最大乾燥密度の意味を教えてください

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土の締固め曲線のグラフについてよく分からないので詳しい方教えて下さい。縦軸が乾燥密度で横軸が含水比になってますよね。このグラフで乾燥密度というのは土が完全に乾燥して間隙が空気だけで満たされた状態の密度ではないのでしょうね?
グラフでは含水比がゼロではないからですね。
含水比がゼロでないのになぜ乾燥密度というのかがすみませんが理解できていません。よろしくお願いします。

コメント

ユーザー 中筋 智之 の写真

 Proctorの原理は乾燥密度(ρd)と含水比(w)との関係に、最大乾燥密度(ρdmax)と最適含水比(wopt)が存在することです。土の剪断強度は、構成される土粒子が形成する骨格が受け持ち、間隙水は受け持たないため、締固め特性を式(1)により、ρdに換算して管理します。
 ρd=ρt/(1+w/100)・・(1)
 ここに、ρt:湿潤密度[Mg/m^3]
     w:含水比[%]
     w=mw/ms
     ms、mw:土粒子・間隙水の質量[g]
 飽和度(Sr)は、式(2)で定義されます。
 Sr=100×Vw/Vv
 ここに、Vv、Vw:間隙、間隙水の体積[m^3]
     定義どおりでは0≦Sr≦1ですが、粘土の場合、「足立:土質力学」などにより極性を有する間隙水の密度が1.6Mg/m^3になり、Srが1を超える場合もあります。
 すなわち、ρdは、Sr=0で間隙は空気などの気体だけの状態での密度です。
 現場締固めでは、通常、締固め時の含水比を、下記の強度、圧縮性、透水性の観点からwoptより大きめにして所要の締固め度を得ます。
強度、剛性:締固め時は、土はsaction(負圧)が発揮される不飽和(0≦Sr<1)であり、飽和することによる強度や剛性の低下に伴う沈下や破壊を抑えるため、湿潤側で締固めを行う。
透水係数:透水係数は、間隙の寸法、特に大きな間隙によって決まり、飽和度が大きくなると透水係数は大きくなる。締固め材を遮水構造として用いる場合、小さな透水性を得るために、締固めを均質に行い、飽和度上昇による透水係数の上昇を抑える必要がある。湿潤側で締固めを行うと、水が潤滑材の役割を果たし、比較的、均質な状態となる。

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まず、「土の乾燥密度」という定義の理解から入るとよろしいと思います。

「土の乾燥密度」=「(水が含んでる)土を、カンペキに乾燥させた時点での、密度」
という意味です。もともと乾いてる土じゃありません。

下記などの、土の構成図(空気・水・土粒子が3段重ねの絵)を見ながら読んでほしいのですが
http://www.gbrc.or.jp/assets/test_series/documents/so_02.pdf
https://www.index-press.co.jp/books/excel/ex-nv02.pdf

※もちろん、このようにキレイに分かれているわけではなくて、
 土粒子はツブツブですから、ちりめん状にばらららら~と広がってて、それに水が付着してて、隙間に空気がある ようなイメージです

具体的に数値をあてはめながらいくと、
とある土が、1m3当たり
 Va(空気の体積)=0.1m3
 Vw(水の体積)=0.3m3
 Vs(土粒子の体積)=0.6m3
だったとします。この場合
 Ma(空気の質量)=空気なので重さ0と考える
 Mw(水の質量)=水なので体積と同じ=1t/m3 × 0.3m3 = 0.3t
 Ms(土粒子の質量)= 1.5t(だったとします)

この時の含水比 w = Mw/Ms × 100(%) と表します。
 W = 0.3/0.6 × 100 = 50(%)

※ 少し気を付けてほしいのは、含水比は、「水と土の重量比」ということです。
  他に、含水率(水と、土全体との重量比)というのもあります

この土の、そのままの密度(湿潤密度)は下記になります。
 ρt = m/V = (0+0.3+1.5)/1 = 1.8 [t/m3]

土の乾燥密度 は下記の式が定義です。
 ρd = ρt ÷ (1+ w/100)
   = 1.8 ÷ (1+ 20/100)
   = 1.8 ÷ (1+0.2)
   = 1.8 ÷ 1.2
   = 1.5 [t/m3]

つまり、Mw(=0.3t)が、完全に乾燥してゼロになった場合の、土の密度
 = m/V = (0+0+1.5)/1 = 1.5 [t/m3]
というわけです。

◆さらに、締固め曲線でいう「最大乾燥密度」という言葉の定義は

「土の水の量(含水比)を変化させて、締固めを行うと、最も乾燥密度が小さくなる点が見つかる。
 (つまり締め固めたあとで、空気+水を含めて、一番締まった状態ってことですね)
 この時の乾燥密度を、最大乾燥密度 という」

ということです。
ちなみに、この時の含水比を、「最適含水比」といいます。

つまり、ゆるい土を締め固めるときは、適度に水を含んでいるほうが、よく締まる
・・・ってことが、実験などでも明らかになっていますよ、ということです。

(間違っていたらすいません、どなたかご指摘ください。)

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すいません補足です。
含水比は、「水と土粒子との質量比」ですね。
含水率は、「水と土全体(水+土粒子+空気[空気は0ですが])との質量比」
です。

「乾燥密度」の意味合いは
 土に水が混じっていると、どれだけ土が締まっているかよくわからん(´・ω・`)
 そうだ、水を乾燥させて飛ばしちゃえば、実際に土粒子がどれだけ全体を占めているのかわかるんじゃね!?
・・・ってことで、使われるものです。

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中筋さん、いささん大変ありがとうございます。私は現在治山ダムや林道を建設する職場に勤務してますが、土質工学の知識はもともと持ち合わせてなくて、現在勉強中(マンガでわかる土質力学という本をよみながら)です。
だから、皆さんの回答の理解にも時間を要すると思うので、取り敢えずお礼をと、メールしてます。
ただ、現在の私の理解の程度は次のようなものです。
 PdはSr=0で水の全くない乾燥状態。ですが、Pd=Pt/(1+w/100)となって、式の中に含水比wがありますよね。
この、wは現場で採取した湿潤状態の土の含水比で、この含水比wと湿潤密度Ptから導かれるPdとは、湿潤状態の
土から水分を飛ばして得られるものと考えていいのだろうか自信がありません。
 そうだとしたときの『土の締固め曲線』のグラフにおける乾燥密度の意味が分からなくて。
縦軸の乾燥密度と横軸の含水比のグラフなので、乾燥密度と言っても含水比が0ではないというのが理解できない状態です。
 このような点を解明すべく、いまからお二人の回答を勉強させて頂きます。
 

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 『土の締固め曲線』のグラフの乾燥密度はPdではなくてPtという理解でいいのでしょうか?

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乾燥密度=ρd(Pではなくて、ギリシャ文字のρ(ロー)です)
湿潤密度=ρt
ですから、乾燥密度 ρdですね。

ちっと誤解されてるのかもしれませんが、
湿潤密度、乾燥密度とも、同じ状態の土の別々の指標です。
乾燥密度だからといって、カラカラに乾いた状態の土の性質を指すわけじゃないです。

普通の土の密度(=質量/体積)を、そのまま測った場合が「湿潤密度」
水を飛ばして、乾燥した状態で、重さを量って計算したのが「乾燥密度」
ということです。

だから、完全に乾燥した土の場合は「湿潤密度」=「乾燥密度」になりますし
水が含まれている土なら、乾燥させた時の水の重さが少なくなるぶんだけ「湿潤密度」>「乾燥密度」になります。

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おかげさまで、だいぶん整理できました。自分の疑問点の核心も同様です。
土の締固め曲線に関して
締固め度(DC):土を測定して得た湿潤密度ρtから乾燥密度ρdを計算しその値が最大乾燥密度ρdmaxの何パーセントに当たるかという割合である。
そして。現場の土の湿潤密度は水分量(含水比や含水率で示される)によって変化するということは理解できます。しかし、縦軸の乾燥密度というのは試料の土が同じなら含水比が変化してもかわらないのではないのかとしか考えられません。
  すみません。たぶん大きな勘違いをしてるのでしょうが。。。
  私は森林部門の技術士ですが、知らない事ばかりです。

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んー、勘違いしてるみたいですけど
縦軸の乾燥密度 というのは、「締め固めたあと」の乾燥密度ですよ。
http://www.gbrc.or.jp/assets/test_series/documents/so_09.pdf

基本的には空気の部分が抜けて、締まっていきますから
「締め固めたあと」の試料全体の量は小さくなっていき、密度としては高くなっていきますよね。
その度合いが、含水比によって異なり、グラフで表せば「山なり」となり
含水比が適量のところで、密度が最大になる(=もっとも締まる)最適点がみつかる ってことです。
わかりますかね~

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やっと、勘違いを理解しました。
土の締固め曲線において、含水比を変化させて土の湿潤密度と乾燥密度を測定しても土の質量(ms)は変化せずに一定だと思い込んでいました。
でも、含水比を変えて、突き固め用の試料を作れば、含水比に応じてms、mvも変わるので当然ρdも変わるんですね。
何度も付き合っていただき、大変ありがとうございました。
これで、先に進めます。

ユーザー 中筋 智之 の写真

 #7009において、理解されていると私は推しますが、「土の含水比を変えて締め固めると最大になる乾燥密度を最大乾燥密度と呼ぶ。」旨が正確です。
 #7016において、土質力学ではmv[m^2/kN]は、体積圧縮係数
 mv=Δε/Δp
 ここに、Δε:圧縮歪みの増分[1]
    Δp:圧密圧力の増分[kN/m^2]
を指します。これを(間隙)水の質量(mw)の意味で、乃ち、間隙水の密度(ρw)は、砂では1 Mg/m^3または1 g/cm^3で、空気の密度(ρa)は、空気の構成が体積比でN2:O2=4:1のため、
 ρa=(28×4+32×1)/5≒28.8g/22.4ℓ≒1.3×10^-3 g/cm^3
で、水と空気とで構成される間隙の質量は、間隙水の質量に近似できる意味で捉えられていれば、理解されています。