注目されているものである。
 従来、ダムはその材料によりコンクリートダムとフィルダム(大規模なものは、一般的にロックフィルダム)に大別されていた。CSG工法では、コンクリートダムには使えないような低品質の材料に、若干のセメントに水を加えて固化させることにより、堤体材料として活用を図るものである。セメント量は、60〜100kg/m3の超貧配合である。
 日本が開発したRCD(Roller Compacted Dam Concrete)工法におけるセメント量(この場合、セメント+フライアッシュの合計である)で、110〜130kg/m3、普通の重力式コンクリートダムの内部コンクリートのセメント量は140〜160kg/m3(最大骨材寸法Gmax 150mmの場合)であるから、セメント量の少なさが理解できると思う。
 セメント量が少ないので当然、材料強度が小さくなる。このため、材料強度が小さい場合に適合する堤体形状として台形が提案されている。いわば、材料も形状も重力式コンクリートダムとロックフィルダムの中間なのである。

3.台形CSGダム
 台形CSGダムは、堤体材料としてCSGを使用し、表面には耐久性確保や遮水を目的として、上流側には遮水・保護コンクリート、天端および下流側には保護コンクリートを配置する。台形CSGダムは、弾性体として設計するため、堤体内に放流設備や監査廊、堤頂部に非常用洪水吐きなどを設置することが可能となる。

 この形式のダムが最初に使用されたのは、国土交通省中部地方整備局長島ダムの仮締切ダムにおいてであり、次いで富山県の久婦須ダムや国土交通省北海道開発局の忠別ダムなどの仮締切ダムで採用されたが、いずれも堤高は15m程度以下の小規模なものであった。現在では、貯水池内の貯砂ダムなどで採用されるに至っているが、まだ本川を締切るダムには採用され建設されている例はない。しかし、沖縄総合事務局の億首ダム(堤高39m)においては台形CSGダムの形式採用が承認され、北海道開発局のサンルダム(堤高50m)、国土交通省九州地方整備局の本明川ダム(堤高64m)での採用が検討されている。
RCD工法に続く、日本発の新ダム建設工法として世界的に注目を集めつつある。

4.CSG工法の特徴
 次のようなことが特徴となっている。
 (1)CSGダムは、コンクリートほど材料強度を必要としないので、河川砂利、風化岩や掘削廃棄岩を有効利用できる。
 (2)基礎地盤の強度や変形性に対して許容範囲が広い。
 (3)骨材製造過程を大幅に簡略化できるため、施工時の仮設備が省略できる。
 (4)全体掘削量や廃棄岩量が減少するので、環境への負荷が小さくなる。
 (5)以上のことより建設コストが削減される。
ダムへの反対運動は根強いものがあるが、その原因について私は、次のようなものがあると思っている。
 (a)自然環境の改変への反対(貯水池、道路、原石山、流況変化、水質変化等)
 (b)社会環境の改変への反対(水没家屋、農地、地域分断、人口減少等)
 (c)治水、利水計画への反対(必要性、効果の判定、代替手法等)
 (d)財政的負担(負担の大きさ、費用対効果等)
 (e)建設業界、特にゼネコンに対する反感
 (f)以上のことを踏まえて、ダム建設の是非に関する民意を直接的に反映させるシステムが無いことに対する不満
 CSG工法を用いて築造する台形CSGダムは、以上の原因のうち(a)と(d)の改善に寄与する。

5.大保ダムにおけるCSG工法
 大保ダムにおいては次の4ヶ所でCSG工法が使用されている。

表-1 大保ダムにおけるCSG工法ダムの諸元
―――――――――――――――――――――――――――――――
 名称    堤高(m) 堤体積(m3) セメント量(kg/m3)
―――――――――――――――――――――――――――――――
沢処理工    30   33,000    60
汚泥貯留堤   16    5,700    80
上流仮締切堤  14    5,200    80
材料山締切堤  13    3,600    80
―――――――――――――――――――――――――――――――

 ここで紹介する沢処理工は、小さな沢の低標高部から貯留水が流域外へ流出することを防止するためのダムで永久構造物としての、台形CSGダムの第一号ともいうべきものである。もっとも貯砂ダムでの施工で「こちらが台形CSGダム第一号だ」と主張される方もおられるかもしれないが。
 平成15年9月より沢処理工のCSGの打設を開始、外部からの見学者がダムと開く。

堤体表面にプレキャストコンクリートによる堤体表面型枠工が施工されている。次回は、この紹介をしたい。なお、CSG工法については、多くの論文があるが例えば次を参照されたい。

“藤沢侃彦、吉田等、平山大輔、佐々木隆:台形CSGダムの特徴と現在までの検討状況、ダム技術、No191、PP2〜23、2002年8月”

大保ダムを見学して―沖縄の渇水と技術開発の紹介― (2004年3月22日付第1回記事)

大保ダムを見学して―沖縄の渇水と技術開発の紹介―

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 独立行政法人 土木研究所 坂本 忠彦

1.はじめに
 2004年3月12日、沖縄総合事務局が沖縄県国頭郡大宣味村に建設中の大保(たいほ)ダムを見学した。その時の見聞を混じえながら、沖縄の渇水とダム建設における最近の技術開発の例を紹介したい。3回に分けて、今回は沖縄の渇水、次回はCSG工法、第3回にプレキャストコンクリートによるダム堤体表面型枠工法について紹介することとする。

2.沖縄は現在渇水中
 沖縄在住の人を除き、沖縄が現在渇水中であることを知る人は少ないであろう。実は私も今回沖縄に行くまで、知らなかった。
 平成15年の水源地降雨量は平年値の71%で、平成16年に入っても現在まで少雨傾向で渇水となっている。
 沖縄の水源はダムからの取水、河川からの取水、海水淡水化施設の生産水の三本柱となっている。2月の日平均給水量は約400,000m3であるが河川からの取水量は約89,000m3、海水淡水化施設の生産水は35,000〜40,000m3で取水の大部分はダムに依存している。
 ダムは国管理6ダム(福地ダム等)を含め9ダムで総利水容量は74,850,200m3であるが、3月10日現在の貯水率は48.9%で平年値より27.8ポイント低い。9ダムの貯水率が59.6%となった1月23日に渇水対策協議会(第2回目)が開かれ、節水キャンペーンの実施が決定された。
 沖縄地方3ヶ月気象予報(3月〜5月)では降雨量は「平年並」となっている。今年の降雨量が「平年並」の場合でもダム貯水率等水源の大幅な回復は難しく、今後の水事情は更に深刻になり安定給水の維持が困難になることが予想され、3月末から給水制限に入る予定という。
 以上は北部ダム総合管理事務所のホームページからの資料の要約である。(http://www.dc.ogb.go.jp/toukan/index.htm
 沖縄タイムス(3月12日)によれば復帰後、本島での制限給水は延べ1030日。32年間で約3年は「断水」であったという。
 沖縄の民家の屋上には、現在も大きな貯水タンクが必ず設置されていて、沖縄へ初めて来た人には珍しい風景となっているが、給水制限になっても、給水時間に皆、貯水タンクに貯水するため節水効果は少ないとも聞いた。私の記憶では沖縄の渇水は継続時間の長い経年型であることが特徴であり今後の経過を見守っていきたいと考えている。

3.大保ダムにおける技術開発
 沖縄の水問題をどのように解決するかについては各種の意見があることと思う。ダムによる水資源開発による解決に限度があることは承知しているが、水資源開発の基幹施設としてダムが大きな役割を果たしていることも事実である。
次回、大保ダムにおけるCSG工法について紹介することとする。

みなとみらい線が開業した

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 少々、旧聞に属するが、2月1日に横浜市の中心部、横浜駅と元町・中華街駅間4.1kmのみなとみらい線と名づけられた地下鉄が開業した。過日、一日乗車券を購入して各駅を探訪してみた。新高島駅だけが線路の両側に別々のホームがある相対式になっているが、横浜駅を含め、他の駅は上下線の間にホームがある島式になっていて、いずれも将来の混雑を見越して十分なホーム幅がとってある。ホーム階とコンコース階は見通しが良いように吹き抜けになっているところが多く、天井も高く快適な空間を創り出している。
 横浜駅からみなとみらい駅の間は、新しく開発された街であるから、計画も工事も比較的容易であったろうが、馬車道、日本大通り、元町・中華街の各駅は既存の繁華街に設置しているので、関係者間の利害調整に、担当者は大変な苦労を強いられたことと思う。いろいろな方面に連絡できるように出入り口が作られているが、やや歩く距離が長い。逆に市街地でみなとみらい線の入り口を探すのに少々苦労する。この工事では最新の土木技術を駆使して、工事中はもとより、開業後にも環境保全に努めており、近接した建物に列車の振動が伝わらないように防振機能のついたスラブ(版)を線路の下に設置してあると聞いている。
 この地下鉄は、みなとみらい21計画とともに計画され、その構想時には横浜市北部との連絡を便利にするため、JRの横浜線を東神奈川駅から地下化して接続する案が検討されたこともあったが、当時の国鉄は財政再建から分割民営化への真っ最中で、それだけの設備投資を行う力がなく、結局、現在のように東京急行電鉄の東横線を東白楽から地下化して直通運転をすることになったものである。都市交通計画上良い選択であったか、後世の批判に待つことになろう。

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