大保ダムを見学して―沖縄の渇水と技術開発の紹介―

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ユーザー 土木学会事務局 の写真

 独立行政法人 土木研究所 坂本 忠彦

1.はじめに
 2004年3月12日、沖縄総合事務局が沖縄県国頭郡大宣味村に建設中の大保(たいほ)ダムを見学した。その時の見聞を混じえながら、沖縄の渇水とダム建設における最近の技術開発の例を紹介したい。3回に分けて、今回は沖縄の渇水、次回はCSG工法、第3回にプレキャストコンクリートによるダム堤体表面型枠工法について紹介することとする。

コメント

ユーザー 中川 義也 の写真

個人的に沖縄で仕事することが多いので給水制限は知っていました。

地元の方に聞いた話では、
沖縄は2月に雨が降ることが多く、
昔は野球のキャンプも雨をきらって来ることが無かったが、
最近は2月に雨が少なくなり、キャンプも成功し、観光客にも喜んでもらっている、
と言っていました。

曖昧ですが、ラジオから聞いたことで、
県内のどこかの小さい島では既に給水制限を始めており、
その島のおじいさんは、こんなにひどいのは生まれて初めてだ、と言っていた、ということです。

大したコメントではないですが、
ダム技術に関する続きを期待しております。

ユーザー 古木 守靖 の写真

 もと沖縄の開発を担当していましたので一言。
 ご指摘のとおり、島嶼の例に漏れず沖縄本島には十分な流水は存在しません。このため昭和47年の本土復帰当時は毎年渇水に悩まされ、昭和56年には年間259日もの給水制限日数を記録。それが自衛手段としての各家庭に水タンクを設けるという建築様式?を生みだすにいたりました。
 本土復帰後精力的にダム開発が行なわれ、当時3つであったダムは9つになり、ダムによる開発水量は1日37万トンと当時の11倍になって、断水は劇的に減少、多雨の傾向にあったこともあり、平成6年の断水を最後に断水はなくなっています。
 しかし天然現象としての少雨は発生します。まさに今年がそれでしょう。どうなるかは予断を許さない状況のようです。今後も安心して110万人本島民が暮らしてゆけるよう、羽地ダムの本格運用、大保ダムの建設が急がれますし、他の島嶼での水対策も重要です。

ユーザー 柳沢 賢 の写真

学生時代の現場実習で北部ダム事務所さんにお世話になり,大保ダム建設予定地を拝見したことがあります。建設が進んでいるとの記事,感慨深く拝読しました。
建設予定地を訪れた際の第一印象は「ジャングルにダムを造る」でした。沖縄本島北部,いわゆる「やんばる」地域での開発だけに,環境との調和という面にも配慮しつつ,事業を進められていた記憶があります。
渇水対策としての重要性と,貴重な環境の保護との間で,今後も議論と対応が重要なのだと思います。