差筋の鉄筋長についてご教示下さい。

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樋門など水工構造物で、一次コンクリートから期間を置いてゲートなどの機械を据え付けるための二次コンクリートを張り付ける場合、樹脂アンカーでは無く鉄筋を埋め込んだ差筋を設置したいのですが、一次/二次側の鉄筋埋め込み長をどれだけとれば良いのかご教授頂きたいです。
私は橋梁下部工に永年従事しておりましたので、一次/二次共にLa=31.25φの定着長が当たり前のように考えておりますが、差筋を積算担当する機械工屋さんの図面では、D13の場合で100mmとの指示があるのに驚いております。
機械屋さんに根拠を伺うと慣例的に使用しているとのこと、長さが取れない場合は樹脂アンカーを使用すれば良いとも考えますが、どなたかコンクリート打ち継ぎ目の差筋の定着長(差し込み長)に関する基準/定義などがあればご教授下さい。

コメント

ユーザー Tomoyuki Nakasuji の写真

 橋梁下部構造のfootingに先付けする差筋は、曲げ引張力及び圧縮力を大きく受ける構造鉄筋で、御経験の通り、「コンクリート標準示方書(文献1)」に拠り、定着長としてRC橋脚の
有効高さ(d)の1/2及び半円形hookで定着長を確保します。
 「建築基準法(文献2)」に拠ると、「柱に取り付ける梁の引張鉄筋は、・・、柱に定着される部分の長さをその径の40倍以上としなければならない。」とされています。
 私が主に専門としてきたshield tunnelでは、「一次覆工であるRC平板形segmentに相当量のシ゛ヘ゛ル(dowel)鉄筋を配した場合、二次覆工との合成構造に近い挙動と成り一体構
造と仮定して計算することもできる。接合面に凹凸を設ける場合、一体構造と重ね構造の中間的な挙動を示す様である。(文献3)」旨としています。
 出入している機械屋らしき者は、下記の差筋でない後施工の、仮設で鉛直方向加振に殆ど効かない差筋anchorを、剪断力が主として、供用期間が建築構造物と比して長い土
木構造物に安易に適用しようとしているのではと私は推します。
http://kenchiku.a.la9.jp/kouzouhinshitsu/atoanka/sashikinanka
 従って、土木構造物を設計されようとされている貴殿に以下に僭越ながら私は提案致します。
 1m^2当りの(既設)1次conrete、(増設)2次conreteの許容剪断耐力の内、大きい方(Sa1[kN])を式(1)に拠り、異形棒鋼を用いて1次concreteを穿孔してmortar(cement milk
では水戸tunnelの様に地下水流で溶脱する恐れが有り、樹脂は笹子tunnelの様に劣化するため仮設に用いるのが適切)を充填して後施工する差筋の許容剪断耐力で確保する。
 Sa1=max(10^3・τca1・1,10^3・τca2・1)・・(1)
 ここに、τca1、τca2:1次、2conreteの許容剪断応力度[N/mm^2]
 樋管を流れる水は等流として、粘性抵抗に因る2次conrete上面に作用する剪断力(τ0[kN/m^2])は、2断面で流速分布が同じとすると2断面間のcontrol volume内の運動量
変化は0になり、2断面間のcontrol volumeに作用する力の釣合式は(文献4,5)、
 ρw・g・h・lsinθ2-τ0l=0∴τ0=ρw・g・h・sinθ2≒ρw・g・h・1・i2(θ2≒0と見做す。)・・(2)
 ここに、ρw:水の密度[Mg/m^3][t/m^3]
     g:重力加速度(≒9.80665m/s^2)
     h:水深[m]
     l:2断面間のcontrol volume長[m]
     θ1,θ2:1次、2次conrete上面の傾斜角[rad]
     i1,i2:1次、2次conrete上面の勾配=tanθ1,tanθ2[1]
のため、2次concrete上面に作用し、1次concreteに作用反作用の法則で伝わる剪断力は式(3)第1項となる。2次concreteの自重に因る1次concrete上面方向の成分は式(3)第2項
となる。早大 清宮教授から堤防は耐震設計をしてこなかったと私は聞いたが、地震力を考えると地震応答解析により2次concreteの水平方向加速度a[m/s^2]を求め、1次
concrete上面方向の地震時慣性力成分は式(3)第3項となる。
 Sa2=ρw・g・h・1・i2+ρ2・g・h2・1・i2+ρ2・h2・1・a・cosθ1・・(3)
 以上のSa1,Sa2の何れか大きい方を1m^2当りn本の差筋の許容剪断耐力で確保する式(4)に拠り、異形棒鋼の公称直径D[mm]を決める。
 max(Sa1,Sa2)≦10^(-3)・n・τrba・Arb・・(4)
 ここに、τrba:差筋の許容剪断応力度[N/mm^2]
    Arb:差筋の公称断面積(=πD^2/4)[mm^2]
 以下のlink先(文献6)を参考に、差筋に働く剪断力が1次、2次conreteに片側45°(正確な受働側の応力伝播45°+φ*/2(ここに、φ*:concreteの内部摩擦角[°]、*:1または2)
の安全側の値)で支圧されるとし、支圧応力度(σ*[N/mm^2])が許容支圧応力度(σ'ca*[N/mm^2])を下回る差筋の埋め込み長ℓ*[mm]をそれぞれ決める。
https://thesis.ceri.go.jp/db/files/64259855673931ca7963.pdf
 σ*=10^3・max(S1,S2)/(n・D・ℓ*)≦σ'ca*・・(5)
 全面載荷の場合、σ'ca*≦0.3f'ck(σ'ca*≦5.9N/mm^2)
 局部的載荷の場合、σ'ca*≦(0.25+0.05A/Aa)f'ck(5.9<σ'ca≦11.7N/mm^2)
 ここに、f'ck:concreteの設計基準強度[N/mm^2]
 水平打継面の施工には、その面のレイタンスを除去し、水洗して十分に吸水させた後、2次cocreteを打ち込み、1次concreteに密着する様に締め固める(文献7)。
参考文献
1)土木学会:コンクリート標準示方書[構造性能照査編]、2002.
2)国土交通省住宅局・日本建築学会:建築基準法令集施行令第七十三条、2018年度
3)土木学会:トンネル標準示方書[シールト゛工法編]、2006.
4)物部長穂:水理学,1950.
5)鮏川登:水理学,1990,8.
6)船橋 雄大・小松 勝久・林 誉命:老朽化した無筋コンクリートの強度特性について、2014年度寒地土木研究所報
7)日本コンクリート工学会:コンクリート技術の要点、2008.

ユーザー suketi の写真

機械屋さんが仰っているD13 L=100mmの根拠は恐らく平成6年度樋門標準設計の箱抜き図が根拠のように思います。
こちらには長さは記載されておりませんが、D13@500とあります。

2次コンクリート内に入れる差し筋の目的を考えて見ますと、単に1次コンクリートとの一体性を高めるためであると思います。
この差筋に何かしらの荷重を受け持たせる考えはないものと思います。